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【特報】週刊クラウン新聞【剣聖徒選挙】

【クラウン学園剣聖徒選挙の開始。期待の候補者とは?】


 昨日、ついにクラウン学園で剣聖徒を決める選挙が開始された。開会式には3人の候補生が集まり、それぞれが個性を生かしたスピーチをした。

 候補者はそれぞれシルヴィア・ブレイド。レイカ・アクレージョ。コザ・カーマセの3名。カーマセ家はクラウン新聞社への出資や記事の寄稿など、市井にも関わる精力的な活動をしている貴族でもあり「遊べる魔道具」などの開発援助と面白い話題に事欠かない貴族である。シルヴィア・ブレイド様も先王の家系であり、何度か目にした読者も多いであろう。優しく、時には市井にやってきて市民と交流をしてくれることもある彼は学園でも優勝候補として筆頭と言われている。

 しかし、今回で特集するのはこのお二人ではない。クラウン新聞では今年の剣舞会優勝者であり、未だに謎が多く市井で一躍話題になり、「気になる彼女は王子様!?」などの人気小説のモデルとなっているレイカ・アクレージョ様に付いて特集をしていこうと思う。



【直撃インタビュー!】


 残念ながらレイカ・アクレージョ様ご本人に対しては多忙につきインタビューは出来なかった。しかし、その周囲にいる人物に対してのインタビューを申し込んだところ、快く引き受けてくださった。そのため、周囲の人物の話からレイカ・アクレージョ様という人物が浮かび上がってきた。



『インタビュー ヒカリ・ノセージョ様』


 先王遺言でクラウン学園に入学したという経緯で色々と苦労をなされたヒカリ・ノセージョ様。しかし、苦労にも負けず剣舞会準優勝。成績も優秀であり生徒からも人望の厚い彼女にインタビューを致しました。

 本日はよろしくお願い致します。


「はい、よろしくお願いします」


 早速ですが、レイカ・アクレージョ様との剣舞会決勝戦は驚きました。しかし、最後には一矢報いてという結末。私も見ていましたが感動しました。


「ありがとうございます。でも、レイカさんに決勝で勝ってみせると約束したんです。でも、決勝戦での私がレイカさんの強さに全く至ってないという事で迷惑をかけてしまったので……反省でいっぱいです」


 反省ですか?


「はい。私の戦い方はレイカさんに憧れて真似をしていたので……それでは、レイカさんの強さに追いつけないって自覚出来ていなかったんです」


 なるほど……しかし、決勝戦でその殻を打ち破ることが出来たと。


「はい、今のままでは駄目だって戦いを通してレイカさんが教えてくれたんです。だから、自分の強みを生かして戦うことがわかりました。……考えてみると、入学してからレイカさんは何度もそうやって助けてくれたんです」


 アクレージョ様に助けてもらったのですか? 何かと怖いイメージや、他人に対して厳しいようなイメージがありますが……


「そうなんです! レイカさんは怖い人に見えますけど、ちゃんと見てくれている人なんです! 他の生徒で怖いから勘違いをしてる人が多いから、私もたまに……」


 あ、あの……


(以後、数十分ほどレイカ・アクレージョ様について熱く語ったノーセジョ様)


「……だから、私もレイカさんにちゃんと恩返しをしたいんです! ……あ、ご、ごめんなさい。喋り過ぎちゃいました」


 あ、ありがとうございました。それではお時間なのでここで終わりですが……最後になにかありますでしょうか?


「はい! レイカさん、頑張ってください! 私も頑張ってお手伝いします!」


 あの、読者に向けてなのですが……いえ、ありがとうございました。



『インタビュー カイト・オウドー』


 続いては四大貴族であり、一年生では素晴らしい活躍を見せたカイト・オウドー様にインタビューを致しました。非公式の学園人気投票では、上位となっており女子生徒からも男子生徒からも人気を誇っております。

 本日はよろしくお願い致します。


「うむ、よろしく頼む」


 シルヴィア様の擁立者という立場でありながらインタビューを受けてくださり、ありがとうございます。


「構わない。シルヴィア殿のことは尊敬しているが、それとこれとは別だ。ここで俺が師匠を褒める程度で変わるのなら、その程度の器だったという話だ。それで、師匠の事でなにが聞きたいんだ?」


 まず、師匠というのはアクレージョ様の事でよろしいでしょうか?


