表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乳母は見届ける  作者: かも ねぎ
幼年期
13/65

13 影たちの誓い

 城下の静かな館の一室。

夜の帳が下り、外の喧騒は届かない。

 オズワルドは卓上の蝋燭の炎をじっと見つめ、ギルベルトとウルバヌスを慎重な目で見回す。


「事態が急に動き出しました」

 オズワルドの声は低く、確実に伝わるよう慎重に選ばれていた。


 オズワルドは二人の視線を交互に見ながら、地図に細い線を引いた。

「エドワードとアウレリウスは、この行幸を楽しみにしています。だが、表向きの平和の裏で、側妃ルクレツィアは動きます。我々は、彼女が何をするか、どこまで踏み込むかを予測しなければならない」


 ギルベルトは拳を軽く握り、表情を引き締める。

「王家の中で動けぬ私にできることは限られる。しかし、”補欠組”を通じて、第三王子の安全を確実に守ります」


 ウルバヌスはゆったりとした口調で、しかし芯の通った言葉を添えた。

「全ての布石は、事態が起こる前に。油断せず、しかし過剰な干渉も避ける。子どもたちの無垢を守ることを最優先に」


 オズワルドは穏やかに微笑んだ。

「よし。今夜はここまで。明日の行幸で、全てが動き出す。我々は影に徹する」


 蝋燭の炎が揺れ、三人の影もまた揺れる。

 緑の離宮で無邪気に笑う子どもたちの背後で、大人たちの思惑が密かに回転する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