81 お勉強の日〔ディザ〕
「それじゃあ魔法陣について勉強しようね」
図書室でディザと勉強を始める。ノートを開いて準備万端です。
「まず、魔法陣の仕組みについて説明するよ」
ディザが本を開いて魔法陣の形について説明しているページを見せてくれる。
魔法陣と言えば、マジックサークルと言う丸形が重なっているものをイメージすると思う。二重、三重になった円の間に文字や記号が描かれている感じだ。
「このマジックサークルの間に書いてあるのが古代スウェンターレ文字でこっちの記号は、四大精霊を表しているんだよ。他にもこっちが星を表す記号」
古代スウェンターレ文字は、魂に刻まれた知識によって自動翻訳されるから普通に読めるのがありがたい。記号については、初めて見るものばかりで覚えるのが大変そうだ。
「円の他にも五芒星、六芒星、七芒星とこんな感じで重ねて使うこともある」
マジックサークルの中に七角形があってその中に七芒星、中心に五芒星が描かれた魔法陣を見せてくれた。
「魔法陣は、魔力をエネルギーとして能力を最高潮まで高める補助をするんだよ。そして魔法陣の中に集めた高エネルギーを留めて囲い込む役割をする。ここまで、いいかな?」
ノートを取っていた手を止めて顔を上げる。
「えっと、この間オディロンさんの腕を再生した時みたいな感じ?」
ディザが「うん、合ってる」と頷いている。頷いてから何て言っていたか教えて欲しいと言われた。確かに、日本語で言ったから何言ってるか分からなかったよね。
こちらの世界の言葉でディザに伝えると「とても綺麗な呪文だね」と誉めてくれた。
あの時は、呪文でマナに呼び掛けたときには1つ目の魔法陣が浮かび上がっていた気がする。
「1つ目の魔法陣が大地のマナを集める魔法陣だったから、緑をベースに茶色い所が少しある魔法陣だったね」
ディザに言われて確かにそんな感じだったなと思い出す。
「2つ目の魔法陣は、光属性の魔法の発動を促したから金色の魔法陣と少しの緑色と水色が混ざっていたね」
1つ目の魔法陣に少し重なるように発動をしていた。
「最後は、一気に5つ発動していたね。オディロンさんの肩と肘と手首のところ。それから、1つ目の魔法陣に重なって2つ。光属性の金色とレイラの魔力の色の銀色だったね」
結構、カラフルな魔法陣がいくつも重なっていて綺麗だったのは覚えているけど、必死だったからそんなに細かく覚えてはいないな。
「まぁ、イメージが持てれば大丈夫だから」
そこまで話をすると今度は、魔法陣の中に書かれている文字を指差して読めるか聞かれる。
「えっと…偉大なる太陽?」
「うん、合ってる。古代文字はちゃんと読めるみたいだから心配ないね」
古代文字が読めなかったら魔法陣を読み解くのに一苦労するらしい。
「ちなみに、これが読めるのは古代文字を研究している学者だけだからね。ウッカリ解読しても知らん顔するんだよ」
ディザにしっかり釘を刺されてウンウンと首を縦に振る。ウッカリ答えちゃいそうだから気を付けないとね。
「じゃあ、良く使われる四大精霊の記号と星座の記号を表にしてみようか?全部覚えるのは無理だからメモを見ながら解読すれば良いよ」
なんと、カンニングOKみたい。ディザに手伝ってもらって記号表を完成させたら夕飯の時間だった。
「明日は魔法陣を書いてみようね」
何の魔法陣を書くんだろう?今からとても楽しみ。
『夕飯出来たぞ』
ウェスタが呼びに来てくれた。
『今夜は、炊き込みご飯と煮物だぞ』
最近、イオリさんのレシピのお陰で和食の日が増えて嬉しいんだよね。ごま和えや酢の物とかの小鉢の種類が一皿増えるだけでも何だか嬉しい。
「ウェスタ、毎日美味しいご飯を作ってくれてありがとう」
『こっちこそ、新しいレシピが増えて嬉しいんだぞ』
献立を考える時にウェスタと一緒に新しいレシピを教え合うことも増えてとても楽しい。
「また、一緒にご飯作りたいな」
『あぁ、また誘う。今夜は他の連中、遅くなるらしいから先に食べてくれ』
アイテール様達は、お仕事で遅くなるらしいから久しぶりにディザと二人で夕飯を食べる。
「明日は、何の魔法陣を書いてみるの?」
「うーん。とりあえず、ライトの魔法陣にしてみようと思っているんだよね」
金色に光る魔法陣は、とても綺麗なんだって。どうやって書くんだろう?楽しみだな。




