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巫女姫剣士浪漫譚 さくら姫 舞う  作者: 藤井ことなり
第一章 白邸領と城下町
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典翁の噺 三

 民草は、またいくさばかりの地獄のような日々が戻ってくるのかと恐れましたが、意外や意外そのようなことはなく、魔人皇佐武狼はすべてをかけてただただ天空の神々へと向うための塔、その名も天喰之塔(てんくうのとう)を築くだけでした。


 そして、間もなく、出来上がる、というその時であった。

 突如、現れた天空の神からの使い。様々な戦の神々が我等に逆らう不届き者と佐武狼に襲いかかってきたのでありました。

 御角野佐武郎、いや魔神皇佐武狼の造りし天喰之塔(てんくうのとう)を壊さんと空から舞い降りてくる戦神、それを迎え討つ魔人皇。


 塔内は魔人と化した配下の者達がに任せ、佐武狼はたった独りで神々に立ち向かう。襲いかかる神々、しかし佐武狼、これを次々と神殺しの剣をもってどんどん斬り捨てていく。


 佐武狼手強しとみた天空の神々はついに最強の戦神、凄乃雷鳴尊スサノライメイノミコトを使わせるのでした。

 凄乃雷鳴尊は塔上てはなく地に降りると、佐武狼ではなく配下の魔人達に挑みかかる、そして向かうは上ではなく下、囚われの雁木義仲を牢から助け出のすでありました。


「かたじけない、して佐武郎はいずこに」


「魔神皇となった佐武狼は、()が魔人ともども退治いたします。義仲はこれより京に赴き、閉じ込められた神皇とその一族をお助け願いたい」


「馬鹿な、佐武郎を退治するというのか。神とてそれは許せぬ。 佐武郎は義仲の無二の友、この義仲が説き伏せてみせます」


「それは無駄なこと。佐武狼はすでに人ではない、魔人皇と名乗るほどに人からかけ離れてしまったのだ。たとえ説き伏せても神皇らにあのような真似をしては助かるまい」


 それでも説き伏せるという義仲に、凄乃雷鳴尊がつたえる。


「ならばまず神朝廷の結界を消してもらいたい。あの結界は、神人や神亜人の者達には効くが人には効かぬ。彼等を助け武門の頭領である義仲殿の言葉なら説き伏せることもできよう。急ぎ都へ向かうがよいがよい」


 そう言うと惟凄乃雷鳴尊はそのチカラをもって義仲を神朝廷近くまで飛ばすのでありました。


 飛ばされた義仲は塔に戻らんとしたが、あまりに遠い。未練を残しながらも今は将軍としての役目を果たそうと、義仲は神皇たちを助けにと向かうのでした。


 場所は戻って天喰之塔。凄乃雷鳴尊は地下から魔人を退治しながら上へと向かっていく。上に行くほどより強い魔物と魔人が襲ってきたが、流石は最強の戦神、凄乃雷鳴尊惟任これを難なく倒していく。


いよいよ塔の頂上に着き魔人皇と対峙する。


「佐武郎、いやさ魔人皇佐武狼だな」


「いかにも」


「戦を司る神、凄乃雷鳴尊。貴様を退治する」


「神の使いっ走りが。貴様など相手にしている暇はない」


「いざ参る」


 そういうと凄乃雷鳴尊、神剣雷鳴乃剣をかまえ佐武狼に斬りかかる、しかし佐武郎これを腰の両刀を抜かぬどころか、避けもせずに身体ごと受ける。


 なんと佐武郎の身体はまったく傷つかず不敵な笑みを浮かべる。


「なんと」


「ふっふっふっ、どうした、そんななまくらで我を退治できると思うとなぞ片腹痛いぞ」


「おのれ」


 凄乃雷鳴尊、二度三度と斬りかかるが、佐武郎まったく動じない。凄乃雷鳴尊もさすがに焦り始める。


 斬り疲れたか肩で息をはじめる凄乃雷鳴尊に、佐武狼が拳で腹に一撃を入れる、凄乃雷鳴尊、端まで吹き飛ばされ、その場に崩れ落ちるのであった。

 凄乃雷鳴尊にとどめを刺そうと、佐武郎は両脇に差した太刀をともに抜く。


 この太刀こそ魔人と化した佐武狼が神殺しのために拵えた太刀、計都之太刀(けいとのたち)そして羅喉之太刀(らごのたち)であった。

 凄乃雷鳴尊の前に立ち、二刀を斜め十字に組み合わせ佐武郎が唱える。


(しょく)


 凄乃雷鳴尊の力の源、神の光が魔人の闇に覆われていく。じわじわと覆う闇に蝕まれていく、あやうし凄乃雷鳴尊。


 しかしその時、天からひとりの男が降ってきたのであります。その顔を見て驚く佐武狼。


「義仲か」


「なに、貴様、佐武郎か? なんという変わり果てた姿に……」


 身の丈は七尺程になり、額からは三本の角が生え、赤茶けた肌の色そして口からは牙がのぞいていて変わり果てた佐武郎の姿に義仲は涙する。


「義仲殿、その手にあるのはもしかして……」


息も絶え絶えの凄乃雷鳴尊の問いに、はっと我にかえり手にしたものを渡す義仲。


「やはり天空神の神剣、日輪剣(にちりんのつるぎ)


 日輪剣を手にした惟任、その光のチカラによりふたたび立ち上がるのであった。


 時は戻って一刻前、義仲は神朝廷に向かうとそこは魔人と化した佐武狼の配下達が囲んでいたのでした。

 義仲は大将軍として、退くように命じるが魔人達は聞く耳もたずに襲いかかる。これを見た対峙していた武士達は義仲を護るために魔人達と戦う。

 魔人は強かったが義仲の采配で力を合わせた数には勝てず、武士達が勝利すると義仲は結界を破り神朝廷のなかに入るのでありました。


「神皇さま、御無事でありますか」


「おお雁来大将軍、大義である。朕は無事じゃ」


「凄乃雷鳴尊さまに、こちらに赴くよう言われ参ったしだいであります」


「なに、凄乃雷鳴尊が現れたとな。やはり魔人となったか御角野め」


「神皇さま、御恐れながらお尋ねします。凄乃雷鳴尊とは、魔人とは、いったい何でございましょうか」


「凄乃雷鳴尊は、この世に仇なすほどの魔が現れたときに神の世から遣わされる戦神いくさかみ

 魔人とは人が魔に憑かれ、人にあらざる者になり世を乱す者をいう。御角野めに会うたとき、その気配を感じたのでもしやと思ったのじゃ」


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