表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/159

100、黒の冒険者

 次の日の朝。

 俺達は依頼を受注してから、ダンジョンに向かう前に隠し部屋の情報をギルドに伝えておこうと思い、その旨をモニカさんに伝えた。するとモニカさんによって、すぐ別室に案内される。


「こちらで少々お待ちください。担当の者を寄越します」

「分かりました。よろしくお願いします」


 少し待っていると部屋に現れたのは、若い男性職員だった。たまに買取受付にいる人で、仕事ができると思ってたけどこんな仕事もしてたんだな。


「お待たせいたしました。ダンジョンに関する情報提供があるとのことでしたが、さっそくお聞きしてもよろしいですか?」

「もちろんです。ダンジョンの九層なのですが、ギルドで購入した地図だと……この辺です。この辺りの森の中に隠し部屋があります。この情報って既出でしょうか?」

「……いえ、初めて聞きました」


 男性は衝撃を受けたようで、呆然と首を横に振っている。


「どのような構造なのか、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

「はい。入り口はごく普通の木の根元にあります。少し土を掘ると丸い取っ手がついた石柱のようなものがあり、それを引き上げると穴が現れます。人が一人通れるほどのその穴の中には階段があって、階段の先に隠し部屋があります」

 

 男性は俺のその説明を、一言も聞き漏らさないというように必死にメモをしている。これってやっぱりかなり大きな情報だよな。


「隠し部屋にはキラーアントが十匹いて、その奥に宝箱がありました。その宝箱から出て来たのが、こちらのお皿です。ここの鑑定士であるセルジさんに鑑定を頼み、初のアイテムだと鑑定書を書いていただきました。効果は皿に載ったものの毒除去だそうです」


 俺が皿をアイテムボックスから取り出して机の上に載せると、男性は恐る恐るといった様子で皿には触れず、さまざまな角度から毒除去の皿を観察した。

 そしてこのアイテムのことも紙に書き込むと、ほぅ……っと息を吐き出して顔を上げる。


「とても有益な情報をありがとうございます。これから他の冒険者に対して調査依頼を出し、その結果が出てからこの事実は公表されることになります。発見者とは別の者に調査を依頼するのが決まりとなっておりますので、そこはご了承ください」

「それは全然構いません」

「ありがとうございます。では情報提供に関する報酬を持って参りますので、少しお待ちください」


 それから五分ほど待って帰って来た男性の手には、かなり膨らんだ布袋が握られていた。


「お待たせいたしました。ギルドに大金貨の持ち合わせがちょうどなく、金貨でのお支払いとなりますが申し訳ございません。合計で大金貨二十枚。金貨では二百枚の報酬となります」


 ……え、大金貨、二十枚!?


「それ本当かよ!」

「ま、間違いですよね……?」


 俺が衝撃から何も言葉を発せないでいると、ウィリーとミレイアが驚きを声に出した。


『トーゴ様、大金貨二十枚って、日本円に換算すると二百万円以上になるんじゃ……この国は日本よりも食費が安いので、食事換算ならもっと大金ですよね!』

『そうなる……かな』


 まさか情報提供だけでこんなに報酬がもらえるとは。マジで驚いた。隠し部屋の情報ってそんなに貴重なのか。


「今まで見つかっていなかった隠し部屋の情報、さらに良いアイテムが出る可能性がある宝箱付き。それからキラーアントの存在を事前に察知できたこと。これらのことから妥当な金額です。お受け取りください」

「……ありがとう、ございます」


 俺は怖くて少しだけ震える手で布袋を受け取ると、皆で一緒に枚数を数えた。そしてぴったり二百枚あることを確認し終えてすぐに、アイテムボックスに仕舞った。

 手に持っていたらいつなくすかと気が気じゃないのだ。


「本日は非常に有益な情報をありがとうございました。また情報がありましたら、ぜひギルドに伝えていただければと思います」

「分かりました。その時は伝えさせていただきます」


 俺達は男性に挨拶をして、応接室を後にした。


「マジで驚いたな……」

「本当だよ」

「あんなに貰えるなんてね」


 皆で報酬についての驚きを共有しながら、ダンジョンに行こうとギルド出口に向かう。


「自分達へのご褒美に何か美味しいものでも食べる?」

「本当か!? それ最高だな!」

『食べたいです!』

「ふふっ、二人とも食いつきが凄いね。今度高級店にでも行ってみる?」


 ミレイアのその提案に、ウィリーとミルが食い気味で反応した。そうして俺達が楽しく談笑しながらギルドを出ようと扉に手をかけたところで……突然、知らない冒険者に話しかけられた。


「やあ、君達。光の桜華だよな?」


 三十代前半ぐらいに見える男性冒険者で、友好的な笑みを浮かべている。周りに仲間はいないみたいだ。


「そうですが……」

「ははっ、そんなに警戒しなくても大丈夫だ。俺はこのダンジョンでソロ冒険者をやってるロドリゴって言うんだ。よろしくな」

「……よろしくお願いします」


 俺はロドリゴさんと握手をしようとしたウィリーとミレイアを制して、握手はせずにその場で頭を下げた。


「俺達に何の用ですか?」

「いや、君達はとても優秀な新人だと聞いてな。何か手助けができればと思ったんだ。先日までダンジョンに潜ってたから君達は知らないかもしれないが、俺はBランクでこのダンジョンでトップをやらせてもらってる。だからこのダンジョンに関する知識はいろいろあるし、役に立てると思うぞ」


 そう言って人好きのする笑みを浮かべたロドリゴさんは凄く良い人に見えるけど……俺は最大限に警戒していた。なぜならマップに映っているロドリゴさんを示す点が――


 ――黒だったのだ。


 俺達とロドリゴさんは初対面のはずなのに、何で黒なんだろう。どこで恨まれたのか分からないけど、とりあえず警戒しておいた方が良いだろう。


「ありがとうございます。でも俺達は自分達の力でどこまでできるのか試したいので、すみません」

「……そうか、それなら仕方がないな。また何かあったらいつでも声をかけてくれ」


 ロドリゴさんは最後にまた親しみのある笑みを浮かべて、俺の肩を叩いてから冒険者ギルドを出ていった。


「はぁ……緊張した」


 思わず小声でそう呟くと、ウィリーとミレイアは俺の様子がおかしいことに気づいていたようで、心配そうな表情で顔を覗き込んできた。ミルも俺の手に顔を擦り付けてくれる。


 とりあえず……二人に話をしておいた方が良いよな。ダンジョンに行かないで宿に戻るか。

web版ではなんだか不穏な雰囲気ですが、嬉しいお知らせがあります。

「神に転生した少年がもふもふと異世界を旅します」書籍2巻の刊行が決定しました!


クリスマスイブに嬉しいご報告ができて幸せです。皆様がお手にとってくださったおかげですので、勝手に皆様からのクリスマスプレゼントだと思っています。本当に本当にありがとうございます。

1巻の購入を悩まれている方がいましたら、続刊が決まったこのタイミングで手を伸ばしていただけたら嬉しいです!

ご友人やご家族へのプレゼントや、年末年始のお供などにぜひ!


これからもweb版、書籍版ともによろしくお願いいたします。

では良いクリスマスをお過ごしください。


蒼井美紗

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