表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乳母は見届ける  作者: かも ねぎ
青年期
58/65

58 影を統べる者

 ――ルクレツィア追放から数か月。

 新王コンスタンティンの治世は始まったばかり。宮廷も街も、まだ新たな秩序に馴染みきれてはいない。

 その裏側で、影の戦いは淡々と続いていた。


 王都の地下道、剣戟の音がこだまし、やがて呻き声とともに静寂が戻る。


 カツン……カツン……

 革靴の音が響いた。


「王弟殿下! アウレリウス様! 制圧いたしました!」

 密偵部隊が男たちを取り押さえ、その中のリーダー格が報告する。


「ご苦労」

 エドワードの声は鋭く冷え、取り押さえられた男たちは息を呑んだ。

 彼は静かに屈み込み、震える者たちを見下ろす。


「――この国で、武器を密輸して戦を煽る? 愚かだね。君たち」


 底冷えするような微笑を残し、立ち上がる。


「連れていけ。尋問部隊に引き渡せ」

 アウレリウスが冷ややかに命じ、男たちはすぐさま引き立てられた。


 残された二人は、互いに目を見合わせる。


「……うわぁ、アウル、ここ臭くて寒くない?」

「寒いな。早く戻ろ。猊下にも報告を入れないと」


 少年の頃から変わらぬ囁き合い。

 けれどその背にまとわる威圧感は、もはやかつての“冷遇された子どもたち”のものではなかった。


 いずれこの二人が、兄王の治世を影から支える柱となる。

 ――その未来は、決して遠いものではない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