表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ12/26から】魔術師は死んでいた。  作者: 彩白 莱灯
死んでいた魔術師

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/130

第20話 なぜなら私様は『天才』だから

 話し合いに入る前に、確認事項がまず一つ。



「ここの結界はどうなってる?」


               

 赤髪の魔術師に問う。

 城のことだが、王子サマより魔術師の方が詳しいだろう。

 期待通り、間髪容れずに答える。



「ヒスイちゃんが使用すると決まったときから、元々の部屋の結界に加えて≪花の囁き≫を使いました。一日ごとに魔力を供給しています」



 ふむ。

 光の、ということは、さっきの保管庫で使用した魔法とは別物だ。

 魔法石に込めた魔法で結界を張り、効果が切れないように都度補充していると。

 ≪花の囁き≫ならまあいいだろうが、念には念を入れるか。




 足で床をトン、と踏めば、新たに魔法が発動する。

 見た目には変化がないが、ここにいる四人は気付いたようだ。



  光属性魔法 ≪嵐の渦中に花の囁き≫



 何かを保護するものではなく、ただ音漏れと気配を遮断する魔法。

 赤髪が使った同じ魔法のさらに内側に、範囲を狭めて使用する。

 魔法を使ったときに異質な魔力は感じなかったから盗聴はないだろう。

 元々の部屋の結界は防御に関するものだから上掛けは必要なし。



「うわぁ……見せつけてくれますね」

「精進しろよ、若造。私様がやったんだから、これ以上の安心はないだろ?」

「……あれ……魔法、普通に使えてます?」

「手枷ならとっくに壊れたぞ」

「うわぁこっわ」



 ウーとロロを止めるときに使った≪影取鬼≫で手枷は割れ、砂になった。

 あの程度じゃあ上級以上は防げない。

 私様だからなおのことだ。


 赤髪も魔法の線は悪くないが、私様と比べたらみんな凡人だ。

 その凡人の中でも城仕えの赤髪は特に優秀な方だ。

 将来に期待。

 やや困り顔の赤髪はいいとして、そろそろ本題に行こう。

 王子サマも同じことを思ったようで、身体を乗り出してくる。



「さて。では、さっそくだがいくつか伺いたいのだが、よろしいか?」

「内容によりますね。物によっては答えられませんが、どうぞ」

「今ヒスイはどうしている?」



 またヒスイかよ。

 大事にされてるなぁ。



「さっきまで話してました。体調は見ての通り変わりないですよ」



 見ての通りっていっても話してるのは私様だけど。

 私様が無事ならヒスイも無事ということでご理解頂きたい。



「ちなみに今も話聞いてます。「聞いてますよ」だってよ」

「そうか。それならよかった。ヒスイもよく聞いていてくれ」



 だってよ。


 ―― わかりました



 なんか。

 脳内で会話しながら外でも会話って面白いようなめんどくさいような……。

 こんがらがりはしないが……。

 んー、しょうがないか。



「続けよう。スグサ殿」

「はいはい」

「貴方は今、どういった存在だ」



 なんともまあ、曖昧な聞き方だな。



「……と、言いますと」

「そのままの問いだ。なんと問えば良いのか迷ったんだが、これしか思いつかなかった。スグサ殿がわかっている範囲で、俺たちにも教えて頂きたい」



 曖昧な聞き方されると、どこまで話すか迷うから嫌なんだよなぁ。

 こいつらが求めている物以上のことも言ってしまいそう。


 …………ああ、そうか。

 王子サマはそれが狙いか?



「便利な聞き方ですね?」

「だろう。多用している」



 にひ、と、まあ悪いことで笑うお人だ。

 うん、この人も気に入った。

 コウ殿下ね。



「いいでしょう。答えますよ。まあ承知の上かとは思いますが、他言はお勧めしません」

「わかっている」



 他のお三方も頷いたり、真剣な目でこちらを見ていたり。

 王子サマのお人柄についてくる人だ。

 信用しても大丈夫だろう。



「では結論から。私様はスグサ・ロッドの『記憶』。そのものです」



 と述べたはいいものの。

 さすがに抽象的か。

 全員、顔は意表を突かれたようになっている。

 クールな女魔術師もおっさん騎士も意味を捉えかねたらしい。



「もう少し詳しく言います。質問は最後にまとめて」



 生前の私様は、私様自身の体を媒体として記憶の保存を行った。

 本来『記憶』とは脳に蓄積されるものは当然だが、私様は脳にあった『記憶』を『体』にコピーしたというだけのこと。

 よく言うでしょ?

 頭は忘れてても体や心は覚えてるって。

 もちろん一般人には使えないであろう魔法なので方法は省略。

 そしてそれはもちろん理由があってのこと。

 今はもうすでに死んだ身というのはご承知の通り。

 しかし私様は随分長いこと『天才』と言われていましてね。

 ああ、自慢ではないですよ、事実です。

 ヒスイには先に話しましたが、実は私様はヒスイがこの世界に来るきっかけとなった『歴代の力の再現』という研究に誘われていましてね。

 ……もちろん参加してませんよ。興味ないんで。

 その内容が英雄だったり優秀だった者たちを蘇らせるっていうんなら。

 私様が死んだ時は研究の素体となるだろうと思ったわけですよ。


 だから私様は、自分が研究によって生き返らせられた時のために、体に記憶を残して好き勝手やらせないようにと思ってたんですよ。


 私様の体を許可なく好き勝手に使ってんじゃねーぞと脅すつもりだったんですが。

 ヒスイやその周りが思いの外面白そうなんで、私様はもう少し引っ込んでてやろうと思ってます。

 そうそう王子サマとかね。

 ちょっと後で手合わせしましょうよ、みんなで。

 まあでも。

 目を覚ましたタイミングは遅すぎたぐらいでしたが、そこは誤算でしたね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