竹刀の剣士、異世界で無双する その47 ダヒトのこれから
前回でダヒトの村の優勝が決まりました。このお話は、もう少しだけ続きます。お付き合いをお願いします。
47 ダヒトのこれから
選手たち、マネージャーたちが試合場から引き上げると、残ったのは俺たち3人だけになった。広い試合場の隅に3人で車座に座る。
「さて、どんなお話でしょう?」
俺が水を向けると、互いに目配せしあっている。
「お前から・・・」
「いや、あんさんから・・・」
と、言い合っているようだ。なんだ、この2人は?仲良しか?
しばらく目配せしあってから、意を決したようにランケスさんがこちらを見つめる。
「ヨウスケ殿。あなたは200年ぶりの稀人だと聞いた。それは本当だろうか?」
「そうそう、うちもそれが気になってまんねん。」
なるほど、俺の正体から話すのか。俺は、元の世界のこと、この世界に来てからのことをかいつまんで話した。
「なので、私にも何がどうなってここにとばされてきたのか、分からないのです。皆さんにはわかりますか?また、私は元の世界に戻ることはできるのでしょうか?」
「うーむ。私には詳しいことは分からないが、ヨウスケ殿がここにやってきたきっかけは、あなたの車の前に飛び出した子狐のような気がする。伝承では、200年前にやってきた稀人も、子狐に導かれたとある。また、我が国を作った武神デールも、狐を飼っていて、狩りに連れて行ったという伝承もある。」
「へー。それは知りまへんでしたな。さすが元王都騎士団の大隊長。くわしいでんな。」
「それで、元の世界に戻るという話だが、伝承では、稀人が元の世界に戻ったという記録はない。200年前の稀人も、この国で生涯を終えたらしい。」
「ああ、その前の稀人、確か500年前でしたか、その人も、この国で死んだらしいと伝わっております。」
「そんな、昔の記録があるのですか?」
「ええ、わてはベナン領の騎士団にいました。ベナン領は今でこそダイデロッチ王国の東の辺境になっておますが。500年前は独立した国だったそうです。その頃の昔話が残っておりまんねん。でも、ほとんどが荒唐無稽なおとぎ話なんで、誰も本当のことやとは思っとりません。わても、ヨウスケはんの話を聞いて思い出したっちゅうことですわ。」
「ありがとうございます。貴重な情報でした。では、改めて、私もこの国で生きていく覚悟をしなければなりませんね。」
「まあ、生きていくうちに、大きく世界が変わることはよくあることだ。私も、一介の剣士から騎士団員になり、大隊長になったかと思えばこうして闘技大会のコーチになってしまった。」
「わても似たようなもんです。領都の騎士団でブイブイ言わせとったんが、部下の些細なミスの責任を取らされてくびになってもうて。気が付いたら闘技チームの監督でしたわ。」
「そうなんですか。」
「ところで、今後のことだが。」
「はい?」
「そうや、今までのことより、これからのことのほうが大事でっせ。」
「私の見る限りでは、ダヒトチームから王都大会出場者が出るだろう。そして、王都大会でも、上位に食い込む可能性が高い。」
「せや。あんさんの闘技術、ええっとケンドーとか言わはりましたな。あれはめちゃくちゃなしろもんでっせ。さっきの試合。わてはあれでもかなり気合を入れてましたん。でも、あかんかった。手も足もでえへん。言っとくけど、わては強いんでっせ。そこらの選手ならわての双剣で蹴散らすところや。それが、なんてことや。自信もプライドも粉々や。」
「うむ、私も同じ意見だ。私とて、ついこの間まで王都騎士団の大隊長だった。毎週のように魔獣や盗賊と戦っていたのだ。場数はそれなりに踏んでいる。しかし、ヨウスケ殿の技は全く読めなかった。」
「そこまでとは・・・。ありがとうございます。私にしても、さっきの試合はぎりぎりでしたよ。」
