第9話 保険
「パーティーの結成……ね」
「はい、これで条件を満たしていますよね?」
パーティー名が決まった2人は、早速パーティー結成の申し込みをしにリアナさんの元へ行った。
簡単な書類を提出すれば、それでパーティーはひとまず結成である。しかし………
「はぁ……まあ、良いだけどね。そこの女の子と組むの?」
「はい。そう書いてあるじゃ無いですか。彼女はアリアネです」
「……なんだか複雑だけど、まあ良いわ。でも、ちょっとこっち来なさいアリアネ」
「えっ、えぇ……なんですか?」
「もしかして内容に不備がありましたか?」
「いいえ、でも個人的に聞きたいの。アリアネ、貴方もしかしてアルトのことが好きなの?」
アルトには聞こえない様に、小声でリアナは問いかけた。その言葉にアリアネは慌てて否定する。
「ち、違いますよ!助けてはもらいましたけど、異性として好きとかそんなんじゃ………」
「……へぇ〜。ならまあ良いわ!」
アリアネの返答に満足した様な様子のリアナは、パーティー結成を受理してくれた。
「よし、じゃあ保険代を払って。銀貨10枚よ」
「パーティー組んで無いと、保険おりませんから早めに作っておきたかったんですよね。はい、どうぞ」
「……あっ!ご、ごめんなさいアルトさん。お金が………」
そう、パーティー結成には銀貨10枚を払う必要があるのだ。そこまで高額では無いが、ほぼ無一文のアリアネにとっては大金である。
「良いよ別に僕が払うから」
「ええ……どうしてそんな優しくしてくれるんですか?」
「……別に特段優しくしてるつもりはなかったんだけど、強いて言えば必要経費だからね。ここでアリアネが払えないからパーティーに入らないってなる方が問題だよ」
「すみません。いつか返します」
「…別に返さなくても良いのに」
「はい!お2人さん!これでパーティー結成よ」
「!」
「!」
「何驚いた顔してんのよ」
「いや……なんだか実感湧かないなって………」
「あんた達、今までパーティーに入って冒険者やってたでしょうが!」
「まぁ、そうなんですけど…自分達で作ったと思うと……」
「ったく!さっさと冒険なりなんなり行ってきなさい!」
こうして、2人の冒険が始まったのである。
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