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アカチンを飲む(小山 勲・上等兵)

 夜、ランプの灯の周りを大きな『蛾』が飛んでいます。

小山さんの話しを続けます。

夕食後、小山さんは高山看護婦からコップに入った赤い水薬を渡されたそうです。

その薬は消毒液の様な匂いがしたそうです。

小山さんが、

 「薬ですか?」

と尋ねると、看護婦は黙ってウナズいたので、

 「すいません。頂きます」

と言ってその赤い水を一気に飲み干したそうです。

からのコップを渡すと看護婦はニッコリと笑って医務室に戻って行ったそうです。

すると小山さんの耳に何処からか声が聞こえて来たそうです。

 「薬は試しに使っている。薬を飲んで生きたヤツもいれば、死んだヤツもいる」

小山さんはその声を聞いて少し不安になったそうです。

暫くして巡回して来た河村看護兵に尋ねたそうです。

 「すいません。あの赤い水薬は何ですか?」

すると看護兵が、

 「赤い水薬? あ〜あ、あれは薄めたアカチンだ」

と答えたそうです。

小山さんは、

 「アカチン?・・・そうですか。アカチンですか。アカチンとは何にでも効くのですか?」

と尋ねると、

看護兵は一言、

 「効くと思って飲めば、効かぬモノはない!」

そう言い残し、去って行ったそうです。

何と言う『精神論の戦争』なのでしょうか。

コレでは日本軍に勝ち目はないと小山さんは思ったそうです。

                           つづく

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