「謙遜はやめやあ。見とったもんは、あんさんの圧勝に見えたはずや。」
「おそらく、このケンドーという闘技術に勝るものはいないであろう。先ほども言ったが、ダヒトチームは今年の大会で大きく成績を伸ばす。そうすればどうなると思う?」
「ええっと。闘技大会で上位に入れば、村の順位が上がります。そうなると、税が安くなり、鉄がたくさん支給され、家畜を増やすことができます。塩や香辛料も手に入りやすくなりますよね。ダヒトの村は暮らし良い村になります。」
「そうでんな。そこにまちがいはおまへん。でもな、それ以外はどうなるんや?」
「それ以外・・・?」
「やっぱり、考えてへんかったか。まあ、あんさんは稀人やから、しゃーないかもな。」
「何か、あるんですか?」
「その先は、わしが話そう。」
突然後ろから声がかかった。
驚いて振り返ると、コサロ村長が立っていた。
「村長。いつの間に?」
「なに、ランケス殿とガリス殿の話と言うのが気になってな。途中から引き返してきたんじゃよ。」
「どこから話を聞いていたんですか?」
「ダヒトの村のこれから、と言うところからじゃ。村にかかわることなら、村長のわしが話に加わってもよいじゃろう。」
二ッと笑いながら村長は車座に加わった。
「さて、闘技大会で上位に入れば、村の暮らしはよくなる。と言う話の続きじゃったな。」
みんな頷く。
「端的に言おう。これから村は危機に見舞われる。」
「えっ?そんな?・・・」
意外な発言に俺は驚き、思考が停止した。しかし、ランケスさんもガリスさんもその通りとばかり平然としている。
「どうして?私は村の生活をよくしたくて剣道を始めたのに・・・。危機って・・・。なぜ?・・・」
「まあ、ヨウスケはんの気持ちは分かります。順を追って話しますよって、落ち着いてください。」
「・・・・はい。」
「ヨウスケはんの言うように、闘技大会に上位に入れば、税が安くなる。その通りでんな。では、その安くした分はどこから持ってくると思います?」
「それは、闘技大会で負けたところから。」
「その通りや。それは、今まで闘技大会で上位に入り、税を安くしてもらっとった村や町が、来年から急に税が上がることになるということでんな。」
「それは・・・・、そうなります。」
「そんなら、その村や町の住民はどう思うでしょうな?今までの税が急に上がったんや。生活が厳しゅうなりまっせ。」
「・・・・そうですね。」
「そして、村や町の長は、こういうんでしょうな。税が上がったのは、ダヒトの村のせいだ。ダヒトの村が急に強くなって、上位に入ったからだ。」
「・・・・そんな。」
「ええですか?ヨウスケはん。町や村を治めるものは善人じゃおまへん。むしろ自分たちさえよければ、ほかの村を困らせるぐらいのことは平気でしまっせ。」
「わしらが、領都に入るときにシャイトスたちに困らされたじゃろう。ああいうことがあちこちで起こるんじゃよ。」
村長が、補足してきた。
「な・・・。そんな・・・・。」
「今回はシャイトスの暴走と言う形で納めたし、領主ベナン様との話もついているからこれ以上のことはないじゃろう。しかし闘技大会が終わり、来年になれば、国のあちらこちらからダヒトの村を非難する声が上がるじゃろう。」
「村長殿の言う通りだ。税だけではなく、鉄も、塩もこの国では不足している。ダヒトの村に鉄や塩をたくさん送れば、今まで鉄や塩をたくさんもらっていた地域から持ってくることになる。当然それはダヒトの村のせいになる。」
ランケスさんも、頷きながら話す。
「ヨウスケはん。お分かりでっか?ダヒトの村は国中から恨みを買うことになります。中にはダヒトの村が不正を働いたゆうて、暴走する人も出てくるでしょうなあ。」
「そんな・・・。私はどうすれば・・・。」
