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【コミカライズ12/26から】魔術師は死んでいた。  作者: 彩白 莱灯
フォリウム学院

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第110話 海の家

 城から。

 本来ギルドの任務は、困った村民、ギルドが必要と判断したものが提示される。

 城から出すということは文字通り国家レベルの問題であるはずだ。

 なにせ、問題をまず最初に認識するのは街や村なのだから。

 国が死よりも先に動くというのは、順番的におかしい。



「なぜ街が動く前に城が把握し、行動に移しているのか。単純に考えれば『城が関わっているから』ということになる」

「城、というのは、私に話すのですから、研究所ですか?」

「そこはまだわからん」



 研究所が関わっている可能性も捨てきれはしない。

 だからこそ、私にも話すのだろう。

 研究所が関わる。

 研究所が動いている。何が、とは言えないが、『警戒が必要』ということ。



「スパデューダの人的被害というのも、怪我とか生易しいものではない。これ以上大きな被害が出る前に把握しておきたかった。そしてこうやって城から離れた方が、盗み聞きされる心配もないからな」



 スグサさんからギルドの話をされたときは、渡りに船だと思ったらしい。

 城から離れ、状況を把握し、私に話もできる。

 学校では『同行者』がいるし、正直なところ、誰かもわかっていないのだから迂闊に話はできない。

 その割には言おうとしてなかったけど。

 そこは殿下の優しさということにして、追求しないでおこう。



「家を残さないでいいというのも引っかかったんだが、それは村民の総意だというしな。腑には落ちないが任務は任務だ。今は粛々とこなしていくことには変わりない。ただ、注意はしてくれよ」

「わかりました。カエ様」

「ギルドじゃないから変えなくてもいいんだけどな……」



 任務中は『カエ様』と呼ぶことに決めている。

 いざギルドで『殿下』と口走ってしまわないように、しっかり区別しておかないといけない。

 村の中心で、前日の≪水面の華≫を使った時に丁度出来上がった穴に今回作った氷を入れていく。

 今回は小さいものが多いので、このまま焼却処理をする。

 骨を討伐報告として挙げるため、燃やし終えたら回収だ。






 ―――――……






 ギルド。

 焼却処理をして病原菌を巻き散らす心配がなくなったラースの骨を、討伐の証拠として提出する。

 貴重な素材ならば買取されるが、今回はよくて無料処分だ。

 軽く千を超えた個体の骨を入れた袋を、丸ごと受付のオールバック・モノクルお爺さんに渡す。



「お疲れさまでした。想定よりもだいぶ多い数がいたようですね」



 眉を顰める。

 一目でそう判断するほど、やはり異常なのだろう。



「一応確認だが、この地域はラースが増殖しやすい地域、というわけではないか?」

「ありません。ピューリクリムのもその他の村や街でも」

「そうか。それは不幸中の幸いだ」



 ピューリクリム以外に被害はないということを確認し、今回の任務は終了。

 完了の証を貰い、次の任務先へ向かう。

 もう日は傾いているが、次の街に移動して休み、次の任務に挑む予定。

 移動は転移魔法を使う。

 目的が任務であるならば、ギルド間の転移をギルドが手伝ってくれる。

 有料で。



「次の任務は海の街でございますね。ここにはギルドがありますので、直接目的地に転移が可能です」

「よろしく頼む」



 今回受け取れる代金から、転移魔法分を天引きしてもらった。

 残りの代金をロタエさんが代表として受け取る。

 そして最初に転移してきた部屋で、円の中に入り、石を貰う。



「お気をつけて」



 紳士の恭しい挨拶を見届けて、光に包まれた。

 最初よりも冷静に状況を把握し、景色が切り替わるのがわかる。

 今までレンガ調の家が、今度は真っ白な壁になる。

 埋め込まれているのは海らしく貝殻だ。



「いらっしゃい」



 黒髪と白髪が半々ぐらい混ざった髪を、頭の上で頭と同じぐらいにお団子にして、こんがりと日に焼けた肌をしている健康的お婆さんがお出迎え。

 片手つついている杖……らしきものは杭だった。



「隣の部屋で待ってておくれ。今作業中なんだ」



 さっさと軽い足取りで歩いている。

 うん。杖じゃないな、あれ。

 お婆さんに続いて部屋を出ると、海の家を思わせる造り。

 サーフボードのような板が飾られている。

 貝殻の装飾。色鮮やかな花。背の高い木。

 窓は開け放たれていて、潮の匂いがする風が吹き込んでくる。

 夕暮れの傾いた日が眩しいぐらい入り込んでいる。

 西日の射す場所に、三人掛けソファーが机を挟んで向かい合わせになっていたので、三人並んで座る。


 コンコンコン。



「待たせてすまなかったね。ちょっと日除けを片付けてる途中だったんだよ」



 今度は杭は持たずに、両の足で登場したお婆さん。

 その手には今度は折りたたまれた紙が握られている。

 挨拶もそこそこに正面に座り、紙の内容を読み上げる。



「この任務を受けた人には全員、依頼主からの伝言があるんでね。まずはそれを聞いてくだされ」



 今回任務を引き受けてくれて有難く思う。

 直接お伝えしたいので、是非とも我が館にお越しいただきたい。

 宿泊についてもご相談に乗りますので、遠慮なく仰ってください。



「だとさ」

「随分な歓迎だ。依頼主はどのような人物なんだ?」

「この土地の領主、ドゥ・マルス様だよ。カエ様なら名前ぐらいは聞いたことあるんじゃないかい?」


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