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闇の魔法と彼女の抵抗と

 頭痛を感じているかのように顔を歪め、魔女はヒカリちゃんに手を向ける。

 先ほどと違って振るっている魔力が強くなっている……が、それは出力のコントロールが効かなくなっているのだろう。


『……まったくもって不愉快だ。貴様らを殺せばこの不愉快な中身も静かになるか』

「いいえ! 貴方の思い通りになんてなりません!」 


 啖呵を切って、魔女から飛んできた闇魔法を切り裂いた。

 見えていないはずだが、その始祖魔法の出力だけで強引に切り裂いた。今、ヒカリちゃんの魔力がドンドンと強くなっていく。

 始祖魔法の力なのか、主人公補正というものなのか……分からないが、ただこれは好機だということは理解できる。


「ヒカリ! 道は私が切り開くわ!」


 ここで始祖魔法の才能を持たない俺が行くよりも、ヒカリちゃんの攻撃を届かせるほうがいい。

 そう判断した俺は、サポートに徹することでヒカリちゃんのために動くことを決めた。


「分かりました!」


 そして、走っていくヒカリちゃんに向かって飛来する黒剣を撃ち落とす。

 確かに強力な攻撃で終わりがないが、それでもヒカリちゃんが届くまで守ることくらいは出来る。


「それにしても……始祖の剣、本当に手に入れてよかったわね」


 始祖魔法を持っていないというハンデを背負ってるレイカ様でも、魔女に対して対抗が出来る。

 それだけでダンジョンに挑んだ甲斐があるというものだ。


「とはいえ……」


 次の一本を撃ち落とす……が、その剣は壊れることはなく吹っ飛んでからもう一度諦めずにヒカリちゃんの元へと貫こうと飛んでいく。

 出力の問題か、元々始祖魔法を使えないせいかわからないが俺には剣を破壊する事はできないようだ。


(まあ、多くを望んでも仕方がないんだけどさ)


 今できることをするしかない。だが、それだけの価値はあるのだ。


「……ちっ……!」


 弾いた剣が、突如として軌道を変えて俺の腕を貫く。激痛が走って、苦痛に身体が動かなくなりそうになる

 クソ、まさか突然狙いを変えるとは。ヒカリちゃんがレイカ様が剣に貫かれたシーンを見てしまい、反応してしまう。


「レイカさん!」

「自分のやることをしなさい!」

「……うぅ、分かりました!」


 無理やり激痛を堪えて黒剣を引き抜く。そして、気力で剣を打ち払うことに集中する。

 そのままヒカリちゃんは正面から突っ込んでいき、魔女へと届こうとしている。


「メアリさんを! 返してもらいます!」

『返すも何も、全ては余の玩具だ』


 ヒカリちゃんの攻撃に、闇魔法による障壁で防ぐ魔女。

 あれだけパワーアップしているヒカリちゃんの攻撃ですら、魔女は防ぐのか。徐々に魔女の壁に押し返されていく。


「くっ……メアリさん! 貴方はそんな人に負けるはずがないでしょう! いいんですか!」

『……ちっ、煩い』

「聞こえてるんですよね! メアリさん!」


 ヒカリちゃんの言葉が聞こえた途端に、魔女の張っている障壁が乱れる。

 それは、まさにヒカリちゃんの言葉にメアリちゃんが答えたのだろう。しかし、魔女は無理やり魔法の出力を上げて押し切ろうとする。


「あぐ……まだ、まだぁ……!」

『ああ、屈辱だ。このような無粋なことをせねばならぬのは』


 魔女は心の底から不快そうにそう言いながら、ヒカリちゃんを飲み込もうとするほどに闇魔法の障壁を大きくしていく。

 様々な条件が重なっているとは言え、それでも闇の魔女……この世界の神話に出てくる悪役のような存在に対して拮抗しているのでも奇跡なのだ。おそらく形振り構わずに本気で魔力を使えば倒せるのだろう。

 しかし、ヒカリちゃんの言葉で反応するのならば……


「メアリ!」


 大きな声を張り上げる。

 レイカ様として、あまりこうした場面で大声を出すことはなかった……だが、それでも今なら許されるだろう。


『あぐっ「あたしの……」……ぐうう、黙れ……貴様の身体は、余のものだ……!』


 その言葉に、障壁の巨大化が止まり苦しそうな顔をする魔女。


「貴方は、その程度なのかしら! 私の認めた貴方は!」


 その言葉に、魔女の動きが完全に止る。

 見えない誰かと身体を取り合っているかのように動きが変わる。


『うっとおしい……! あれが原因か……!』


 こちらを見た魔女は障壁を薄くしてまで、俺に向かって魔法を打ってくる。

 それは、闇魔法の波のようなただひたすら暴力的な攻撃を始祖の剣を使って受け止める。


「……ぐっ……くぅうう……!」


 チート武器であるはずの始祖の剣ですら、この攻撃を受けてミシミシと音を立てている。

 だが、逆に言えばこの剣以外であれば俺はこの場で塵も残らず消し飛ばされていた。


「……メアリ……! 早く……戻りなさい……!」

『ぐうう……「れ、レイカ様……」黙れ……!』


 もはや人格が分裂したかのように口が動き始める。

 そこで集中が切れたせいで、ヒカリちゃんが障壁を突破した。


「はああああああああ!」

『……ああ、もういい』


 指を鳴らした魔女は、突如として暗闇に包まれて消える。

 ヒカリちゃんの攻撃は空振りして、周辺を見渡して……そして、空を見上げる。


「……あそこに」

『もういい。使ってやろうとした寛大な気持ちが間違いだった。もういい』


 そういうと、空を覆うほどの魔法陣が浮かび上がる。

 それは、この国の全土を覆うほどに巨大な魔力の円であり……そこに、魔力がドンドンと高まっていく。


『余が全てを消し去ってやろう』


 上空に浮かぶ魔法陣が組み上げられていく。

 完成すれば、間違いなくこの国全てが消し飛ばされる。しかし、逆に言えばあの魔法には魔女がすべての力を使っている。


「……最後ね」


 あれを防げば、魔女を倒せる。

 戦いは最終段階に入ったのだ。

こんなに時間が遅くなってすまねぇ……という申し訳ない顔をしながらも初投稿です

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! レイカさんとヒカリさんとメアリさんも凄く一生懸命頑張っていますね!そして深い絆です!応募したくなります! ちなみにラスボスの魔女さんは何か弁解出来そうにない…
[良い点] ラスボス戦らしく熱い戦いになってきましたね。 でも終わりが近づいているようで少し寂しくもあります。 [一言] 100話目なので初投稿? これもう分かんねぇな
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