俺は、剣道のことしか考えてこなかった。剣道の強さを磨くことが、みんなを幸せにすることだと信じてきた。なのに、まったく逆になっていた。これからダヒトの村は恨まれる。生活はよくなっても、国中の反感を買うことになる。中にはいちゃもんを吹っかけて、戦に持ち込むやつも出てくるかもしれない。盗賊の襲撃が増えるかもしれない。こんなはずではなかった。どうすればよいのだろう・・・・。
「方法がないこともない。」
ランケスさんがつぶやいた。俺は、はっと顔を上げる。
「私がやったことだ。私が生まれたのは貧しい村だった。そこで大きくなるまで森に入り、剣で獣や魔獣と戦って剣技を磨いた。そして王都大会で優勝してしまった。」
そうか、ランケスさんの村にも同じことが起こったんだ。
「当然、村の順位が上がり生活は楽になったが、周辺の村から恨みを買った。そこで、私は当時の村長と話をして、私が王都騎士団に入るという形をとったのだ。その条件で、村の順位を少し下げてもらった。」
なるほど、そういう方法があったか。
「では、私が王都騎士団に入ればよいのですか?」
俺は、すがるような目でランケスさんを見つめた。
「いや、それだけでは足りまへん。ランケスはんの時は、ランケスはん一人の強さやったから影響も小さかった。いくら優勝ゆうてもひとりの功績や、そんなに劇的に順位は上がりまへん。でも、今回はちゃいます。ダヒトの村全員が上位に入ります。ひょっとすると、これから一か月で鍛えられるうちのチームや、ランケスはんのところも順位を上げるかもしれません。影響が大きすぎまんのや。」
「では、どうすれば・・・・?」
「そこで、わてらの出番や。ヨウスケはんと戦って、その強さが不正やない本物や、と証明できるわてらが、あちこちで宣伝します。強くなりたければケンドーを習えと。」
「ほう。つまり、もっともっと影響力を高めてしまえ、というわけじゃな。」
村長さんは感心している。
「そうや。稀人の伝承。試合での活躍。なんでも利用したらええ。でも、肝心なのは、大勢の人が実際に強くなれることを示すことや。まずはここベナランで、そして一か月半後にはイーファンドで、最後に王都で、ヨウスケはんの公開講座を開いてもらいまひょ。そうやって王都大会までの4か月で、できるだけたくさんの人に剣道の技を身につけてもらうんや。」
「そして、その上で、闘技大会後、王室に直訴してもらう。」
ランケスさんから、とんでもない言葉が出た。
「ええっ?直訴って?大丈夫ですか?殺されたりしませんか?」
「大丈夫だ。ちゃんと手順を踏めば、不敬罪にはならない。
その直訴で、ヨウスケ殿が国中を回って剣道を指南することを約束するのだ。」
「実際200年前の稀人はんも、鉄の加工を教えるため、国中を回ったらしいでっせ。」
「なるほど。ヨウスケ殿をダヒトの村で囲っておくから不満が出る。ならば解放してしまえばいいか。うん。うまい手じゃ。」
村長は感心している。でも、俺には抵抗があった。
「村長、私は大勢の人に剣道を広めることに不安があります。」
「うむ、最初に言っていたあれか、剣道は剣の理法の・・・・?」
「剣道は、剣の理法の修練による、人間形成の道 です。
大勢の人に剣道を教えれば、中にはその技を自分のためや悪事に使うものも出てくるでしょう。私は、剣道を人に迷惑をかけることに使ってほしくないのです。」
「うむ、そう言っておったなあ。」
村長は腕を組んで、困った顔をする。
「何ですのん?その理法なんちゃらっていうのは?」
「はい。私の元の世界で大切にされてきた、剣道についての心構えです。
自分が強くなれるのは、稽古をしてくれた仲間のおかげ。
自分の強さは、家族や故郷のため。
そう思える人にしか、私は剣道を教えたくありません。」
「なるほど、戦いに身を置く武人にとっては、納得できる考えだ。」
ランケスさんが、頷いてくれた。