「そうか、その説明もいるか。うむ、そうだ。オレは剣舞会で師匠に決闘を挑んだ。理由は、同じクラスである学友の女子達からの相談だ。アクレージョから、不当に学園から追放されようとしている。助けて欲しいという相談を受けたのだ。それを聞いていても立ってもいられず俺は直談判。追放を撤回させ、アクレージョに謝罪をさせるという条件で決闘を挑んだのだ」


 なんと……決闘ですか。ある意味ではオウドー様らしい行動ですね。

 しかし、それは間違いだったのですか?


「ああ。試合になるまで師匠は一度も弁解もせずにオレに受けて立ち……そして俺は試合で返り討ちにされた。その後に控室で落ち込んでいるオレにキシドー殿が声をかけてくれたんだ」


 キシドー……ロウガ・キシドー様ですか?


「うむ。どうやら決闘の件が気になり従者に調べさせていたのだという。そして分かったのは……その女子たちは貴族の位を盾に気に入らぬ生徒への嫌がらせを行い、身分の低い貴族の悪評を流していたという。そして、ヒカリ・ノセージョは平民出身ということもあり見ていない所では物を隠され、直接的な嫌がらせを受けていたと聞いたのだ」


 ……そんな事が起きていたのですか。


「貴族の学園とはいえ、そういう輩もいる。しかし、それを読み取れずに無条件で信じて決闘を挑んだオレが愚かだった。そしてその後に師匠とキシドー殿の話を聞いたのだが……そこで、師匠が己の矜持のために不利でも真っ向から挑んでくれたこと。そして、そのような暴走をして無礼を働いたオレを気にしていないと許す度量に感服したのだ」


 なるほど。それは凄いですね。オウドー様ともなると、四大貴族。

 普通の貴族であればそういった落ち度があれば、貴族の利権を狙われたり、貸しと称して不条理な嘆願をされたりなどされてもおかしくないですからね。


「うむ。だからこそ、オレはその度量の大きさに感服し、今までぬるま湯の環境に浸かっていた自分を許せなく思った。だからこそ、師匠のもとで厳しく修行をさせてもらうことで……貴族として、一人の人間として大きくなりたいと思ったのだ」


 なるほど……大変良くわかりました。


「シルヴィア殿も尊敬できる人だ。だが、シルヴィア殿は優しい。オレのような人間は多少厳しく接してもらえる方が成長できる。それを自覚したのも、師匠に出会ったからだがな」


 しかし、今回は擁立したのはシルヴィア様なのですね。その言動を聞く限りでは、アクレージョ様に味方をするかと思いましたが……


「最初にも言ったが、オレが味方になった。敵になった程度では変わらない。師匠だからこそ、きっとオレの予想を乗り越えるはずだ」


 ……なるほど、信頼というわけですね。それでは最後になにかありますでしょうか?


「うむ。この剣聖徒を決める戦いはきっと色々とあるだろう。しかし、オレはここで各々の本質が見れると思っている。だから、ぜひ今後も注目して欲しい」


 ありがとうございました。



『インタビュー ロウガ・キシドー様は従者のレイジ様に断られたため、代理としてのレイジ様』


 アクレージョ様と関係が深いと噂されるロウガ・キシドー様へのインタビューを嘆願しましたが、あいにく多忙で断られてしまいました。しかし、代理として従者でありロウガ様を誰よりも見ているレイジ様にインタビューを頼んだところ、引き受けてくださりました。

 本日はよろしくお願い致します。


「ええ。よろしくお願い致します」


 それでは、レイカ・アクレージョ様についてなのですが……


「そうですね。傍若無人であり礼儀知らずな人間だと思います。確かに実力はありますが、あれは別に他人のことは考えていない人間です。なので、下手に近づけば酷い目に遭うでしょうね」


