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雨のち晴れの事件簿 ~ 性格も好みも真逆の男女バディですが、異能犯罪者は沈めます ~  作者: 凪野 晴
第3章

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第17話 提督からの依頼

 レインとシャインは事務所にいた。天円てんえん区のビル崩壊のニュースを特集しているワイドショーをテレビで見ている。


 大した情報追加もないのに繰り返される内容に、レインは嫌気がさしてきていた。


 シャインはすでに興味をなくしている。ついに、日なたぼっこをしている猫のような欠伸をした。


「レインさん、どう思います? 手抜き工事ってことですかね?」


 飽きてきて、結論だけをレインに求めている様だった。


「そんなわけないと思う。行政施設が集中する天円区だろ? 市の指定した入札条件をくぐるために安く見せていたかもしれないが、大抵は別口で金の流れはあるもんだ。それに、市民が利用する施設だから、手を抜いたら市から訴えられるだろう」


「そんなもんですか。じゃ、なんで完成間近で崩れちゃったんでしょうね?」


「わかんないところだが……ビルが崩れるなんて大事だ。異能者が絡んでいる可能性があるかもしれない」


 レインがテレビを消すように音声コマンドを告げた。そして、パソコンでメールを確認する。


「あ、クラウドさんからメール来てますね〜」


 シャインが言った。どうやら同じタイミングでメールを開封したようだ。


「アドミラル建設からの依頼? 警察じゃないのか」


「珍しいですね。あ、あれ? さっき見ていたビル崩壊のニュースで聞いたような会社名ですね」


「まさにその会社だ。やはりビル倒壊は異能者が絡んでいると考えられているようだな。クラウドからのメールだと……詳しくは依頼人に聞いてくれって書いてある。依頼人に連絡して、オンライン会議を調整してみるか」


 レインはアドミラル建設の担当者へメールを送った。何通かのやりとりでオンライン会議は、今日の十五時に決まった。


 メールのやりとりにシャインも含まれていた。正直、早く電話で話せばいいのにと思った。そのことをレインに告げると……。


「こういうのは証跡としてメールなどを残しておく方がいいんだ。今日起きた事件に対しての依頼だけれど、会社対会社の取引の手続きは時間がかかるもんだ。つまり、契約手続きがされる前に、俺らが動くことになるだろう。後で契約されなかったなんてなると、働き損になる」


「へー、そういうものですか。警察とは、同じ様に毎回契約しているわけではないですよね?」


「ああ、そこは年間契約にしてある。なので、いちいち契約手続きをやらずに済むんだ。足が出た分は後日請求しているけれど」


 *


 十五時になった。二人はアドミラル建設の担当者がオンライン会議に入るのを待つ。


 少しして、アドミラル建設の担当者が会議にチェックインしてきた。


「音声、大丈夫でしょうか? 私はアドミラル建設のリスクマネジメント室に所属しております、大町理恵おおまちりえと申します。ゆえあって、オンライン会議に顔出しはNGなので、ご了承ください」


「はい。かまいません。早速、依頼の本題に入りたいところです。今朝、御社が建築を請け負っていたビルが崩壊したとか?」


 レインが応え、そして聞いた。


「その通りです。ニュースにもなっているので、すでにご存知でしたか。その件についてのご依頼となります」


 大町理恵はオンライン会議でカメラをオフにしている。したがって、どんな表情を今しているのかはわからない。だが、理性的な話し方、所属している部署名からして、頭の良い女性なのだろうと思われた。


「どうして、弊社にご依頼を?」


 今度はシャインが聞いた。


「簡潔に申しまして、今回のビル建設については、問題はなかったのです。建設の工程管理はきちんとしており、品質に問題ないと社内で結論づけております。ですが、あり得ないことが起きました。ビルが一夜にして崩れ去った。全倒壊です。ゆえに、人知を超えた力を持つ者に意図的に崩壊させられたと、弊社では考えております」


「承知しました。我々に依頼する仕事内容を具体的に教えてください」


 レインが先を促した。


「はい。大きく二つあります。一つ目は今回の出来事が……異能というのでしょうか、人知を超えた力によるものだったかの調査です」


 大町理恵が伝えてきた。


「つまり、現場を調査して、『異能によって引き起こされたか』の証拠を探せということですね」


 レインが確認する。


「そのとおりです。後ほど、ビル崩壊現場で記録していた防犯カメラ映像をお見せします。先に簡単に報告しますと、二人の人物が建物に侵入していました」


「先ほど、大きく二つあるとおっしゃっていましたが、もう一つはどのような依頼ですか?」


 シャインが聞いた。


「崩壊の原因が異能者によるものとわかったら……二つ目の依頼として、市内で弊社が建設中の建物に危害がおよばないように護衛をしてほしいのです」


「はい? つまり、建物を守って保護しろってことですか?」


 シャインは驚いて聞いた。建物を守るという依頼は初めてかもしれない。


「失礼ですが、大町さん。どうして建物を護衛する必要があるのですか? 異能犯罪者によるものだとしたら、他の建設物が狙われる。どうして、そうお考えなのでしょうか?」


 レインが核心を突く。


「……それは弊社内の秘密情報ですので、これ以上はお伝えすることができません。ご了承ください」


 理恵は静かに告げた。


「そうですか。……仕方ありません。まずは一つ目の『ビル崩壊が異能者によるものか』の調査を進めたいと思います。先ほど建設現場の防犯カメラ映像があるとおっしゃっていましたが……」


 レインが尋ねた。


「はい。今、お見せします。画面を共有しますね」


 そして、ビル崩壊の現場での防犯カメラ映像がオンライン会議の場で再生された。

 

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