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49、ミルの能力

「これ見える?」

「み、見えてる。なにそれ……? 私の結界に絵が書いてあるみたい」

「俺の能力の一つでマップって言うんだ。近づいて見てみて。危なくないから大丈夫だよ」

「分かった……」

「この世界の地形が正確にわかって、さらにそこに住む生命体の場所が一キロ以内なら点で示される。ほら、ここに赤い点と青い点があるでしょう? 赤は俺とミルで青がミレイアだよ。そして周りにある黒が魔物」


 冒険者が一キロ以内にいないかな……あっ、ちょうどよく発見。


「この緑の点は他の冒険者だと思う。青が俺達に好意的な人を表して、緑が特に害はないけど特別好意もない人、黒が悪意がある人なんだ。魔物も黒で表されるよ」

「こんな能力があったんだね……」

「便利でしょう? だからこの色が青の人には話しても大丈夫かなって思ってるんだ。まあその中でも俺が信頼できると思って、さらに仲間になる人にしか話さないけど」

「それなら確かに問題は起こらないのかも……本当にトーゴは規格外だね。もうさすがに他にはない? 他にはないよね……?」

「えっと、まだあるんだけど……」


 俺のその言葉にまた呆然と遠くを眺めた後、ミレイアは覚悟を決めたのかパンに豪快にかぶりつきながら続きを促した。


「じゃあもう全部聞く!」

「ははっ、ありがと。後は魔法のことかな。俺って全ての属性魔法が使えるんだ。後は魔力量も多分人間の中では最大」

「全ての属性で、魔力量が最大……!?」

「そうだよ」

「じゃ、じゃあ、もしかしてだけど、パーフェクトヒールも使えるの……?」


 ミレイアが恐る恐る聞いてきたその質問に、俺はすぐに頷いた。


「まだ病人に使ったことはないんだけど、練習したら発動はできたよ。でも使うとその場で魔力が切れて倒れるから、安全な街の中か仲間が俺を運んでくれる状態じゃないと使えないかな」

「そーなんだ。本当に凄いね……」

「あとは最後にミルのことなんだけど、実はミルって人の言葉が話せるんだ。普段は話さないようにしてもらってるんだけど」

「人間の言葉を……話す?」

「そう。ミル、改めて自己紹介する?」

「はい! ミレイアさん初めまして。ミルと申します」


 ミルはそう挨拶をしてにっこりと微笑んだ。うん、ミルが可愛い。犬なのに笑った顔が分かるところなんてもう奇跡だ。ミレイアも同じことを思ったみたいで、ミルに引き寄せられるように一歩ずつ近づいてぎゅっと抱きしめた。


「ミルちゃん可愛い……! 私の言葉が分かるの?」

「はい。分かります」

「ミルちゃんと話せるなんて……これは夢?」

「現実ですよ。ミレイアさん、これからよろしくお願いします。あっ、あと私の能力も披露しておきますね」


 ミルはそう言ってミレイアから少し距離を取ると、体を大きくさせた。そして「これが最大です」と言うと今度は小さくなっていく。


「これが最小です。僕は体の大きさを自由に変えられるんです。後は水魔法と風魔法が使えて、爪を硬化して攻撃もできます! それからトーゴ様とは、念話という方法で声に出さなくとも会話可能です!」


 小さなミルが自分の能力を明かしてドヤ顔をしている。短い前足をくいくいっと動かして爪での攻撃を再現しているのなんて……可愛すぎる。


「ミ、ミ、ミルちゃん……なんて可愛いの!?」


 ミレイアが小さなミルを抱き上げて、ぎゅっと抱きしめた。そして顔をすりすりしている。その気持ちは痛いほどに分かるんだけど……ミルがちょっと苦しそうだから止めようか。


「ミレイア、ミルが苦しそうだよ」


 そう声をかけて腕の力が少し緩んだところで、俺はミルをミレイアの中から救出した。そして俺の腕の中にすっぽりと収まったミルは、ありがとうと顔を舐めてくる。

 やばい……可愛すぎて顔が緩みまくる。やっぱり小さなミルは特に可愛い。


「俺の秘密はこのぐらいかな。一応全部他の人には隠してるから、ミレイアにも秘密にしてもらえるとありがたい。ミルは白狼ってことになってて、俺も水、氷、光、闇の四属性ってことになってるから」

「……分かった。もちろんそこは秘密にする」


 ミレイアは真剣な表情で頷いてくれた。


「そういえば聞いてなかったけど、ミレイアって何歳なの?」

「十五歳だよ。もう成人してるんだから」

「……え、ほんとに?」


 絶対に俺より歳下だと思ってた! だって、背が低いから……


「背が低いからもっと幼いと思ってたんでしょ」


 ミレイアにジト目でそう言われる。


「そ、そんなことないよ。ただ俺よりは小さいから歳下かなぁって……」

「トーゴは何歳なの?」

「俺も十五歳だよ」

「じゃあ同い歳なんだね」


 本当に同い歳には見えない。まあ俺の十五歳が適当に決めた歳だからそうなのかもしれないけど……


「それは、良かったのかな?」

「まあ良いんじゃない?」

「そっか」



 そうしていろんな話しをしながらパンを食べて休憩をして、午後も結界の練習に励んだ。そして少し早めに練習を終え三人で街へ戻ってきた。今日のうちにミレイアの冒険者登録をするのだ。


「ミレイア、冒険者登録をする時に自分の能力を書く欄があるんだけど、結界は書かないでおいてくれる?」


 俺は冒険者ギルドに向かって歩きながら、小声でそう告げた。すると不思議そうに首を傾げられる。


「何で?」

「まず結界って概念がこの街や国に浸透してないから分かってもらえないと思う。それから凄く珍しいものだから、今の時点で大勢に知られるのは避けた方が良いと思う。俺もミレイアを守れるほどの力はまだないし、ミレイア自身も自衛できないでしょ? だから知らせるにしても、もう少し強くなってからの方が良いかなって」

「確かにそっか……じゃあそうするよ」

「うん。あっ、そういえばミレイアって文字書ける? それから敬語とか計算とか」


 もしできないのなら、これから段々と教えていかないといけない。


「一応できるよ。家の中で時間が有り余ってたから、お母さんが勉強できるようにって本を買ってくれてたの。それに敬語はお母さんが使えたから教えてもらったし、本でも勉強したよ」


 できるのか、それなら良かった。やっぱりこの世界は学んでる人も結構いるんだな。


「なら心配はいらないかな」

「うん! そこは任せて」

「りょーかい」


 冒険者ギルドに入るとまだ時間が早いからか、中には数人の冒険者しかいなかった。俺はミレイアを連れてリタさんのカウンターに向かう。


「リタさんこんにちは」

「トーゴさん今日はお早いですね。依頼達成ですか?」

「いえ、今日は依頼を受けていなくて、仲間の冒険者登録に来ました」

「ミレイアです。よろしくお願いします!」


 ミレイアは初めて冒険者ギルドに来たみたいで、ちょっと興奮気味に挨拶している。登録できることが嬉しいみたいだ。


「かしこまりました。ではこちらの用紙にご記入をお願いします。文字は書けますか?」

「はい、大丈夫です」


 ミレイアの字はクセがなくてとても綺麗な字だった。あのまま部屋から出られなかったら、代筆屋とか書写屋でもしようと思ってたのかな。


「トーゴさん、この方とのご関係は……」


 そうしてミレイアのことを眺めていたら、リタさんに聞きづらそうにそう問いかけられた。まあ気になるのも当然か……ミレイアは冒険者になるようには見えない容姿に体格だし、さらに魔法も使えないことにするんだから。

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