「さいですな。ヨウスケはんの気持ちは、よう分かります。けどな、あんさんの理屈はもう既に通用しておりまへんのや。」
「えっ?どういうことですか?」
「どうもこうもあらへん。もう既に大勢の人が剣道に注目しとるっちゅうことですわ。」
「うむ、その通りだ。ダヒトチームはこの領都大会で最大の注目を集めた。対戦した者だけでなく、観戦していた者も、大勢が剣道を真似てみようと思うだろう。
一見して分かるのは剣道の独特の歩法だな。右足を前に出して、左足のかかとを浮かせるのだろう。この構えで前後左右に動いてみる。最初は慣れないが、やってできないことはない。」
ランケスさんは、その場で立ち上がり、送り足をして見せた。見事な送り足だ。ちゃんと左足の引きつけができている。
「そんな、簡単にできるのか?」
村長も驚いている。
「簡単ではなかったぞ。領都大会の初戦でダヒトチームが使っていたのを見て、真似てみただけだ。まだ違和感があるので、試合には使えんがな。」
「それでも、初めて見た足さばきをたった2日でここまでできるとは。」
俺は、素直に驚いた。ダヒトの村では足さばきの指導に一か月かけたのだ。
「それくらいでよければ、わてにもできまっせ。」
と、ガリスさんも立ち上がって送り足を見せてくれる。
「なっ?」
俺が驚いていると、ガリスさんがさらに続ける。
「それから、剣の振り方にも、工夫がありますやろ。こんな感じですかな。」
ガリスさんは木剣を両手で持ち、上下振りをして見せる。手の内の締まった見事な振りだ。手だけでなく、背中の筋肉も使っているのがよくわかる。
「ええっ?そんなところまで真似できるのですか?」
俺は、思わず叫んでしまった。
「ほう、さすが騎士団の隊長をしていただけはある。驚いたわい。わしがこの動きを身につけるのに2か月はかかったものじゃ。」
と村長も感心している。
「まあ、形だけでんな。違和感がありすぎて、実践では使えまへん。
でも、わてらのようにダヒトチームの試合の見た者なら、形だけなら真似ることは難しくはないんや。あんさんも、技を見ることが練習やちゅうとったらしいがな。なんや見取り稽古やったか?せやから、この大会で対戦した相手や、観戦した者が形だけを真似て『これが、剣道や』ちゅうて、好き放題にふるまうのも時間の問題や。中には、「稀人直伝や」とか、「○○流や」とかゆうて、偉そうにする輩も出てくるやろうな。」
「そうですか。もう、私は剣道を無差別に広げてしまったのですね。」
「そういうことになる。しかし、剣道の神髄は足さばきや、素振りではないのだろう?私は先ほどの試合で、ヨウスケ殿の技が読めなかった。しかし、ヨウスケ殿は私の動きが読めていたのだろう?」
ランケスさんが、問いかける。
「完全に読んだとは言えませんが、おそらくこうなるだろうとは感じていました。」
俺は、うなだれて答えた。足さばきや、剣の扱いのほかに、読み合いまで見抜かれていたとは・・。
「そこだ。もう形だけでも広まってしまったのなら、いっそ開き直って、正しい剣道とやらを教えてはどうか?それでも、不心得を起こして、剣道を悪事に使うものは出るだろう。それは、仕方がないと割り切るしかないのではないか?」
ランケスさんの言うことには一理ある。このまま、形だけ真似た似非剣道が広がるよりは、俺が剣の理法を教えたほうがましだ。
「まあそれでも、あほな輩は出ますやろうな。そんなあほたちを防ぎたいと思うんやったら、剣道の協会を作るのも手でんな。協会でルールを定めて、剣道を習うものから一定の金銭を徴収するんや。ルール違反をした者には罰則が下される。協会に入っていないものには剣道を名乗ることを禁止するっちゅうわけや。これは、ええ商売になりまっせ。」
元の世界にも、剣道協会はあった。しかし、商売とは・・・。
「あの、ガリスさんは元騎士団隊長でしたよね?商売とは・・・?]
