09
サンドイッチを美味しくいただき、リンゴジュースを飲んでいると今から作る結界の説明をアイテール様がしてくれた。
内容的には、魔力を凝縮して結晶にするんだけど。その後で結界の役割を刻めばいいらしい。
お手本にアイテール様が核になる結晶を作って見せてくれた。ダイヤの様にカットされている結晶はアイテール様の瞳のような金色で透き通っていた。役割としては、ドーム型の結界を維持する事らしい。
「次は、レイラの番だよ。両手を合わせて魔力をそこに集めてごらん。形は涙型にしてね」
両手を合わせるとアイテール様が上から手を添えて様子を見てくれている。
合わせた手に集中してみる。ちょっと眉間にしわが寄ってるけど気にしない。
「なんだか、暖かくなってきた?」
掌がポカポカしてきた気がする。
「その調子だよ。そろそろ結晶が出来始めるから涙型になるようにイメージしてみて」
「涙型…」
イメージが出来た。と思った瞬間、手の中にコロンと結晶が出来上がっていた。
「アイテールさま。出来たぁ」
「うん。綺麗に出来たね。レイラの瞳の色と同じだね」
アイテール様が誉めてくれてすごく嬉しくなったけど。私の瞳の色は、緑色なんだ。出来上がった結晶は、濃い翡翠のような色をしていた。
そう言えば、体に入る前に見た時は目を閉じていたから分からなかったんだ。
「レイラ。これを後3つ作るよ。頑張れそう?」
アイテール様が心配そうにしているけど、まだまだ元気だし問題ないと思う。
「大丈夫だよ」
残りの結晶もアイテール様に手伝ってもらってちゃんと出来た。次は、結晶に役割を割り当てる作業。
内容はこんな感じだった。
1つ目は、天候の調節。砂漠のど真ん中でも快適に過ごせるように。
2つ目は、認識阻害。周りからこの場所を見つけられないようにする。
3つ目は、対人防御。私と世界樹に対して悪意のある者が入って来れないように。
4つ目は、攻撃防御。この場所への対物、魔法攻撃等。様々な攻撃を防御する。
「じゃあ、結晶を手の上に置いてそれぞれの役割を教えてあげてね」
「結晶とお話し出来るの?」
さすがファンタジー。魔力で作った結晶ともお話し出来ちゃうんだね。
結晶を両手の上に乗せて、アイテール様からおそわった役割を思い出しながら結晶に話しかける。
「えっと、結晶さん。天候の調節をお願いします。砂漠でも快適に過ごせるようにしてください」
そう言い終わると結晶が淡く光ってゆっくりと浮き上がった。クスクスと耳元で笑い声が聴こえたと思ったら光が消えて手の中にストンと落ちてきた。
「うん。ちゃんと出来てるよ」
アイテール様に頭を撫でてもらってご満悦です。
残りの結晶さんにもお願いを聞いて貰えたから、いよいよ結界を張るみたい。