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世界樹のお家に帰ってくると、外のポストに手紙が入っていた。アイテール様宛で誰からだろうと封を開けると手紙の上に15センチくらいのスーツを着た男の人が現れた。3Dホログラムみたい。
《やぁ、アイテール。元気にしているかい?最近、君に娘が出来たとオンディーヌから聞いてね。是非、俺も会いたいと思って連絡をさせて貰ったよ。10日後の火の第1の月の1日にオンディーヌとティターニア。バルドルとアレスの5人で遊びに行くから宜しく。ワインは俺が用意するからご心配なく。では、たのしみにしているよ》
と言う内容だった。凄いね、この世界のお手紙は立体画像なんだ…と驚いていたらディザに「あの手紙は【空の国】のフォルテーティア製だから立体映像なんだよ」と教えてくれた。手紙は普通に文字で送られてくる物で合っているみたい。
「バッカスの奴……ハァ」
アイテール様がため息きを吐きながら取り合えず、家の中に入るように言われた。
『あらあら、なんたがお疲れね、お帰りなさい。焼きたてのアップルパイを持ってきたのよ。アイスクリームと一緒に召し上がってね。さぁ、手を洗っていらっしゃい』
家に入るとカネルがアフタヌーンティーの用意をしてくれた。アップルパイは、私の大好きなNYスタイルの表面がザクザクのオートミールが乗っているタイプだ。シナモンが、強めでバニラアイスと一緒に食べると美味しいんだよね。
「カネル。私、この表面がザクザクのアップルパイ大好きなんだ」
『まぁまぁ、良かった。私の得意なお菓子なんですよ。今度、一緒に作りましょうね』
今日の紅茶は、アップルパイに良く合うアッサムティーだった。一息つくとアイテール様がさっきの手紙の説明をしてくれた。
「さっきの手紙は、バッカスと言って豊穣とワインの神からでね。とにかく、皆で集まってパーティーをするのが好きな奴なんだよ」
「あっ…。人の国でアイルパパが収穫のお礼をするように言っていた神様だ」
良く覚えていたよね、私。と一人でウンウンと頷いていたらアイテール様がため息を吐いていた。
「あいつ、仕事が増えたから嫌がらせのつもりだな…」
そんなアイテール様を見てディザが提案をしてくれた。
「泉のウッドデッキをレイラが先日、言っていたグランピング風にして。そこで、パーティーを出来るようにしようと思っているんですけど。どうですか?」
「あぁ、ディザ。悪いな、頼むよ」
アイテール様はまた、ため息を吐いているけど。私は、パーティーと聞いてワクワクしている。
「ねぇ、パパ。レイラにも何かお手伝いしたい!」
そう言うと、アイテール様が少しビックリした顔をしてからやっと、笑ってくれた。
「レイラは、皆が来るのがうれしいのかな?」
「あのね、レイラはホームパーティーってしたことないの。だからね、とっても楽しみなの」
そう言うと、私を膝の上に座らせてギュッと抱き締めてくれた。
「レイラが楽しみにしているなら、素敵なホームパーティーにしないとね」
「ねぇ、パパ。レイラも何かできることあるかな?お手伝いしたいの」
どうやら、やる気が出てきたアイテール様は少し考えると
「そうだね。ディザ、パーティーの会場は任せて良いかな?」
「大丈夫ですよ」
ディザが任せてください。と返事をすると頷いてパーティーの準備の段取りを考えていく。
「料理は、ウェスタと相談して。デザートも必要だからカネルにも相談が必要だな。飲み物は…お酒については私が用意しよう。ワインはバッカスに持ってこさせて。ノンアルコールの飲み物はカネルにも頼むか…」
と、サクサク決めていくと私を見て提案してくれた。
「レイラも料理やお菓子を1、2品作れるかな?それから、何か冷たい飲み物を考えてみてくれるかな。ディザと相談して準備のお手伝いを頼むよ」
「うん、出来る!レイラ、一杯がんばるよ」
そう言うと、アイテール様が頭を撫でてくれる。
「うん。私も楽しみになってきたな」
そんな訳で、10日後のホームパーティーに向けて慌ただしい。でもワクワクな日々が始まったの。




