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46 お勉強の日〔魔力の制御〕

パーティーの日から数日後、アイテール様はお仕事で居ないからディザとお勉強の日。今日は、泉のウッドデッキでディザの授業が始まった。


「今日は、魔力と精霊の力について教えるよ」


なんてファンタジーな響き、とテンションが上がってしまう。


「レイラが作ったこの結界は、魔力で作ったのは覚えているかな」


砂漠に来てすぐにアイテール様に教えてもらって魔力の結晶を(コア)に結界を作った。


「覚えてる。(コア)を作るのに魔力を結晶化させたよ」


そう答えると「良く覚えていたね」とディザが頭を撫でてくれる。


「レイラは、元々魔力が多い上に精霊の力もあるから。そろそろ、制御方法を覚えておいた方がいいと思ってね。基本は、イメージと詠唱を間違えないこと。簡単でしょ?」


そう言うと、ディザは掌を出して唱える。


《ウォーター》


すると、ディザの掌の上に水の玉が浮かび上がった。


「ほぉあ。魔法だ!」


謎の喜びを表す私にクスクス笑いながらディザが私にもやってみるように言ってくる。気合いを入れて掌を出して唱える。


《ウォーター》


次の瞬間、私の掌の上に直径1メートル程の水の玉が現れた。


「えぇ…大きすぎる」


ビックリする私の隣でディザが大笑いしている。私のイメージでは、5センチ位の水の玉が出てくる予定だったのに。


「アハハ。もっと魔力の出力を少なく調整してみて…フフッ」


涙を拭きながらディザがアドバイスをくれる。今度は、掌に集める魔力を極小にして唱えてみる。


《ウォーター》


「アハハ。レイラ魔力の制御した?」


またも大笑いするのも分かる。私の掌の上には、先程より少し小さな水の玉が浮いている。


「魔力の出力は凄く小さくしたんだけど…」


そう言って、水の玉を泉にパシャリと捨てる。


「あれより小さくするのは難しいかも…」


眉間にシワを寄せてウーンと唸る私を見てディザが頭を撫でてくれる。


「レイラの魔力が大きいのは知っていたけど、それほどだとは思わなかったな。魔力の出力を小さくする魔道具が一応あるんだけど、取り寄せた方がいいかな…でも、1つじゃ足りなさそうだよね」


と、首をかしげながら悩んでいる。魔道具で魔力を制御しながらじゃないと普通に魔法が使えないのかな。しかも身につける魔道具は多数。それは、ちょっと不便かも。


「あれ、もしかして」


と、閃いた。私の思考は、今も日本語なんだよね。つまり、このスウェンターレの言葉じゃない。もしかして、日本語で言えばいいんじゃない?


《水よ》


そう唱えると、私のイメージしていた5センチ程の水の玉が掌の上に浮いていた。


「出来た!」


ディザも驚いているけど「良かったね」と一緒に喜んでくれる。


「でも、今の言葉は何?僕には、上手く聞き取れなかったんだけど」

「あのね、私の居た国の言葉なんだけど。頭の中でイメージした通りに出来たの」


そう説明すると、ディザは少し考えて私の方を見る。


「それって、言葉に出さなくても出来たりする?」


イメージだけで出来るかってことだよね。私は、掌の上に水の玉が浮いているイメージをする。すると、少し時間はかかったが水の玉を出すことが出来た。


「出来た!でも、少し時間がかかるかも」


そう言うと、ディザはまた少し考えて私を見る。


「たぶん、時間がかかるのは慣れないからだろうね。慣れれば早くすることが出来るんじゃないかとは思うんだけど。言葉にした方が、明確でいいんだろうな」


うんうん。と一人で納得していた。


「レイラ、次は広範囲に魔法を展開してみようか。この、泉全体に雨を降らせることはできそうかな?」


そう言われてイメージする。泉にシトシトと降る雨のイメージ…すると、言葉が浮かんできた。


《霧雨》


すると、泉の上にサアッと雨が降り始める。細かい霧状の雨は泉の上にだけ降っている。


「魔力の制御と範囲もバッチリだね」


ディザに誉められてご満悦。泉の上に綺麗な虹が掛かっていた。


『小さなお姫様、森にも雨を降らせて』


森の妖精が、お願いをしに来たみたい。


「いいね。魔力の制御がどのくらい出来るか試しにやってみようか」


ディザも面白半分と言う感じでやってみようと言い出した。


「うん。やってみる」


先日、アイテール様と一緒に広げた結界を思い出す。結界内全域に雨が降るイメージをして、森が潤うようにと付け足したら違う言葉が浮かんできた。


《恵みの雨》


サアッと振りだした雨は世界樹よりも高いところから結界内全域に雨を降らせ始めた。


『雨が降って来たよ』

『皆おいでよ』

『美味しいよ』


森の妖精だけではなく水の妖精や花の妖精まで霧のような優しい雨の中、キャッキャと飛び回っている。パーゴラの屋根から手を出して雨に手を濡らしたディザが驚いている。


「レイラ。この雨、普通の雨じゃなくて少しマナが混じってるよ?」


なんで?と言う顔でこちらを見るディザにエヘヘと笑って誤魔化したけど駄目だったみたい。


「えっと、森が潤うようにってイメージしたらこうなっちゃった」


そう言うと、ディザが残念な子を見るような目で「ここでは良いけど、他でやったらダメだからね」としっかり釘を刺されてしまった。確かに他所でこんな事したら大事になるよね。

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