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【コミカライズ12/26から】魔術師は死んでいた。  作者: 彩白 莱灯
フォリウム学院

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第90話 遠足

 青い空。白い雲。緑の大地。紺色のジャージ。

 ここはフローレンタム国・リーオン。

 スグサさんに話した通りの高原で、春のぽかぽか陽気の中での遠足だ。

 と言っても、ここまで転移で飛んできたので『遠くまで足を使って』移動してはいない。

 魔法らしさが前面に出た移動方法だ。



「ナオー、そっちあるー?」

「……少し奥に見えるよ」

「じゃあそっち行こう! ヒスイ! マリーもこっちだよー!」



 高原の中の、森の中。

 遠足の一環である、ギルドの任務を熟すべく、薬草を探しているところ。

 学校からの移動がないと思ったら、高原から森、森から薬草の場所までの移動時間が必要だったわけだ。

 今探している薬草は、日陰にしかできないもの。

 だから森の奥の方まで探しに来ており、ようやく見つけられた。

 三人ずつで探していたのに、ナオさんの言葉を聞いて一人駆けていくライラさんをマリーさんと追う。

 ナオさんもシオンも、センも追い越して、うさぎの様にぴょんぴょん跳ねて行ってしまう。



「あはは、ライラっちは元気だなあ」

「そんなこと言ってないで、俺らも追うぞ」

「はいよーシオン様」



 センは、私やマリーさんと同じ編入生。

 黒っぽいけどやや赤みのある襟足の長い髪と、オレンジ色の瞳を持つ。

 ちょっと飄々とした男の子。

 今回六人グループを組むのに、「入れてー」と猫のように寄ってきた。

 呼び名こそシオンに『様』を付けているが、話し方はほとんどみんな一緒に軽いというか緩いというかなので、本当に分け隔てなく接している。

 シオンはそれを気に入っているようだ。

 私的にはゆるキャラ的立ち位置。



「はーやくー!」

「そちらにありますかー?」

「少しだけどあるよー!」



 マリーさんも、グループを組むうえで「一緒にいいですか?」と声をかけてきてくれた。

 ライラさんの授業中のトラブルのこともあって、クラスメイトはあまり近寄ってこなかった。

 そんな中でもマリーさんは変わりなく接してくれた少ない一人。

 ちなみにセンは「そんなこともあったなあ」って感じだった。



「あ、本当だ」

「これで間違いありませんわね」

「でもこれだけじゃあ少なくなーい? ナオっち、俺らは他を探してみないー?」

「え、う、うん」

「あたしも行くー!」

「迷子になるなよ。特にライラ!」

「大丈夫だもーん!」



 双子とゆるキャラは別の場所を探しに行って、編入生二人と王子様は草を毟る。

 品質も大事なので、丁寧にとるために無言で作業をする。

 いくつか取って慣れてきたところで、口が緩んでいく。



「シオン様はこちらに来たことはあるのですか?」

「あるにはあるが、小さい時だ。記憶にも残っていない」

「まあ、ではほとんど初めてなんですね。ヒスイさんはいかがですか」

「私も初めてです」



 マリーさんも「シオン様」と呼ぶ。

 センのような分け隔てのないものではなく、完全に堅苦しい呼び方だ。

 マリーさんは貴族だししょうがない面もある、と私は思うけれど。

 シオンとしては外してほしいらしい。

 だが、マリーさんの「うふふ」ではぐらかされ、諦めたようだ。

 うふふ強い。



「さて、ここはもういいか」

「そうですね」

「三人はどこまで行かれたのでしょう」



 三人が向かって行った方を見るが、戻ってくる様子はない。

 それほど奥まで行ってしまったのか、別の方向に行ってしまったのか。

 この場で立っていても仕方がないのだが、待ち合わせも何も決めていなかったのが悩み。

 進むか、待つか、戻るか。



「どうしましょうかね」



 二人を見るが、二人とも悩んでいるようで、返答はこなかった。

 慣れない場所の、さらには森の中。

 迷子になる可能性は高い。

 魔法が使えるので遭難なんてことはないと思うが、一つの懸念事項がある。



「進んでみよう」



 シオンの一言で、方針は決まる。

 ただ当てもなく進むのはよくないということで、三人が進んでいった方向に、三人と別れてから経過した時間の半分だけ進んでみることに。

 作業時間がおよそ五分ほどなので、二分半は進む。

 それでも合流できなかったら、大人しく戻って先生に報告する。



「一列に。俺が先頭を行く。ヒスイは真ん中。マリーが後ろを頼む」



 王子様が先頭でいいのかと一瞬悩んだが、先に進んでしまったのでその通りにする。

 周囲を警戒し、三人を探す。

 奥に進む足取りは重いけれど、ゆっくりしていては二分半なんてすぐ経ってしまう。

 少しずつでも進むたびに暗くなっていく森に、やや恐怖を覚える。

 ここでの懸念は、もう一つの任務。

 本当ならばクラス全員で、明日挑むはずだった討伐系の依頼。

 すでにこの森に生息する魔物を討伐するという、珍しくはない任務ではあるのだが。

 場所が悪い。


 森。

 ライラさんを含む三人。

 ライラさんの属性は火。




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