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出来上がったシリアルバーは、油紙でクルクルっと巻いて両端をキャンディの包みのように捻って止めた。全部で8個出来たから1個はディザに食べてもらう。


「ディザ、シリアルバーが出来たから食べてみて」


ディザに渡すと嬉しそうに食べてくれた。


「レイラ、とっても美味しいよ。ニッキとカシアもありがとう。アイテール様もきっと喜ぶよ」


アイルパパも喜んでくれるといいな。


『今日は、楽しかったですよ。また、一緒にお菓子作りしましょうね。それでは、また明日のティータイムに来ますね』

『レイラ、またね』

『レイラ、また一緒にお菓子作り出来るのを楽しみにしていますね』

「うん。今日は、ありがとう」


そう言うと、三人はフッと消えてしまった。でも、ちゃんとお礼は言えるようになったよ。


「レイラ、良かったね。早速、アイテール様に届けにいこうか」

「うん。行きたい」


作ったばかりのシリアルバーをかごに詰めて玄関へ行くと、ディザは玄関ドアの隣にあるポストのような箱をパカッと開ける。すると、中から時計のような物が出てきた。矢印芯は1つしかなくて、一番上が13で右回りに数字が並んでいる。


「レイラはこれ見るの初めてだったかな」

「うん。初めて見た」


ディザが説明してくれたのは、この時計のような物が転移陣の転移先を決めるものだと言うこと。行き先は、12本の世界樹とアイテール様のお仕事をしている場所。だから数字が13迄あるんだね。


「今、矢印が指している[9]の所が【砂漠の世界樹】だよ」


矢印が指している[9]の数字の周りには渦巻きの様なデザインがされていて砂嵐を表現しているらしい。

[1]は【火の国の世界樹】で炎のデザインが、[2]は【水の国の世界樹】で雫のデザインがあって見た目で分かるようになっているんだって。


「アイテール様のいる場所は[13]の煌めきの所ね」


そう言って、矢印を合わせた[13]は綺麗な金色の細い線が放射状に描かれている綺麗なデザインの所だった。矢印を合わせると、ディザはドアをコンコンとノックした。


私が今いるのは、家の玄関扉の建物の内側と言ったら伝わるかな。家の中にいて玄関をノックしたディザに私は、驚いてしまった。


「はーい。ちょっと待ってね」


アイテール様の声がして、玄関扉がガチャリと開くとアイテール様が顔を出した。


「あれ、二人ともどうしたの。何かあった?」


アイテール様の顔をポカーンと見上げていると、ディザがクスクス笑いながら説明をする。


「レイラがニッキとカシアと三人でアイテール様に差し入れを作ったのでお届けに来たんですよ」


そう言うと、カバッとアイテール様に抱っこされてアイテール様の仕事部屋に連れていかれる。仕事部屋と言うか執務室みたいな所で壁は一面書棚になっていてビッシリ本が入っている。大きめの机の上には、書類が沢山積んである。


「私に差し入れを作ってくれたの?嬉しいな」


やっと、気を取り直してアイテール様にかごを差し出す。


「あのね、カネルに教わってシリアルバーを作ったの。お仕事の合間に食べられるようにしたの」


そう言うと、アイテール様はギュッと私を抱き締めて


「ありがとう。とっても嬉しいよ」


といって頬っぺにキスをしてくれた。うん。凄く喜んでくれたみたい。それよりも、私は玄関の仕組みにビックリしているんだよね。


「あのね、レイラ。あそこの扉を開けたら外じゃなくてアイルパパのお部屋でビックリしたの」


アイテール様の服をグイグイ引っ張ってどこかの世界から引き戻す。


「あぁ、あれは玄関に転移陣が敷いてあってね。ディザのところからは特別に私の部屋へ来れるようになっているんだよ。だから、好きな時に遊びに来ていいからね」


好きな時に遊びに来るとお仕事の邪魔になるから、ディザにちゃんと聞いてから来よう。


「パパ、シリアルバー食べてみて」


私は、感想が聞きたくてウズウズしているの。


「あはは、そうだね。いただこうかな」


そう言って部屋の真ん中に置いてあるソファセットに座ると、いつの間にかディザが紅茶を用意してくれていた。


「いただきます」


そう言って、一口食べるとアイテール様のお顔がヘニャってなって私の頭を撫でてくれる。


「レイラ、とっても美味しいよ。娘の愛を感じる」


良かった。またお菓子を作ったら持ってきてあげよう。




いつも読んでいただき、ありがとうございます。

誤字の報告、ありがとうございます。

何度か見直しはするのですが、気づかない点もあるので有り難いです。

今後ともよろしくお願いします。

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