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昼食会では、各国の王族がアイテール様やディザ、私に挨拶に来た。途中からオンディーヌ様が席を増やして隣に座っている。オンディーヌ様は【水の国】を治める帝王の地位に付く人だけど、近所のお姉さんみたいなイメージだ。


「レイラ様、今日はお疲れさまでした。素晴らしい世代交代でしたわ」

「オンディーヌ様、ありがとう」


オンディーヌ様とニコニコ話をしていたら耳元に口を寄せて小さな声で教えてくれた。


「周りの王族達が名付けの事と、レイラ様の護衛について聞きたがっているのよ。面倒だから教えてあげようと思うのだけど、合わせてくれる?」


私のことを心配しているのは分かっているから、うん。と頷く。アイテール様も「いいよ」って目で言ってくれている。


「レイラ様、先程の名付けの儀式とても素晴らしかったですわ」

「オンディーヌ様、ありがとう。【砂漠の世界樹】にディザと言う名前を付けたと【獣王国の世界樹】様に教えたら、自分にも名前を付けて欲しいと頼まれたんです」


少し大きい声で話しているから周りの人たちが聞き耳をたてている。


「きっと我が国の世界樹も名前を欲しいと言いますわ、お願いしても良いかしら?」

「名付けは、世代交代の時に行いますので。お会いして世界樹様が名前が欲しいと言うことなら考えることにします」


だから「今は言ってくるなよ」と言い含める。


「そうでしたの。では、そのように伝えておきますわ。それから、そちらのお二人をご紹介していただけます?」

「この2人は、私の契約精霊です」


そう言うと、周りの王族達がまたザワザワし始めた。「気にしなくていいわよ」ってオンディーヌ様の目が言ってる。


「こちらが、風と雷の眷属のヴァン。フェンリルです。そしてこちらが、光の眷属のルミエールです。大きな白い鹿さんです」

「レイラ様の契約精霊でしたのね。高位の精霊を2柱とは、さすがですわね」


そう言って、私の頭を撫でてくれる。アイテール様も「良くできました」って言ってくれている。これで、牽制になればいいけど。バカな王族は居るものだよね。


「お話中失礼、愛し子様。少しお話ししてもよろしいですかな。契約精霊ですが、我が国にも高位の精霊がおりましてね。是非、おすすめしたいと…」


どちら様かは知らないけど怖いもの知らずなオジサン登場です。アイテール様とオンディーヌ様の眉間にシワが…。


「た、大変失礼いたしました!」


と、オジサンをあっという間に回収して護衛の人に預けるとその人は頭を深く下げて謝罪を始めた。


「申し訳ありませんでした。(わたくし)は【空の国】神聖フォルテーティア皇国の次期皇王ヴィクトリアと申します」


綺麗なダークローズ色の髪の毛にライトブラウンの瞳の少女が深く謝罪をしている。


「ヴィクトリア、顔をあげなさい」


オンディーヌ様が声をかけて席をすすめる。


「本当に申し訳ありません。叔父は(わたくし)が幼いばかりに色々と気を掛けてくれるのですが度々、問題を起こすもので」


問題を起こすオジサン…迷惑以外の何者でもないな。


「ヴィクトリア。あなた、今年デビューの年よね?」

「はい。今年で18になります」


オンディーヌ様が優しいお姉さんに見えます。


「成人をしたら、貴方は女皇王として国の上に立つのでしょう?」

「でも、叔父様達には即位式の衣装から結婚の話まで色々と口を出されてしまっていて…」


なにやら、人生相談が始まったのでアイテール様のお膝の上に移動してケーキタイムを始めます。サッと紅茶を温かいものに取り替えてくれる侍従さん、ありがとう。


「レイラは、ああいった話は苦手かな?」

「うーん、あの人とは考え方が違うなって。前世では、10歳で両親を無くして18歳には施設を出て自立しなくちゃいけなかったの。大学に行って、専門職に就く事ができて良かったんだけど。人に頼るってことを学び忘れちゃったかもね」


オンディーヌ様がこちらの話に耳を傾けていることに気づきながら話を続ける。


「必要なのは、自立する心構えだと思うの。ここから独りで立つって言う心構え。でも、それを支えてくれる人がいるなら寄り掛かるんじゃなくて、意見を聞いてそれをどう扱うか。自分の意志を持つことが必要なんだと思う」


ヴィクトリア様にスッと目を向ける。しっかりと目線が合ったことを確認して尋ねる。


「貴女が若くて未熟なことは、誰でも知っていることなんでしょう?貴女は、国民に対する義務をどのくらい果たそうと思っているの?オジサン達に任せてお飾りとして座っているだけ?貴女の何かを成し得ようとする気持ちはオジサンに言われたら変わってしまう程度のものなの?」


5歳児がこんな事を言ったらバカにされるだろうけど、愛し子と言う地位がそれを許さなかった。辺りがシーンと静かになっているのに気づいてちょっと気まずくなった。

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