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第5話 追放




「アリアネ、君は今日限りでクビだ」


「ええっ!何でですか!?」


Sランクパーティー『背徳』のリーダーである長身の男シールに、茶髪の可愛らしい少女は、パーティーからの追放を言い渡されてしまう。

それを隣で見ているパーティーメンバーである女3人は、嬉しそうな表情をしていた。


「わ、私!何でもします!だからクビだけは………」


「はぁ……何で自分が追い出されるのか分かるか?」


「へ?……ごめんなさい!分からないです」


「それはな!君のスキルが役立たずだからだ!」


「そ、そんな筈……」


「じゃあなんだ?お前の持つエクストラスキル『分離複合』は役に立つスキルだってのか?」


分離複合とは、アリアネの持つスキルの1つであり、その内容はスキルの分離や複合であった。

例えば、火魔法にファイヤーアローという魔法がある。

この魔法は魔力を消費する事で擬似的な炎の矢を作り出し、敵に放つスキルだ。

このファイヤアローに水属性魔法のアメフラシ(範囲内に雨を降らせる)を分離、複合する事で、炎の矢の雨を降らせる新しいスキルを作る事が出来るのだ。

このパーティーのメンバーは、皆んなアリアネのスキルのお陰でオリジナルで強力なスキルを持っている。

だからこそ、彼等はSランクパーティーなのだが、そのことに気づく者は少ない。


「役に立ってるじゃ無いですか!私のスキルでシールさん達のスキルを新しくして……」


「でもな、アリアネ……君自身の攻撃力は殆どないに等しいだろう?確かに君は少しは役には立ってるのかもしれない。でも所詮、僕達の優秀なスキルに少し手を加えているだけだ。新たに攻撃役が加わればこのパーティーはもっと高みに行ける。

あの『鮮血』を出しぬけるかもしれない程にね!」


「でも………」


「分かってくれ。それに……君がこのパーティーで他の女の子達に嫌がらせをしているというのを聞いたよ。彼女達曰く、パーティーホームの管理や冒険に必要や物の買い出し、依頼の達成報告に、金策まで押し付けてるんだろ?果ては冒険で手に入ったレアアイテムまでも独占してるんだって?」


「なっ!そんな事………」


今言った事は全てアリアネがされた事だ。

パーティーの女達は碌にパーティーホームの掃除や洗い物の洗濯をせず、仕方なくアリアネが1人でやっていた。冒険の途中で手に入った薬草なんかによる金策も彼女がやっていた。

このパーティーのメンバーは皆どうも金遣いが荒いようなので、彼女が節約と副業でお金を作るしかなかったのだ。

しかし、真面目な彼女はどうにも他の女達から嫌われていた様だ。


「アリアネ、本来なら君にはレアアイテム分の被害請求をしても良いんだ。でも、今パーティーを抜けてくれるのなら、退職金と相殺ということにしてあげよう。賢い君なら分かるだろう?」


アリアネは、その意味を理解してしまった。本来まともな証拠も無く、めちゃくちゃな訴えが聞かれるはずもないのだ。

しかし、アリアネはパーティーの脱退を決意する。これ以上このパーティーにいる事は自分にとっても彼等にとっても良くないと思ったからだ。

涙を押し殺して、パーティーの脱退を宣言する。


「分かりました……出て…行きます」


「良かった!君ならそう言ってくれると思っていたよ」


荷物を持ってとぼとぼとパーティーを出ていくアリアネを、残った女達は嬉しそうに見ていた。


「ねぇ〜シール!今日はぁ〜あいつを追い出した記念にパーティーしましょ♡」


「そうだね。お別れ会ということにしようか……本人はいないけどね!」


「「「「アハハハハハハハハ」」」」


元々この追放はパーティーの女達が仕掛けたものだった。

アリアネを追い出す適当な理由をリーダーであるシールにでっち上げた。

あからさまな物もあったので、シールも流石に疑ったのだ。

しかし、シールにとっては事実などどうでも良かった。

このパーティーでは3人の女の子の言うことを聞いているだけで、女達は自分に従ってくれる。

ハーレムを作れる。

だから、出来の悪く反論もする女を1人追い出すことに、疑問も躊躇いも感じなかったのだ。

これが彼等にとっての破滅へと近づいているのに………





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