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82 お勉強の日〔ディザ〕

今日も引き続き魔法陣のお勉強です。


「これが、魔法陣を書く魔石の粉だよ」とディザが見せてくれた瓶の中にある粉は、無色透明でキラキラしている。


「この魔石の粉を固めたのが、コッチのチョークね」


透明なガラスのような棒を渡される。その他にもコンパスや定規なんかの文房具が用意してある。


「まずは、半径15センチと12センチの円を引いて…」


そんな感じでまずはマジックサークルを書く。チョークは線を引くと銀色にキラキラ光ってとても綺麗だ。なんでも、魔法陣が完成するまでは自分の魔力の色に光るらしい。


次に円の間に呪文を書いていく。内容は、ルミエールに教わったマナを使った呪文と同じ手順だった。


マナを集めるための呪文。次にマナを属性の魔力に転換するたのめ呪文。最後に魔法を発動させるための呪文を書き込んでいく。


「これで、魔法陣の真ん中に魔石を抜いたランプを置いて…魔法陣を発動させるよ。発動の鍵になるのが術者の呪文になるよ。こちらの呪文だと《スタート・アップ》なんだけど」


成る程、と魔法陣を発動させる呪文を唱える。


《起動》


すると、魔法陣の真ん中に置いたランプがフワリと灯った。


「光った!」


パチパチと手を叩いて喜んでいると、ディザも「初めてで魔法陣を発動出来ることは凄いんだよ」と誉めてくれた。


「じゃあ、次はこの魔法陣を壊すよ」


せっかく作った魔法陣だけど、すぐに壊す練習に移る。ちなみに《停止》で魔法陣は止まる。


「古代文字が読めるなら結構簡単に壊せると思うんだ」


とディザが指差したところは、マナを集める呪文の頭部分と魔力を発動させる呪文の最後の部分の境目だった。


「ここに魔石のチョークで線を入れてみて」


言われた通りにスッと線を引くとランプの光が消えた。なんだか、理科の豆電球を使った実験を思い出い出した。ちょうど、導線を切ったような感覚だった。ただし、導線のように何処でも良いと言うわけではないから慎重にしなくてはいけない。


「今回は、簡単な魔法陣だから作るのも壊すのも簡単だったけど。複雑に重なった魔法陣を壊すには数をこなすのが一番だからね」


ディザはそんな前置きをすると、バサリと魔法陣が書かれた用紙の束を出して「これ、練習用ね」と言った。


「えっ…これ全部解くの?」


50枚以上は有るんじゃないかな?ペラペラと捲ると、段々難易度が上がっていくようだ。


「読み解きながら魔法陣の書き方も勉強出来るでしょ?」


と言うディザの指示で1枚づつ魔法陣を読み解き、まずは何の魔法陣かを答え合わせしてから魔法陣を壊す境目を見つける。


「じゃあ次は、魔法陣が重なっているものね」


魔法陣が重なっているものは外側から解除していって最後にメインの魔法陣を壊す。ゆっくりと読み解きながらどれが一番外側か確認していく。


「先にコッチの魔法陣を解除して…そう。それから、その魔法陣の順番だよ」


ディザに教わりながら順調に数をこなしていく。半分くらいまで解き終わる頃には魔法陣の解除が面白くなってきた。謎解きをしている気分になってきた。


「あれ?これって…いやでも、これだと発動条件が…」


顔を上げると、ディザが分厚い本を開いて何やらブツブツと呟いていたが「ヴァンを呼んでくる」と図書室を出ていってしまった。


すぐにヴァンを連れて戻ってきたディザは「これなんだけど…」と先程の分厚い本を見せている。眉間にシワを寄せながら本を見ていたヴァンは、顔を上げてディザに頷いた。


「あぁ、間違いない。これは、雷属性の最高位の魔法陣だ。ウカ様が言っていた俺の使える最高位の魔法と言うのはコレの事だと思う」


ウカ様に言われていたヴァンの雷属性の魔法は、最高位だけあって詠唱が必要だったんだけど。どうやって教えたらいいかヴァンも悩んでいたらしいんだよね。私が魔力を上手に調整出来ないのが悪いんだけど。


「レイラ。この魔法陣の文字読めるよね?」


ディザに言われて魔法陣を見せてもらう。そこには、3つの魔法陣が折り重なるように描かれた美しい魔法陣があった。綺麗な青色と紫色、それから金色の魔法陣の中にある古代文字を主体になる魔法陣から順番に読み解く。


「えっと…。天空の高き処に揺蕩いしマナよ、紫紺の雲に集い神雷となれ、我に害為す禍に蒼き鉄槌を下せ。かな?」


私が解読するとディザは「良くできました」と誉めてくれたけど、ヴァンはビックリして固まっていた。


「あぁ、ビックリさせてごめんね。レイラは、この世界の文字が全部読めるから古代文字も読めちゃうんだよね」


ディザが説明してくれたけど、さらにビックリしたらしいヴァンは「マジか…」とため息をついていた。






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