表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/60

遺 音

 『ゴ〜ン・・・』


 一発のニブイい爆発音が聞こえました。

私達は立ち止まり振り返りました。

すると、立て続けに数発の爆発音が聞こえて来ます。


 「ゴン、ゴ〜ン、ゴン・・・」


緒方軍医長は病院に残したて来た沢山の英霊達に肩をつぼめて「合掌」しています。

私も、深く深く合掌しました。

そしてその後、兵隊さん達全員が不動の姿勢をとって先に逝った兵隊さん達に『敬礼』をしました。


 鈍い爆発音は長く、とても長く続いていました。

心を揺さぶる音です。

私はこの時から、「生と死」に対する考え方が全く変わりました。

『虚しい』と云う言葉が手榴弾の爆破音と共に現れては消えて行くのです。

残された兵隊さんの誰があの机の上の「手榴弾」を配って行ったのでしょう。

私の後ろの兵隊さんは、爆破音が鳴る度に終始、震えて居ました。

前を歩く兵隊さんは、まるで無夢病者の様に一点を見詰めフラフラと進んで行きます。


 『赤十字の旗』は隣りの日本軍陣地、『フィンシハーヘン』に向かって進んで行くのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