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06

私の目の前に広がっているのは、砂漠。


「アイテールさま。何で砂漠のど真ん中なの」


見渡す限り砂漠です。


「うん。最近、砂漠化が進んで困るなと思っていたからね。ここに、世界樹を植えようと思うんだ」


とても良い笑顔で教えてくれましたが、ここは炎天下。水も見当たらないしどうやって育てればいいのか全く分からない。そして、とっても暑い。腕がジリジリするよ。


「まずは、レイラに力の使い方を教えてあげないといけないね」


そう言って、アイテール様が手をかざすと先程までの炎天下の暑さは無くなりフワリと涼しい風がそよいでいる。


「レイラ、まずは水源を探そう。この下に地下水が沢山有るんだけど、この砂の上まで引っ張るイメージで水を持ってきてごらん」


アイテール様、教え方が大雑把過ぎませんか。

ちょっと涙目になっているとアイテール様が笑いながら私の手を砂の上に置いてその上に自分の手を重ねる。


「ごめんごめん。ちゃんと説明するから泣かないで」


と言っている。

ほっぺを膨らましてブゥと怒ってやる。


「ほら、機嫌を直して手の平に集中してごらん。砂のずうっと下の方にチャプンてお水が有るイメージで探してごらん」


アイテール様が言うようにイメージをしてみる。ずうっと下の方、お水がチャプンて


「あっ。チャプンてした」


きっと満面の笑顔でアイテール様に報告してしまったようだ。アイテール様がとても良い笑顔をしています。


「じゃあ、次はそのお水をギュッと握って上に引っ張るよ」


「うん。よいっしょ」


お水を思い切り握って引っ張る。重いぃぃ。


「アイテール様、ちょっと重くて無理かも」


「そっかあ。じゃあ、ちょっとずつ涌き水みたいに上がって来るイメージを作ってみて」


それなら出来そうかな。

手の平に集中して涌き水のイメージをする。すると、手の下から水の感触がした。


「あっ。お水出た。冷たい」


それは、涌き水のイメージにしたからか手を離してもこんこんと湧き出て来る。


「良くやったねレイラ」


まるで子煩悩なお父さんみたいにアイテール様が抱っこして褒めてくれる。

もう、5歳児はお父さんに褒められたらご機嫌です。


湧き水をイメージしたお水はどんどん湧き出て小さな水溜まりを作り始めた。


「次は、泉を作るから砂をへこませるよ」


またもや謎の指示が来ました。眉毛をギュッと寄せて一生懸命考える。


「砂をへこませるって、ボコってへこめばいいのかな」


アイテール様に質問すると


「そう、一番深いところでレイラの5倍くらいの深さにしてね」


私の身長は今、アイテール様の腰くらいの高さだから100センチくらいかな。と言うことは、5メートルくらいの深さにへこませるのか。


「今度は、上から押し潰すイメージで」


アイテール様の説明に頷くと小さな両手を前に出して上から押し潰すイメージをしてみる。


「うーん」


ちょっとへこんだかな。あっ重力で押し潰すイメージにしてみよう。ちょっと閃いて試してみるとズズンと砂が大きくへこんだ、


「おお、上手に出来てるよ。そのまま、もっと範囲を大きくしていこう」


アイテール様に応援されながら『うーん、うーん』唸りながら大きくへこませることが出来た。


「それくらいでいいかな。レイラは凄いな。良くできました」


また、子煩悩なアイテールお父さんが登場して私の事を抱き締めてくれる。

なんだか、アイテール様からお父さんの愛情を感じます。


ちょっと離れた所から様子を見ていた世界樹のお爺ちゃんも「ホッホッホッ」と孫を見るような目で見ています。


前世では、アラサーだったのにいつの間にか5歳児の精神状態に思いきり引っ張られて恥ずかしいとか、そう言った事は全く感じなくなってしまった。むしろ、アイテールお父さんと世界樹のお爺ちゃんに褒められてご満悦です。


「後は、世界樹の実を植えたら一休みしようね」


アイテールお父さんの声に元気良く


「はーい」


と手を挙げてお返事しちゃいます。





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