「うん?わては商家の生まれや。三度の飯より金儲けが好きでっせ。」
似非関西弁はだてじゃなかった。ガリスさんは商人だった。
「その、協会うんぬんは話が大きくなりすぎるので、ちょっと今は考えられません。」
「さよか。ええ話やと思うんやけどな。まあ、いずれ協会を立ち上げることになるやろ。その時は一枚かましてな。」
「ええっと、とりあえず、領都の皆さんに剣道を教える話でしたよね。」
俺は、強引に話を引き戻す。このまま、協会の話になっては俺のキャパを越えてしまう。
「わてには、領都騎士団の伝手があります。騎士団から希望者を募ることはできまっせ。」
「私にも、警備隊に伝手がある。」
ランケスさんの言葉に村長が反応する。
「警備隊と言うことは、隊長のレックスと知り合いなのかの?」
「いえ、直接の知り合いではありません。村長殿はレックス隊長をご存じでしたか?」
「うむ、わしの古い友人じゃ。」
「では、そちらのほうはお任せしましょう。私は、そうですね。領都の瓦版にヨウスケ殿が剣道を指南してくれることを載せましょうか。」
これは、領都ベナランで剣道教室を開くしかなさそうだ。
「分かりました。しかし、大勢の人を集めても、私一人では教えるのに限界がありますが。」
俺はダヒトの村で100人を教えたが、それでも全員を丁寧に見ることはできなかった。グリッツさんとシラックさんに基本稽古や互角稽古をお願いしていたのだ。
「左様でんな。領都騎士団と警備隊、それに今回の領都大会出場者、領都民、少なく見積もっても200人は超えますやろうな。」
「私とガリス殿が基本の足さばきと素振りを指導するとしても、指導者が足りんな。ヨウスケ殿には地区大会へ向けての訓練もしてもらわなければならぬし。」
ランケスさんも腕を組む。
「では、わしとダヒトの村で指導者を出そう。わしはケガをしておるから、地区大会には出られん。わしの代わりに、ランスかティングを入れればよいじゃろう。今回選手に選ばれんかったカーリンやメセルナ、マネジャー陣のミネルバやシーダ、ロッケス、グリーガーもなかなか使えるじゃろう。わしも含めて7人で指導すれば、かなり効率よく教えられるはずじゃ。ヨナスは狩人の剣術じゃから指導には向かんな。引き続き情報収集に当たらせるとしよう。ヨセフとビスナールは職人じゃから、防具や竹刀の手入れに必要じゃ。バレス、ゼータ、ノーラとソーラは実力はあるが子どもじゃから、領都民からは侮られるじゃろう。今回はヨウスケ殿の稽古を受けさせよう。」
「村長、いいのですか?」
「なに、わしはこの領都大会優勝で満足したわい。この後は、若いもんに譲るとしよう。」
村長は明るく笑ってくれた。
「ありがとうございます。」
「コーチは、ヨウスケ殿とマーリー殿、バルガス殿に任せれば良いじゃろう。選手たちの生活の世話は、うちのサリーができる。ランケス殿とガリス殿のところにも世話係がおるじゃろう?」
村長が問いかけると、
「へえ、うちにも熟練の女中がおります。お宅のサリーさんと協力できるでっしゃろ。」
と、ガリスさん。
「私のところにも、下働きの者は何人かおります。食事や、部屋の世話はできるでしょう。」
と、ランケスさんも頷いてくれた。
「分かりました。では、いつから剣道教室を始めましょうか?」
俺が問いかけると、
「領都騎士団には、もう話はしてあります。明日からでも希望者が来まっせ。」
「警備隊には、これから話すから、明後日じゃのう。」
「瓦版に載せるのは早くても、明後日だろう。だが、領都民の中には興味を持って明日からの訓練を見に来るものもいるだろう。『見学自由』として、『希望者には指南をする』と張り紙をしておけば人は集まるだろう。」
剣道教室は明日から開催できそうだ。
「分かりました。私は、
一つ 強くなれるのは仲間のおかげ
一つ 自分の強さは家族や故郷のため
という垂れ幕を作ることにします。」
俺が提案すると、
「そういうことは、ほかの者に任せるんじゃ。ヨウスケ殿はこれから、毎日厳しい稽古になる。体を休めることも稽古のうちじゃぞ。」
と、村長が言ってくれた。
「ありがとうございます。お言葉に甘えます。」
夕方になり、リクスチーム、ベナランAチーム、ダヒトチームの全員が集まった。選手だけでなく、マナージャー陣や、下働きの者も集められた。その場で、ランケスさんから、先ほど決まったことが伝えられる。元王都騎士団大隊長が威厳を持って伝えるのだ。誰も反対しなかった。そして、ガリスさんと村長から人員の配置や準備について説明があった。ダヒトの村のマネージャー陣は、自分たちが領都騎士団の指導に当たることにびっくりしていたが、今までの稽古で身につけたものを生かせばよい、と言われて安心していた。




