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「エレインさん、おはよう」
泉に向かって声をかけるとエレインさんが泉の中から顔を出した。
『皆様。おはようございます』
「泉の中の住み心地はどうだい」
アイテール様が聞くと
『世界樹様から溢れるマナの恩恵を受けまして、泉の中の生き物たちが活発に動き始めました。妖精たちも今夜辺りに生まれてくるのではないでしょうか』
妖精たちが誕生する瞬間が見れるかエレインさんに聞いてみると、泉の妖精は月の光を浴びて誕生すると言うことだった。
「アイルパパ。今夜、見に来てもいいかな」
「独りでは駄目だよ。私とディザと一緒にね。後でお昼寝するんだよ」
と許可を貰えた。今日はイベントが盛り沢山だ。
「エレインさん。また、夜に来るね」
と手を振って泉をぐるっと回って向こう側へ行くことにした。途中からアイテール様に抱っこされてスピードアップすることになった。
「本当に綺麗な泉が出来たね」
ディザがとても嬉しそうだ。
「あのね、レイラが前に居た世界にもこんな感じの泉があってね。そこは、観光名所になっていたんだよ。それでね、そこで食べたお蕎麦がとっても美味しかったんだよ」
「お蕎麦って、なあに?」
この世界にはお蕎麦無いのかな。お蕎麦とか麺類が大好きだったんだよね。
「えっと。そばの実から取れるそば粉を少量のぬるま湯でこねて、麺棒で薄く伸ばして。それを細く切って茹でるの。そばつゆって言うお出汁の効いたお汁に浸けて食べるんだよ。薬味っていってネギやワサビを入れたりもするんだよね」
私の説明でちゃんと通じるのかな?
「お蕎麦と言う食べ物は聞いたこと無かったけど、出汁と言うのは聞いたこと有るかな」
これは、嬉しいかも。日本食あったりするのかな。この世界の食べ物が前の世界の食べ物と名前が同じ物が有ることの説明は聞いたけど。日本食の名称となると、私以外にも異世界から来た人が居るのかな。
「アイルパパ。レイラ以外に異世界から来た人っているのかな。出汁は、私が居た国特有の物だと思うの」
「実はね、世界樹の世代交代の時に時空が歪みやすいみたいでね。時々、異世界から迷い人が来てしまうことがあるんだ」
それって本当の異世界転移!世界樹の世代交代って結構危ないんじゃ…。
「今回の世代交代は、問題なく出来たから大丈夫だよ。それに、迷い人が来てしまったとしても。次の世界樹の世代交代の時に元の世界へ戻れるから、戻りたいか迷い人に聞くんだけどね。残りたいって人が半数以上居たりするんだよね」
「不思議だよね」とアイテール様が言っているけど、それ絶対に日本人じゃないかな。こんなファンタジーの世界、せっかく来たんだから楽しんでみたいって人いるよね。
「今も、その迷い人って居るの?」
「確か、前の世代交代の時に一人迷い人が来てしまったんだけど。獣王国の狐族の番で、帰らずに結婚したはずたよ」
この世界に来て結婚って凄い。でも、番って何だろう?鳥の番とかは聞いたことあるけど。
「アイルパパ。番ってなぁに?」
「レイラの世界には番は存在しないから知らないかもね。番は、夫婦の絆よりも更に深い所とで結ばれる魂の伴侶と言われていてね。番を持つ種族の者達は、成人したら直ぐに番を探すための旅に出るんだよ。もしかしたら、相手が短命の種族かもしれないからね。番を見つけたらお互いの魂を結びつけて寿命を分け与えるんだ。そうすれば、一緒に死ねるからね」
番について教えてもらったけど。何て言うか、ちょっと理解しきれない感じだ。
「ちなみに、番を見つけられないと空虚感に苛まれたり。最悪の場合は、狂ってしまうこともあるんだよ」
番システム、ちょっと怖いかも…。
「レイラは、精霊族とエルフのハーフだから成人したら番が何処にいるか分かるようになるよ」
「えっ。レイラにも番が居るの」
ビックリして大きい声が出ちゃったよ。
「レイラが成人するのに200年近くかかるから心配しなくても、その頃には理解できるようになるよ」
顔に出ていたのかディザが慰めてくれる。
その前に成人するまでに200年もかかると言うビックリな情報がサラッと出ていたけど。私は、何時まで5歳児の体のままなのかな。




