08
アイテール様に言われた通り世界樹の実から手を離さないように頑張っている。でも、怖くなって目を閉じてしまったその次の瞬間。手の中の世界樹の実が無くなってしまった。
慌てて目を開けると、先ほどまで居た砂漠では無かった。直径6メートルくらいの円形の木の壁に囲まれていた。
「ここは、世界樹の中だよ。世界樹の実は、ちゃんと新しく誕生した世界樹に取り込まれたから大丈夫だよ」
アイテール様に教えてもらって、ホッと胸を撫で下ろした。
世界樹の中に入れるなんてビックリだよ。でも、初めて世界樹のお爺ちゃんに会った時、お爺ちゃんは世界樹の中から出てきたんだ。
「ほら、ここに手を当ててごらん」
木の壁に手を当てるとフワッと光って外の風景が見えた。
「世界樹の愛し子は、こうやって自由に世界樹の中を行き来出来るんだよ」
アイテール様に手を引かれながら外に出る。
見上げた世界樹は、既に30メートルくらいの大きさまで成長しているが見ている間にもグングンと上に伸びていて横にも枝を伸ばしている。人の国の世界樹は100メートルくらいの高さがあったから、まだまだ伸びるんだ。
ちょっと首が痛くなってきた。
「さて、一休みしようか」
アイテール様は、そう言うと世界樹のおかげで日陰になった場所にテーブルと椅子を出しサンドイッチとリンゴジュースを出してくれた。
「アイテールさま。今、空間から色々出してきたけど、どうやって出したの?」
確かになにもない空間からテーブルや椅子が出てきたように見えた。
「うん?これは時空の操作をすると使えるんだよ。アイテムボックスって言ったら分かるかな?レイラにも使えるから後で使い方を教えてあげるね」
わーい。アイテムボックス便利そう。
「さあ、ご飯食べたら結界を張るよ。それが終わったら、取り敢えず今日のお仕事は終わりだよ」
「いただきます」をして、アイテール様の説明を聞きながらサンドイッチを頬張る。本当にファンタジーな世界だな、なんて思いながら。
そう言えば、私は精霊とエルフのハーフらしいけど。タマゴサンドやチキンサンドとか美味しく食べられてしまっている。
「アイテールさま。レイラは精霊とエルフのハーフって言ってたけどお肉とかも普通に食べられるんだね」
同じくサンドイッチを食べているアイテール様に聞いてみた。
「まあ、エルフはベジタリアンだし精霊はご飯食べなくても大丈夫だけど。やっぱり美味しい物は食べられた方が楽しいだろ。だから、人間だった頃のように何でも食べられるようにしておいたよ」
アイテール様、グッジョブです。とても嬉しいです。異世界のお料理も楽しみです。