 ……とても辛辣ですね。


「いえ、事実を言っていますので。四大貴族を相手に敬称すら使いません。まあ、シルヴィア様などには礼儀があるようにみせかけていますが……本質は闘争を好む魔獣ですよ。おそらく、敵と味方で分けている。そして、己が戦う相手に礼儀を払うことはしないのでしょうね」


 あの、大丈夫でしょうか? この記事は市井にも出されるのですが……


「ええ。構いません。そういえば、文句を言いたいのですが……私の応援している作家がアクレージョをモデルにした小説を書き始め、確かに面白いのですが読んでいるとあのアクレージョの顔がちらついてしまうのですよ。私の楽しみの時間まで出てきて、一体どういう了見で――」


 あ、あの。それは私怨では? それと、当社の売れ筋ですし作家も楽しんで書いているので……


「……失礼しました。ええ、実力はあります。貴族の一令嬢としても、貴族家の当主としても優秀でしょう。ですが、人格としてはあまり褒められたものではありませんね。他人の憩いの時間を邪魔するような輩です」


 なるほど。私怨が漏れていますね。

 しかし、他の方のインタビューでは褒める事が多かったのですが……


「見方次第でしょう。礼儀知らずの傍若無人も好意的に見れば、物怖じしない風格のある態度と受け取れます。彼女のいい面を評価している人間だったのでしょう」


 確かに言われてみればそうですね。

 アクレージョ様は生徒を学外へ追放したりなどもしていると聞きましたが……そういった行為については?


「そうですね。調べた限りでは1クラス以上の人間を追放していますね。とはいえ、ある程度正当性はありますので。怠惰であり、品格もない貴族などを擁護する趣味はないので特に言うことはありません」


 おや、辛辣ですね。そこまででしょうか?


「他者を貶め、己を磨き上げることを怠る貴族など価値はないでしょう。魔獣に立ち向かうための貴族。その役目を果たす本質を忘れた者など必要はありませんよ。己より劣る人間を揃えた権力だけの貴族が魔獣と戦えますか?」


 ……なるほど。さすが四大貴族に従える執事であるレイジ様ですね。厳しい意見ですが、庇護される市井の人間としては納得できる部分はあります。

 我々では、魔獣に立ち向かうことは難しい。だからこそ、貴族を尊敬し貴族を尊重していますからね。


「ええ。貴族の本質は魔獣と戦う者であり、この国を守る兵士なのです。そういう意味ではアクレージョは確かに国の役には立っていますが……あっ!?」


 えっ!? どうされまし……あ。え!?


「よう、レイジ。何してんだ? インタビューか?」

「ろ、ロウガ様!?」


 ろ、ロウガ・キシドー様!? は、はい。クラウン新聞のインタビューです!


「ほお、面白いよな。俺もよく見てるぜ。これは剣聖徒の選挙に関するインタビューか? それなら、あいつも見るだろ。兄貴が感謝してたってアクレージョに伝えてくれ。どうせ周知される事実だろうしな」

「ロウガ様!? それは情報をちゃんと精査した上で流すべき情報で……」

「あー、うるせえな! 忙しいんだからこのくらい良いだろ! 俺は行くからな」

「待ってください! ロウガ様! 確かに最近は忙しいですが、それと貴族としての……」


 ……あ、あの……インタビュー……



『以上、インタビューより抜粋』


 数名の生徒にアクレージョ様についてのインタビューをした中で、興味深い意見をピックアップしてみた。全インタビューは別途記事で紹介しているので興味のある方は是非ご覧になって頂きたい。

 このインタビューではアクレージョ様という人間が浮かび上がってきた。ミステリアスで、怖い人間かと思ったがそこには確かなプライドと実力が伴っている。苛烈に見えるが、それだけではない魅力があるようだ。

