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雨のち晴れの事件簿 ~ 性格も好みも真逆の男女バディですが、異能犯罪者は沈めます ~  作者: 凪野 晴
第5章

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第75話 誘導計画

「……法条くん?」


 凛花は、ノートPCの画面を睨んでいる法条のことが心配になって、声をかけた。彼はその声に気づいて、軽く息を吐いてから応える。


「……ぼくらの位置情報を撹乱するのは、今は諦めた方が良さそうだ。『スティグマ・システム』上で、しらゆきの位置情報を撹乱するプログラムはそのまま動いていたのだけれど……。追加で、ぼくらのためのプログラムを設置して実行しようとしたら、警告された。再び仕掛けてくる可能性を考慮されていたみたいだ。」


「先回りされていたの?」


「そうだね。プログラムをセットしたタイミングで検知されて、警告メッセージが出力された。こっちの手の内を知った上で、自動で反応するように仕掛けられていた印象だ。つまり、先回りされていた。仕掛けたのは、何者なんだろう……」


「ねぇ、法条くん。ちょっと心配だけれど、私たちのことは後でいいから。……由記子さんへ、手に入れた情報を共有しようよ。あの元気の良い女性から手に入れた情報など、伝えておかないと」


 凛花は、冷静だった。その雰囲気が、法条にも少し落ち着きを取り戻させる。


「確かに、指名手配されているしらゆきの状況の方が重要だね。さっきゲームセンターで渡した携帯端末へメールを入れるとしよう」


 そう言った後、法条はノートPCでメールを書き始めた。しらゆきこと、白峰由記子に向けてだ。


 特殊人材派遣会社『ウィル』のこと。シャインというコードネームの女性について。それから、名前は不明だがシャインとバディを組んでいたスーツの男性について。彼らが警察の依頼で、しらゆきを確保しようとしていること。おそらく『スティグマ・システム』を利用していること。


 これらの内容をメールにしたためた。凛花は、彼が書いたメールの内容を確認し、うなずく。法条が送信ボタンを押した。


 凛花は、メールの作業で法条がいつものとおりの冷静さを取り戻したと感じる。相談できると思い、考えていたことを口にする。


「……あの『ウィル』の二人組を上手く利用できないかな?」


「ん? どういうことだい?」


「真犯人を見つけて、捕らえてもらうように仕向けるの。由記子さんは濡れ衣なんだし」


 凛花の提案を受けて、法条は左眼を閉じた。考え込むときのクセだった。二人のテーブルは静かになる。凛花はいつものことだと心得て、法条が応えてくれるのを待つ。


「……実は、さっきの接触の際に、あのスーツの男のメガネ型端末に『白峰由記子は無実。真犯人は別にいる』と表示させたんだ。事実を伝えるのと、それによって追跡が弱まるのを期待していたんだけど」


 その時、法条のノートPCにメールが着信したとポップアップメッセージが表示された。しらゆきへ送ったメールの返信だった。


 法条は、そのメールを開きつつ、言葉を続ける。


「流灯の言うとおり、タイラントとかいうコンクリート使いの異能者にあの二人をぶつけられると良いかもしれない。しらゆきもシャイな相棒と協力して倒すと言っていたけれど……」


「何か気になるの?」


「タイラントの異能が、街中では非常に強力だと思うんだ。コンクリートなんてどこにでもあるから。それに加えて、奴がチームを組んでいる可能性が考慮から抜けていると思うんだ。確かに、事件が起きた自由の森公園では単独だったようだけれど……」


「仮に私たちでコンクリート使いのタイラントに挑むなら、正々堂々では難しいよね」


「ああ。流灯が彼に触れられれば勝ちだけど、操るコンクリートに阻まれて詰みそうだ。丁寧に作戦を練らないと、勝ち筋が見えないと思う」


「話を戻すね。どうやって、あの二人組をタイラントに向けさせるかは?」


「しらゆきがタイラントに接触したタイミングで、そこに呼び込めると良いだろうな。……んっ?」


 法条は話しながら、開いたメールを読んでいた。しらゆきからの返信のことを、凛花にも共有する。


「さっきの接触の時に、しらゆきがあのシャインというコードネームの女性にメダルを打ち込んだのを覚えてるかい?」


 凛花はうなずく。


「どうやら、それはりんごの金のメダルだったらしい。あの二人に回収されているそうだ。そして、そのメダルの中身は、しらゆきが自由の森公園で目撃したことを映像にしたデータだそうだ」


「由記子さんも事実を彼らに伝えて、警察たちを誘導しようと考えていたのね」


「そうだね。だから、金のメダルの使い方を彼らに教えないといけない。返信のメールで頼まれてる。今、そのメダルは女神ヶ丘駅のロータリー付近にあるらしい」


「そっか。由記子さんは自分の異能で出したメダルだから、場所がわかるのね」


「流灯、もう一度異能を使いたい。彼らに電子機器経由で接触して、メダルの使い方を教えてくる」


 凛花は首を縦に振ると、再び法条の手を握った。


 *


 ここは、特殊人材派遣会社『ウィル』の事務所だ。


 レインとシャインは戻ってきていた。必要な情報を整理し、警察への情報共有や上司のクラウドへの相談のためだった。


 シャインは警察である城守彩宛に、レインはクラウド宛に、それぞれ連絡を取ろうとしていた。


 二人ともPCで作業をしている。レインのデスク横に、先の接触で回収したドローンやメダルが置かれていた。


 突然、レインとシャイン、両方のPCディスプレイにメッセージが表示される。


──持ち帰ったメダルはPCや携帯端末に触れさせれば、データを読み取れる。確認されたし。


「シャイン」

「レインさん」


 二人とも同時に顔を上げて声をかけた。目が合った。二人ともうなずいた。


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