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ラエ・第3野戦病院(杉浦仁美・従軍看護婦)
<戦争の屑籠から>
この作品を、未だ帰れない『軍服を着た遺骨達』に捧げます。
昭和19年5月20日
私(杉浦仁美 十八歳・従軍看護婦)は大きな蝶(極楽蝶)に導かれて、ジャワの第5陸軍病院から東部ニューギニア『ラエ・第3野戦病院』へ赴任して来ました。
そこは『赤十字の旗』が翻る、椰子の葉で屋根を葺いただけの病院でした。
兵隊さん達は全員、筵の上に寝かされて居ました。
病院の中は、死ねない、降伏できない兵隊さん達ばかりでした。
吐き気をもよおす様な異様な匂い・・・。
手が無い、足が無い、顔が半分無い。
それでも兵隊さん達は生きているのです。
二度と故国に帰る事は出来ないだろう「壊れた兵隊さん」ばかりでした。
つづく