05
「さてと。この国の王族は他に残っているのかな」
アイテール様の声が静まり返った謁見の間に響き渡る。
すると、後ろの方から一人のおじさんと青年が進み出て膝を突き頭を下げた。
「恐れながら申し上げます。わたくしは、現国王の王弟殿下の孫に当たる者にございます。こちらは、わたくしの息子になります。この度は、我が国の王の愚行を止めることができずアイテール様、並びに【人の国の世界樹】様に多大なるご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。つきましてはー」
前に進み出てきたおじさんが頭を下げながら喋っている途中でアイテール様が話をぶった切った。
「あぁ。そういった細かい話は不要だよ。要するに今後、この国を立て直せそうな人が居ればいいんだ。国境の方に飛ばされた昔の臣下の孫辺りを呼び寄せて頑張ってくれるならそれでいいよ。」
頭を下げていたおじさんもポカンとしてこちらを見ている。
うん。分かるよその気持ち。
「それから【人の国の世界樹】についてだけど今後、人の国には任せられないからこちらで育てることにしたから」
慌てたおじさんが
「お、恐れながらアイテール様。どうか世界樹の恵をこのランディローザにお与えください。現在、民は飢え困窮している状態です。このままでは、この国は滅びてしまいます。」
必死にアイテール様に伝えているおじさんだけど、さっきアイテール様は立て直せそうな人は居ないかって聞いていたからそれは難しいと思うよ。
そう思った時、隣にいた息子が父親を止めて話し出した。
「アイテール様、数々のご無礼をお許しください。我々ランディローザの民は、神であるアイテール様を忘れ、世界樹様を忘れ、与えられる恵に感謝をせず過ごしてまいりました。これからは、民と力を合わせこの国を立て直して行きたいと思います」
アイテール様は、そう言った青年に向かって
「立て直しが出来そうな人間が居て良かったよ。じゃあ、復興のヒントをあげよう。まず、私の神殿を復活させること。それから豊穣の神バッカスにちゃんと収穫のお礼をすること。そうすれば、次の収穫は今年の倍以上になると思うよ」
私の魂に刻まれた知識によると、アイテール様以外にもこの世界には神様が居てそれぞれお仕事が違うんだって。豊穣の神様は勿論、森の神様や海の神様も居るらしい。その内、会えるかな。
アイテール様はそれだけ言うと【人の国の世界樹】に
「じゃあ、帰ろっか」
と言った次の瞬間には、また違う場所に移動していた。