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03【人の国の世界樹】

「さてと、早速で悪いんだけど。急いで助けに行きたい世界樹があるんだ。一緒に行ってくれるかい」


アイテール様の金色の目がとても寂しそうに見えてギュッと抱きついてしまう。


「うん。一緒に行く」


「良かった」


アイテール様が私の背中をトントンしながらこれから行く世界樹の説明をしてくれる。なんだか眠くなっちゃいそうだよ。


内容はこんな感じだ。


今から行くのは、【人の国の世界樹】と言って人の王さまが治めるランディローザと言う国にある世界樹で既に枯れ始めているらしい。


世界樹に金色の実がついたら世代交代が始まる合図らしいんだけど。なんと人の国の王さまは、その金色の実を食べてしまったと言うのだ。


それじゃあ世代交代出来ないんじゃと慌てて聞いてみたらアイテール様がその実を取り返してくれるから大丈夫なんだって。

良かった。


世界樹の実を食べた王さまは若返って年を取らなくなったらしい。まぁ、そんな世界樹の実を独り占めするのは難しかったらしく王妃さまや自分の子供である王子や姫にもそれを食べさせ、さらには一部の高位貴族にもそれを食べさせたんだって。

世界樹の実ってそんなに大きいんだ。


それが約150年位前の話らしい。


さて、世界樹が枯れ始めると何が起きるのか。

始めに作物の育ちが悪くなる。世界樹の恩恵は自然界への影響力が大きいからなんだって。

王さまの行いを諌めた臣下の人達は国境近くの領地に飛ばされてしまったらしい。


次に森が枯れて水不足が始まる。森の動物が居なくなってしまった。人の国の民からも声が上がったがそれを無視して来たようだ。


次に国境辺りから砂漠化が始まり年々、人の住む地を侵食しているそうだ。

地球でも砂漠化が進んでいたから他人事じゃないよね。


最後にアイテール様は、とても良い笑顔でこう締めくくった。


「人の国には、もう世界樹を任せることは出来ないからレイラが育ててね」


「えっ?それは無理かも」


衝撃的すぎて涙目になっちゃったよ。


アイテール様にとっては決定事項だったらしく涙目で訴えても私が世界樹を育てると言うことは変わらなかった。


「絶対に楽しいと思うんだけどな」


そう言いながらアイテール様が淡く光り始める。


「神様っぽいでしょ」


ニヤリと笑いながら言われても微妙です。


「じゃあ【人の国の世界樹】に会いに行くよ」


そう言ったのと目の前の景色が変わったのは同時だった。


ビックリして見開いた目の先には、とても大きな木がそびえ立っていた。


私の魂に刻まれた知識によると、世界樹の寿命は約1500年程で世代交代が行われる。と言うことは、目の前の大木は樹齢1500年位と言うことになる。

高さは100メートルくらいあるらしい。幹は大人が10人手を繋いでも届くか分からない。


でも、葉っぱはほとんど落ちてしまい冬の落葉樹の様に見える。


「【人の国の世界樹】居るかい」


そう声を掛けると木の一部がふわりと光り、中から髭を長く生やしたお爺さんが出てきた。某魔術学校の校長先生みたいだ。


「久しぶりですな。アイテール様」


お爺さんはそう挨拶すると私を見て


「待っておりましたよ。愛し子様」


と優しく笑いかけてくれた。


「遅くなって、すまないな」


本当にすまなそうに謝るアイテール様に


「100年やそこら、大した事じゃありませんよ」


と笑う世界樹のお爺さんに私は呆気に取られてしまった。世界樹にとっては100年はそんなに長くないらしい。


「次はレイラに君を育ててもらうから、それで許してくれるかい」


それを聞いたお爺さんは


「ホッホッホッ。長生きしてみるものですな。レイラ様よろしくお願いしますね」


と笑ったのだった。世界樹は心も広いらしい。


「じゃあ【人の国の世界樹】一緒に人の国の王に会いに行こうか」


そう言うと同時にまたもや目の前の風景が変わっていた。


移動する前に一言欲しいかも。





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