第2話 謎のスキルの仕組み
「なんだこれ?……『泣けば泣くほど強くなれる』?」
聞いた事のないスキルだ。
その前に天の声が言っていた、隠しスキルについては知っている。
本人が獲得してはいるが、特殊な理由によりステータスに表示されないスキルの事……
僕は知らない間に『泣けば泣くほど強くなれる』を獲得していたという事だが、今までろくに泣いたことがなかったから気づかなかったのだ。
そして、今初めて泣いたからスキルが発動したと……
何か変わった所は無いかとステータスを見るが特に変化はなさそうだ。
スキルの方はどうだろうか?
スキル一覧を見てみると、獲得していたスキルの上限レベルが上がっていた。
「ええ!なんで!?」
ここで簡単に説明させてもらうと、スキルとは、鍛錬によって獲得するものであり、人によって獲得出来るもの、出来ないものがある。
そして、その獲得したスキルにも成長限界があり、それもまた人によって違うのだ。
僕はほとんどのスキルを獲得出来るという極めて珍しいタイプだったのだが、そのどれもが上限レベルが低かった。
通常、レベルの上限は50くらいだと言われている。高い人で60〜70。僕の所属していたパーティーはSランクだったので、皆んな80近かったのだ。
スキルを沢山獲得出来ても、誰もが僕を「器用貧乏」と言う……
「でも……いや、おかしいだろこれ。レベルの上限が上がってる?この『泣けば泣くほど強くなれる』ってスキルのせいか?でも上限を上げるスキルなんて聞いたこともない……」
どうしよう……全てのスキルの上限が50上がっている。しかもちゃっかりレベルまで上がってるし………
「これをデント達に伝えたらきっとパーティーに戻してくれるだろうなぁ………」
先程のレベルアップで上限が、低くてもLv55、高いとLv95まで上がっている。
ほとんどのスキルが覚えられる上に、低くとも上限がLv55なんて有望株…どこのパーティーでも引っ張りだこだ。
この事を伝えたらデント達も僕をパーティーに戻してくれるに違いない。
しかし、それでは面白く無い。
どうせなら裏切ったアイツらが僕に戻って来てくれと頼み込むくらいに強くなってやろう。
そしてそれを笑ってやるんだ!
………僕ってひょっとして性格が悪いのだろうか?
まぁ良い。
とりあえず、今は片っ端からスキルを鍛えていくとしようか!
僕は早速、ポーションを持って魔物狩りに出る事にした。