26 ハーブバター
昨晩、泉の妖精の誕生する所を見たせいで今日は少し朝寝坊をしてしまったみたい。アイテール様はお仕事だからディザと二人で少し遅いブランチを食べてからお散歩へ行くことにした。
今日は、アイテール様が居ないからディザと二人でホットケーキを作った。バターとハチミツを用意して、トッピングには森で採ってきたベリー類と生クリームを乗せて食べたよ。
泉へ行ってエレインに挨拶をして昨晩、妖精の誕生の瞬間を見ることが出来たことを報告した。少し興奮気味に話をする私の話をエレインは嬉しそうに聞いてくれたの。泉の周りを一周してから森の精霊が生まれそうな木の様子を見に行ったけど、まだ変化は見られなかった。
家に戻ってカネルの入れてくれた紅茶を飲んで少しのんびりしてから昨日、摘んで来たハーブを使ってハーブバターを作ることにした。アイテール様が用意してくれた可愛いエプロンドレスを着て邪魔にならないように髪の毛をポニーテールにして準備は万端です。
「レイラは、ハーブの葉の部分を細かくしてくれる?」
キッチンで私用に用意された台に乗ってハーブから葉っぱだけプチプチと取っていく。茎の部分は硬いから使わない。次に子供用の小さな包丁で細かく刻んでいく。
キッチンにハーブの良い香りが充満していく。
「出来た」
「そしたら、室温で柔らかくなったバターに混ぜるよ」
ディザがボールの中のバターに刻んだハーブを入れて混ぜていく。
「最後にレモンを軽く絞って混ぜたら完成だよ」
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[ハーブバターの材料]
有塩バター 70g
タイム、ディル、チャービル 2g
レモン汁 適量
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出来上がったハーブバターを硝子の蓋付きの器に入れて冷蔵庫で冷やす。前世では、サランラップで丸い棒状にして冷蔵庫で冷やして使うときは、包丁で切って使っていた。パンに付けて食べても美味しいし、お肉や魚を焼いた上に乗せてソースにしても美味しい。
前世の私の数少ない趣味がハーブを育てることと料理だった。料理の知識については、記憶が残っているから作ってアイテール様やディザに食べてもらいたいと思っているんだよね。
『世界樹様、愛し子様。アフタヌーンティーの用意が出来ましたよ』
リビングの方からカネルの声がする。急いで行ってみるとティースタンドと今日は、ロイヤルミルクティが用意されていた。
「カネル、いつもありがとう」
『まぁ、愛し子様。わたくし達にお礼など不要ですよ。好きでやっているんですから』
そう言っているけどカネルも嬉しそうにしている。
「レイラも好きで言ってるからいいの」
カネルがフフフッと笑っている。
「カネルにもレイラって呼んで欲しいな」
『判りました。レイラ様と呼ばせてもらいますわ』
本当は、様もいらないんだけどそれは難しそうだから我慢しなくちゃね。
「カネルにね、もう1つお願いがあるの」
『なんでしょう?』
「あのね、お菓子の作り方を教えてほしいの」
カネルにそうお願いすると手を頬にあててニッコリ笑った。
『まぁまぁ、そのような事であればいつでも良いですよ。息子達も喜んで来ます。そうですね、出来立てが美味しいしお菓子もありますしね』
「ありがとう、カネル」
カネルにお菓子作りを教えて貰いたかったんだよね。両親を亡くしてから誰かと一緒にお菓子作りとかする機会があまり無かったからとっても楽しみ。もちろん、ディザとお料理するのもとても楽しい。
「良かったね、レイラ。お菓子を作ったらアイテール様に届けてあげたら」
それは良い。お仕事しているアイルパパにお菓子のお届けしたい。
『では、簡単に出来るお菓子を作りましょうか』
「作りたい」
はい。と手をあげて声が大きくなっちゃった。
『僕も手伝う!』
『僕にもお手伝いさせてください』
ポポンと妖精の双子が目の前に現れて驚いてしまう。
「わぁ、ビックリした。もちろん一緒に作ろう。二人の名前をまだ、聞いてなかったよね。」
『僕は、ニッキ』
『僕は、カシアって言います』
「レイラだよ。よろしくね」
三人でワイワイ自己紹介しているとカネルが手をパンパンと叩いた。
『じゃあ、簡単に出来るシリアルバーを作りましょうか』




