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ケーキの話から先日のホームパーティーの話になって「神様達がレイラに加護を与えてくれたんですよ」と言う話をディザがして王族の方達をドン引きさせていた。


ディザ、今日も笑顔が黒いですが…今日のは牽制ですか。そうですか…。


「そろそろ、お時間です」


執事みたいなおじ様がソッと王様に耳打ちすると【獣王国の世界樹】の様子を見に行くことになった。


アイテール様に抱っこされて、思い出した。


「あっ…名前考えるの忘れてた」


ディザが私の呟きに反応して「ブッ」と吹き出していた。時間が無いと思うと何も出てこない。頭が真っ白になるってこういうことを言うんだね。身を以て体験してしまった。


「レイラ…あいつは、脳筋だから。適当な名前で大丈夫だよ」


ディザの囁きが、悪魔の囁きに聞こえる。もう、安直な[ビースト]しか出てこないじゃないか。


「レイラ、可愛いなぁ」


安定のアイテール様を見て悩むのはもう止めにした。


世界樹の前まで来ると、他国の王族達がお酒を飲みながら寛いでいた。私達の登場に、立ち上がって拍手で迎えられた。


ちょうどその時、世界樹が淡い金色の光の粒を降らし始めた。そして【獣王国の世界樹】が世界樹から出てきて、歓声が上がった。


20代半ばに見えるお兄さんは、筋肉がモリモリで身長は190センチくらい。軍人さんみたいに見える。グリーンがかったシルバーの髪の毛とグリーンの瞳は、ディザと一緒だ。


「あれ、お兄さんだ」


てっきりディザと同じくらいの男の子が出てくると思ったら、筋肉がモリモリのお兄さんがでてきてビックリした。


「普通はあの位まで成長するんだけどね、ディザは元の樹が無かったから未熟児みたいな物なんだよ。その内、彼みたいに大きくなるよ」


アイテール様に言われてディザを見る。


「ディザ、もしかして少し身長伸びた?」

「やっと気がついた?10センチくらいは伸びたんだけど、いつも一緒だと分かりにくいのかもね」


ニッコリ笑うディザは、まだまだ子供らしい雰囲気があるけど。すぐに成長するのか…正直、うらやましい。私の成長も、もう少し早くならないかな。


「他にも彼が成長している理由があってね」


と、アイテール様が教えてくれた。


元の樹がしっかり成長をしていたこと、神殿が世界樹の管理をしっかりして世話をしていたこと、この国の地脈が元気なこと。など、他にも理由があった。それだけ、ディザの人の国での扱いが酷かったと言うことだ。


「大丈夫、今はレイラが側に居てくれるし、地脈も凄く元気なところだから今度は、ちゃんと大きくなれるよ」

「うん。ずっとディザの側に居るよ」


そう言うと、ディザは泣きそうで嬉しそうな顔で笑った。


【獣王国の世界樹】が、私たちに気づいてこちらに歩いてくる。


「お待たせしました、愛し子様。世代交代、無事に完了いたしました」


軍人のような報告にクスクス笑ってしまう。


「ご苦労様です」


取り合えず、軍人ぽく返事をしてみた。


「早速ですが、名前を拝命致したく存じます」


おっと、もう来た。でも【獣王国の世界樹】の声が大きいから他国の王族達が「名前?」とザワザワしている。これは、名前案件については真面目に考えておいた方が良さそうだよね。


アイテール様に降ろして貰うと【獣王国の世界樹】が、私の前に跪く。


それっぽく見えるように精霊契約の時みたいに額に手を当てる。


「【獣王国の世界樹】、あなたに[ビースト]と言う名を贈ります」

「有り難く拝命致します」


と言うと立ち上がって最敬礼をした。


1つのセレモニーのようになってしまった名付けが終わると、私はすぐにアイテール様の元へ逃げ帰った。他国の王族が近寄ってくるのが目の端に見えてちょっと怖かったから。


獣王国の王太子様が上手く誘導して昼食会の会場である庭園へと移動して、事なきを得た。私達も昼食会の会場へ行くと、立食パーティー形式の会場になっていた。


「アイテール様、宜しければ席を用意しましたので皆様でお座りください」


出来る王太子のサンテュール様が声をかけてくれた。日除けが用意された席は、ちゃんと5つあってヴァンとルミエールの分も用意してくれてあった。


「レイラ、一緒に見に行く?それとも、持って来てもらう?」


ディザの質問に「見に行く」と即答すると、ヴァンが抱っこして行ってくれることになった。


ヴァンとディザと料理を見て回る。「おいしそう」って言った料理を王宮の侍従さんが取り分けてくれる。


「わぁ、デザートいっぱい。おいしそう」

「そうだね。皆甘いもの好きだから好きなの持っていって一口づつ味見したら?」


ディザが、今日は特別な日だからね。と言ってくれた。侍従さんにお願いしていくつかケーキも取り分けてもらった。久しぶりにブュッフェへ行った気分を味わえてご満悦だ。


「アハハ、いっぱい持ってきたね」


ワインを飲んでいたアイテール様に言われて思い出した。私のボディは、5才児でした。持ってくる量、間違えちゃった。


「大丈夫、食べきれない分は皆が食べちゃうから」


うん。それ、今日2回目です。今日は、頑張ったから良しとしよう。と、自己解決することにした。

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