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2話、連続して投稿しています。
「おはよう。レイラ、朝風呂入る?」
布団からムクリと起き上がると先に起きていたらしいディザが聞いてくる。昨日は、帰って来て眠いのを我慢してディザと露天風呂に入った記憶が有るけど。パジャマを着た記憶がない。
「ディザ、おはよう。きのう露天風呂に入った辺りから記憶が曖昧…」
「アハハ、レイラ。温泉に入りながら寝そうになって僕も溺れるかと思ったよ」
わぁ、恥ずかしい。でも、5才児なら許されるかな。
「せっかくだから、明るい時間に温泉に入ろうね」
ディザがササッと準備をしてくれて温泉に入る。ちょっと肌寒い朝は逆上せずにゆっくり温泉に浸かれるからいいよね。
「きのうのウカ様の占い…」
そう言うと、隣で温泉に入っているディザがビクッとした。
「探し物が見つかるって、何の事だろうね?何か探しているつもりは無いんだけど…しかも命の危機って。そこまでして欲しいものなんて無いよ」
アイテール様とディザから沢山の愛情を貰って、ヴァンやルミエールが笑って側に居てくれる。素敵なお家に、毎日ご飯を作ってくれるウェスタや美味しいお菓子を出してくれるカネル達も居る。そんな、今の生活に私は満足している。そんな私が命を懸けて探し物なんてするのだろうか。
「占いって言うのは抽象的な事が多いから探し物って言うのが何かは分からないと思うよ。それよりも今、出来ることをした方がいい。幸い、ウカ様が僕たちに出来ることを教えてくれたからレイラは大変かもしれないけど勉強、一緒に頑張ろうね」
もしも、私が死んでしまったら…。今は、悲しんでくれる人達の事が想像が出来てしまう。前世では持ったことの無かった生に執着すると言う感情が今は有る。皆を悲しませたくない、今の生活を守りたい。
「私、頑張る!」
ディザがいつものように頭を撫でてくれる。家に帰ったら早速、勉強を頑張ろう。
「そろそろ逆上せそうだから上がろうか」
ディザが私をフワフワのタオルに包んで部屋の中で待っていたルミエールに渡すと、パパッとワンピースを着せてくれた。
皆で朝食を食べて帰る準備をしているとトウガさんが挨拶に来てくれた。
「トウガ、今回は素敵な離れを用意してくれてありがとう」
「ああ、次来るときもこの部屋を用意してやるよ」
トウガさんは、アイテール様に抱っこされた私を見るとニヤリと笑った。
「また、遊びに来るといい。イオリは仕事で見送りに来れなかったが、荷物を送るから楽しみにしていて欲しいって伝言だ」
「うん。イオリさんにお手紙書くって伝えてね」
「ああ、伝えておく」
私の頭を撫でると「またな」と言って少し離れた。
「忘れ物はないかな?じゃあ、帰るよ。トウガ、またね」
トウガさんに「バイバイ」と手を振ると、ニッコリ笑って片手を上げてくれた。
あっという間に自宅のリビングに転移するとカネルとウェスタが待っていてくれた。
『おかえりなさい』
『おかえり』
「ただいま」
早速、二人にお土産と買ってきた食器を見せると、とても喜んでくれた。プレゼントを喜んでもらえると何だか心がほっこりするよね。
「パパ!パパにもお土産があるの」
「え?お土産?」
あれ、お土産って変だったかな?
「パパには、いつもありがとう。って言う感謝の気持ち」
そう言って万年筆が入った箱を渡す。
「開けてもいいかな?」
ウンウン、と頷く。やっぱり感想が聞きたい。
「わぁ、万年筆だね。ありがとうレイラ。大切に使うよ」
そう言って私をギュッと抱きしめる。万年筆を箱から出すと「レイラ色の万年筆だね」と嬉しそうに見ている。
「早速、明日の仕事から使おう」
と嬉しそうにしている。また、心がほっこりする。
「パパ、オンディーヌ様達のお土産はどうしたらいい?」
そう、オンディーヌ様達にもお土産を買ってきたけど、どうやって渡したらいいんだろう。
「レイラが手紙を書いて、風の妖精に頼めば持っていってくれるよ。イオリさんにも手紙を書いたら妖精にお願いすれば大丈夫だよ」
わぁ、風の妖精さんが宅配してくれるんだ。
「お礼は、何にしたら良いのかな?」
「また、森に雨を降らせてあげたらいいんじゃない?」
ディザに言われて「そんなものでいいのか」と驚いていたら「あんな規格外の雨を降らせるのはレイラだけだから」って笑われてしまった。
「じゃあ、買ってきた便箋と万年筆でお手紙書く」
ディザに見てもらいながら手紙を書いてお土産の配達を妖精さんに頼むことにした。
「じゃあ、みんなお願いね」
『任せて!お荷物はすぐに届けるからね』
『大事に持っていくからね』
『いってきます』
口々にいってきますと飛んで行く妖精達に手を振って見送る。オンディーヌ様とティターニア様には練り香水を、バッカス様とバルドル様、アレス様にはお酒を、それぞれのお店で箱詰めにして貰った物に手紙をつけた。
「みんな喜んでくれるといいなぁ」
プレゼントを送る相手が居るのって嬉しいよね。そんな事をぼんやり考えている私の隣でディザが小さくため息をつくとこんなことを言った。
「あの人達、レイラの事が大好きだから。プレゼントに喜んで何か仕出かさないと良いね」
ディザ…それはフラグと言う。ディザが立てたフラグが折れること無く、神様たちが押し掛けて来てビックリするのは数日後のお話し。
誤字の報告ありがとうございます。
仕送りを荷物に表記変更しました。