 また、他の特集記事でアクレージョ家の噂や、当新聞社のアクレージ様を題材にしたで小説のランキング、そして筆者のオススメ作品を……



 そこまで読んで手を止めた。秘策があると言われた次の日に、選挙で使っている教室に置いてあった新聞を読んでいたのだが……

 笑顔を浮かべて、ホークくんに詰める。


「……さて、ホーク・セイドー」

「ははは、どうされました? 顔が怖いですよ」

「これは、どういう、こと?」


 クラウン新聞を机の上に投げる。

 レイカ様インタビューってなんだよ。いつの間にインタビュー受けてたんだよ。あと、ロウガくんは何をしてるんだよ。ツッコミが追いつかない。


「ヒカリ? どういうことかしら?」

「えっ、そ、その。レイカさんのためになるからってホークくんに言われたんですけど……」

「はい、その通りですよ。これが秘策です。クラウン新聞を利用した宣伝ですね。まず、レイカ・アクレージョという人間を理解している人間は案外少ないです。名前が有名でも、レイカ・アクレージョという人間を詳しく知っているわけではありません。殆どはイメージだけで判断しているでしょう。だからこそ、第三者の視点からの情報を見せるのが重要です。内緒にしたのは、これを提案をしてもアクレージョさんは断ったでしょう? だからです」

「……ええ。癪だけども間違いなく断ったわ」


 こういう記事にされることは、レイカ様は好まないだろうから間違いなく断った。

 とはいえ勝手にやられるのは仕方ない。むしろそういうのを勝手にされるのは解釈一致だから内心ではちょっと許しかけてる。ううん、複雑なファン心理。


「なら良かったです。レイカ・アクレージョを通さずに、インタビューと言う形で親しい人間から見える姿を見せる……生徒からすれば、それは想像の余地が多くて面白いんですよね。明日から休みになります。そうすると、休みの間に交流する生徒達の話題となるわけですよ。レイカ・アクレージョという人間について。下手に情報を発信するよりも、情報を見た人間にイメージをさせる方が時には効果的です。特に、アクレージョさんは最初の挨拶であの短い宣言だったのが良かったですね。怖い、厳しい、冷たいイメージ……だからこそ、インタビュー内容から良いイメージを想像出来ますので」

「……まあいいわ。それで、どの程度手を加えたのかしら?」

「あ、いえ。手は加えてませんよ?」

「……加えてない?」


 どういうことだ? 秘策というから、クラウン新聞社を買収して良いことを言ってる記事だけにしたと思ったんだけど。

 いや、レイジくん怪しかったな。そういえば。めっちゃ罵倒してたじゃん。


「僕は、アクレージョさんに関する取材を求めるクラウン新聞にアクレージョさん本人へのインタビュー以外を全面的に許可しただけですよ。あんまり酷い情報や、危ない情報は止めるつもりでしたが……流石はクラウン新聞、そういった情報は書かれていませんでしたね」

「……もしも私が酷いことを書かれていたら?」

「まあ、その時はその時でイメージアップ戦略をしましたね。とはいえ、普通にインタビューや調査された記事が面白かったんで許可をしました。話題に事欠かない人はこういう時に有利ですね。ええ、とても楽しませていただきました」


 ……既に発行されてるので、ここで変なエピソードとか妙なエピソードを取り上げられても取り消せないってことか。

 というか、面白いからで好き放題したな!? 役に立ってるから文句も言いづらい。一方的に楽しまれて……クソ、性格悪いなこいつ! 知ってたけど!


「……覚えてなさいよ? ホーク・セイドー」

「まあ、剣聖徒になったらチャラという事で」


 さんざん酷い目にあったホークくんに、してやられてしまった。

 ……効果なかったら虐めてやる。

今回は特集なので初投稿です


日間ランキングで98位にいて驚きました。応援ありがとうございます。

名だたる作品に並んでいるのを見て「こ、ここに自分の作品が……!?」と驚きとともに、それだけ見て楽しんでくれている人がいることを嬉しく思います。今後も楽しんでいただけるように初投稿がんばります!

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― 新着の感想 ―
[良い点] おおぉ、インタビューは面白いですね!そしてレイカさんモデルの小説を凄く気になりますw そういえば忘れたけど、闇魔法についても心配ですね。
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