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39 戦うための力を
マックス兄上の背中を見つめながら、胸の奥で何かが熱く震えた。
ずっと、僕は守られる側だった。
セラフィーナが寄り添い、
アウルが影のように支え、
オズワルドが力強く盾となった。
カールが励まし、ギルベルトが陰から守ってくれた。
ウルバヌス猊下が導きを与え、
母上が、静かにその全てを受け止めてくれた。
そして――今日、マックス兄上が自らの矜持を示した。
魑魅魍魎が跋扈するこの宮廷で、
ただ守られているだけの子供では、必ず呑み込まれてしまう。
学問が少し得意なだけでは足りない。
誰かの庇護に甘えるだけでは足りない。
僕もまた、この場所で生き残り、戦い抜く力を持たなくてはならない。
もっと、もっと強く――
戦うための力を。




