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【コミカライズ12/26から】魔術師は死んでいた。  作者: 彩白 莱灯
フォリウム学院

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第101話 選出

 とある日の昼。

 成績が配られている今日は終業式まで残り十日。

 終業式という言葉にどことなく懐かしさを感じる。

 社会人ではギリギリまで出社していたもの。


 この後の十日間では、人によっては帰省の準備。

 人によっては自習。

 人によっては遊び、人によっては補習を受ける期間である。

 私を含む六人グループは、『ほとんど』がそれぞれで活動する。



「ライラ、明日遅刻すんなよ」

「ナオ一緒に来てよおおおお」

「ぼ、僕は家に呼ばれてるからダメだよぉ」



 教室を去るヒイラギ先生に念を押され、ライラさんの涙が溢れ出る。

 その水分はナオさんの制服に浸み込み、いずれ蒸発する。

 ああ、これが循環という物かと一つ学びを得る。

 教室でも極僅かという少数の中に、私たちの中からはライラさんが含まれてしまっていた。



「補習が終わったら遊ぼう! 月末とか!」

「じゃあ、予定空けられるように調整してみます」

「私も、その頃には帰ってこれるように両親に伝えてみます」



 この世界での連絡手段には、もちろん携帯なんてものはなく、専ら手紙か念話が主だ。

 学生では念話をしている様子を見たことがないので、高等手段なのか、学校での使用は許可が必要なのか。

 とりあえず、私たちの遊びの予定は、寮の扉のポストに手紙を入れておくことになりそうだ。

 この日はそのまま成績表を貰ったら解散。

 先生も教室を出て行ったことだし、私たちも荷物をまとめて教室を出た。

 男子寮・女子寮で分かれ、女子も階ごとに分かれ、私も自室に入って一息をつく。

 午前中で終わった今日は、このあと外出する予定。

 行先はお城の訓練場。機能訓練だ。

 学校に通い始めてから頻度は減ってしまったが、定期的に行うことはできている。


 学校入学前に行方不明となってしまったルタさんは、未だに見つかっていない。


 部屋で軽くお昼ご飯を食べ、荷物を持って、管理人さんに外出届を提出する。

 制服の方が身分が伝わりやすいので、服装はそのままだ。

 ちなみに、顔を隠すためにのマフラーもそのまま身に着けている。

 湿気のある今の時期は辛いかとも思っていたが、どういう効果なのか全く辛くない。

 これも魔法なのかな。



 もはや通いなれた道と城壁を目の端に映しながら、滴る汗に湿度が高くなって太陽も照るようになってきたことを実感する。

 歩く道はコンクリートではない分、照り返しがないのが幸いだ。

 だが、今日は荷物がある分、早く到着して日陰に入りたい一心だ。

 無意識に早足になっていた足が城門にたどり着き、見覚えのある人がまるで巨木のように立っている。



「カミルさん」

「……久しぶり」

「お久しぶりです」



 この人と会うのはいつぶりだろうか。

 学校へ編入するときは仕事で、なんどか機能訓練に通っていた時もタイミングはあわず、アオイさんやロタエさんと会うことが多かった。

 騎士団は魔術師団とはまた違った忙しさがあるようで、百日以上はあっていない気がする。



「少し瘦せましたか?」

「どうだろうな、気にしていなかった」

「暑くなってきましたし、栄養摂ってくださいね。騎士団長が倒れたら大変です」

「肝に銘じておく」



 門番さんに会釈し、騎士団長の肩書を持つ人の後ろを歩く。

 もうこの中もローブを被らずとも歩けるようになった。

 暑さはともかくとして、オドオドしないで過ごせるのは精神的にも安らかだ。

 『人と関われ』というスグサさんの宿題は、こういう意図があったのかな。



「今日は何を持ってきたんだ?」

「魔石のストラップ、みたいなものです」

「何に使うんだ?」

「カミルさんみたいに、夏でも鎧を着たり、外仕事をしている人たち用なんです。体温上昇が抑えられるように、≪冷風≫を入れてあります。服の中でも使えるように、平べったい石を選びました」

「へえ。いいな」



 いわゆるミニ扇風機。

 前の世界の、働く人のためのお店にあった商品を参考にした。

 外仕事だった私も大変お世話になっていた……という夢を見た。

 便利な道具は共有しなければ。



「カミルさんもお一つどうですか?」

「そうだな……いや、今日来ている兵たちの分が余ったら買おう。余らなければ改めて注文する」

「わかりました。ありがとうございます」



 負傷した兵の人たちの中には、職業復帰として農業をやっている人もいる。

 工場の勤務や、体温調節が難しくなった人も。


 こういうアイテムは、作ったら買い取ってくれていて、そのまま私のお小遣いになっている。

 これも編入直前の、ガーラさんにポータブル スプリング バランサーの件からの習わしになっている。

 有難いことだ。



「じゃあ、それが終わったら殿下の執務室に向かってくれ。ギルドの件でお話があるそうだ」

「わかりました」



 訓練場へ続く通りの直前で、カミルさんは別の方向へ進んでいった。

 私はこの先に用があるので、一人進む。

 殿下がいるということは、補習は大丈夫だったのかな。

 あまり補習を受けているイメージはもちろんないが。

 ギルドの話がこのタイミングで聞けるとは思っていなかった。

 パーティーメンバーについてかな。

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