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朝、準備したサンドイッチをテーブルに並べていく。
まずは、定番のタマゴサンド。マヨネーズをこの世界に浸透させてくれた日本人に感謝。次は、エビとアボディのサンドイッチ。紫玉ねぎのマリネとクリームチーズが入っていて色味もカワイイ。最後は、ベーコンとレタスとタマゴ。BLTサンドなんだけどトマトのピリ辛ソースが入っていてとても美味しそう。
「ディザ、このトマトのソースとても美味しいね」
「ありがとう。レイラが気に入ったなら、また作っておこうね」
なんと、ディザの手作りソースだったみたい。ディザは、本当にお料理上手だよね。私の舌は、お子様仕様ではなくて辛いものも大丈夫みたい。辛い食べ物も好きだから大変ありがたい。
さて、食後の一休みをしながら午後の予定をアイテール様が教えてくれることになった。じゃあ、紅茶をいれる準備を。と思ったらカネルがフワリと現れてオレンジペコの紅茶とハーブのクッキーを置いて帰っていった。
お礼を言う隙が、今日も無かった。何でティータイムのタイミングが分かるんだろうね。
「午後は、どの辺りまで森が広がったか上から見て。森の精霊が宿りそうな木を見つけておこうと思うんだよね」
花の妖精達が今朝、生まれたから森の精霊もそろそろ誕生するんじゃないかって事みたい。
「森の精霊が宿ったら、森の管理を任せたいからね」
森の管理者が決まれば、森の動物達も来てくれるみたいだから今からとても楽しみだ。
「夜は、泉の妖精の誕生を見るんだよね。じゃあ、サクッと終わらせてお昼寝しないとね」
ディザが「一緒にお昼寝しようね」と頭を撫でながら約束してくれる。
「それじゃあ、ちょっと見に行ってみようか」
アイテール様が立ち上がって私を抱き上げてガゼボから出るとフワリと浮き上がって上昇していく。高い樹木の上に出ると世界樹だけが突き抜けて大きく育っている。
「あっ。あそこにもお花畑がある」
「本当だね。今度は、あそこでピクニックしようか」
ディザとそんな話をしながら更に上昇していくと森の端が見えてきた。昨日、作った結界の3分の2位まで森が広がっている。
「思っていたより森の成長が早いな。ディザ、少しマナを出し過ぎてない?」
と首をかしげるアイテール様に
「この世界の管理者のアイテール様と世界樹の愛し子のレイラがいたら僕から出ている加護がどれだけ倍増していると思っているんですか。しかも、アイテール様は昨日は世界樹の中で寝てましたよね。マナが活性化しても可笑しくないですから」
ディザが珍しくちょっと怒ってる気がするけど大丈夫かな。と思って聞いていたらディザがこちらを見て
「マナが活性化しても森が元気になるだけだから大丈夫だよ」
と説明してくれた。
「まぁ、何日か様子を見て結界の範囲を広げればいいかな。結界の外は、灼熱の砂漠だからね」
そう。虹色の結界の外側は砂漠で、その真ん中に森が広がっている不思議な光景が私達の下に広がっている。
「この森を広げて砂漠を減らせたら嬉しいんだけどね」
とアイテール様は、言っているけど一月もしたらこの辺り一帯森になりそうな気がする。
「あっ、アイテール様。あの木じゃないですか?」
ディザが指差す先は、世界樹から少し離れた所で木葉が拓けたところに一本立派な木が育っている。森の木よりも頭ひとつ大きい。
「そうだね。ちょっと行ってみよう」
そう言うと、拓けたところに降りていく。そこは、下草に覆われた木漏れ日がキラキラと差し込んでいる綺麗な場所だった。
「森の精霊が生まれるまであと3日てところかな」
木に触れながらディザがそう言うと、アイテール様もそのくらいだね。と言ってまた、3日後に見に来ることにした。




