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02

「じゃあ、まずは約束の体だけど」


と言って見せてくれたのは


『耳が尖ってる?』


5歳くらいの女の子だが、耳が尖っている。


「世界樹の世代交代には時間が掛かるからね。自然界に干渉出来る精霊族と長命のエルフ族とのハーフにしてみたんだけど、どうかな?」


どや顔で説明されたが良く分からない。


『えっと、ありがとうございます…』


目は閉じて眠っているようだが、髪はシルバーで緩く波打っているし、子供らしく頬っぺはプクプクしていてピンク色だ。小さな鼻にプックリとした唇はツヤツヤだ。白い半袖のワンピースは細かな刺繍があり裾の方にふんわりとしたレースが付いていてとても可愛らしい。お揃いの靴も小さいが刺繍がされている。


『でも、この子生きてるよね…?』


またもや漏れてしまった私の呟きにアイテール様が答えてくれる。


「この体は君のために今作ったから生きてはいるけど魂が空っぽの状態なんだ。だから、安心して中に入ってね」


『良かった…誰かの体を乗っ取る訳じゃないんだ…』


私の呟きにアイテール様がビックリしていた。


「ごめんごめん。説明が足りなかったね。ちなみに子供に見えるけど、長命な種族だから君の年齢だと見た目はこんな感じになるからそこの所は我慢してね。」


(どうやら、もう少し大人にしてくれないかと言う私の希望は呟く前に却下されたようです)


「じゃあ早速、魂を入れて安定させるね」


有無を言わせない笑顔で私を見るアイテール様が私の魂をそっと体に入れ込んだ。





ふわりと意識が上昇して眼を開けるとアイテール様が嬉しそうにこちらを見ていた。


「うん、いい感じに魂が馴染んだね。」


そう言われて自分の手を見てみる。

ぷにぷにの小さい子供の手だ。立ち上がって歩いてみるとトタトタと可愛い音がする。

急に楽しくなってしまいキャッキャと声を上げて走りたくなってしまった。


「どうやら体に精神が引っ張られるみたいだね。まあ、大人びた子供よりその方が可愛いから良いよね」


と言うアイテール様の声を聞いてちょっと悲しくなったのは秘密にしておいた。


「それから、君の名前だけど」


そう言われて自分の名前を思い出せないことに驚いた。


「前の名前は違う世界の名前だから思い出せないだろ?前の記憶も少し朧気なんじゃないかな」


当たり前のように言わないで欲しい。

確かに、つい先程の事故の記憶はしっかりあるが仕事仲間の顔を思い出そうとしても少し曖昧な感じだ。精神年齢5歳児にはとても悲しいことのようで涙が溢れてきてしまう。


「あぁごめんよ。私がちゃんと名前を付けてあげるから泣かないで」


アイテール様が慌てて私を抱き上げる。


「君の名前は今日からレイラだよ」


「レイラ?」


「そう、今日から世界樹の愛し子レイラだよ」


なんだか、とっても嬉しくなってしまって満面の笑みでアイテール様に向けてお礼を言った。


「ありがとう。アイテールさま」


私は、ちゃんとお礼が言える5歳児なのだ。


「どういたしまして」


アイテール様が優しく微笑んでくれた。

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