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【砂漠の世界樹】様の名前を考えることになったんだけど…どうしよう。
砂漠、英語で[Desert]子供の舌で発音したら間違いなくデザートになりそう。ここはもうディザでいいんじゃないかな。
「【砂漠の世界樹】さま。ディザと言う名前はどうかな?レイラの居た世界の外国の言葉で砂漠に近い発音なんだけど…」
「ディザ、ディザ…。うん、いいね。ありがとうレイラ」
何度か発音を繰り返して頷くと、にっこり笑ってくれた。
「ディザか、善い名だね。これは、他の世界樹も名前を欲しがるかもね」
何かアイテール様が怖いことを言っているけど聞こえないふりしてディザと笑い合う。私にネームセンスはないと思うな。
「レイラ。世界樹の中を住めるようにしてみたんだけど。見に行く?」
ディザが世界樹を指差しながら私に聞いてくる。
「えっ。世界樹の中に住むの?」
「えっ。何処に住むつもりだったの?」
二人して首をかしげながら「あれ?」ってなっちゃう。
「お二人共お人形みたいで尊い」
泉の方からオンディーヌ様の呟きが聞こえたけど今は、無視。「グフッ」と何やら吹き出しているアイテール様を二人で見上げると笑いをこらえている所だった。
「アハッ。ごめんごめん。レイラは今日から世界樹の中に住むんだよ。ほら、一緒に見に行こう」
そう言って、手を差し出してくれたアイテール様と右手を繋いで左手をディザと繋いで世界樹まで歩いていく。嬉しくてスキップしちゃう。
世界樹の前まで来ると、玄関が出来ていた。ちゃんと、玄関までウッドデッキ風の階段がついている。
「後で、泉にせり出す様にデッキ繋げるね。そしたら、そこで釣りが出来るよ」
「わぁ、ソファも置いてお昼寝出来るようにしたい」
「じゃあ、簡単な日除けも付けて置くね」
ディザと二人でキャッキャとはしゃいでいるのをアイテール様が嬉しそうに見ている。
「中を案内するね」
ディザが玄関のドアを開けてくれた。
世界樹の中は、フワリと木の薫りがして柔らかい木漏れ日が差す温かい雰囲気だった。床や剥き出しの梁は木製で壁や天井は白い塗り壁風、全体的に丸みを帯びて柔らかいイメージだ。
ちなみに、玄関で靴を脱いで室内履きが用意されていた。やっぱり、日本人としては靴を脱ぐ方が落ち着くよね。
一階は、キッチン&ダイニングと広目のリビング。キッチンは白いタイルを基調とした対面式の作業台が広めで使いやすそう。リビングには、座面の奥行きが広めのコの字型ソファセットと暖炉があってとてもくつろげる雰囲気。
二階は、お風呂とディザと私の各々のお部屋。お風呂は、明るい室内にちゃんと湯船があるタイプでうれしい。
三階は、図書室。代々の世界樹様が集めた書籍が天井まである本棚にビッシリと置かれている。不思議な構造をしているけど、今度ゆっくり見に来ることにした。
外から見た感じより広く見えるのは、空間魔法を使っているからなんだって。
私のお部屋は、少し小さめの子供用のベッドと机がある。洋服ダンスには春色のワンピースが何枚かとカーディガンや上着が掛けてある。日当たりの良い小さなバルコニーがついていて、落ちないように少し高めの手すりが付けてある。
「ディザ、ありがとう。とっても気に入ったよ」
「よかった。でも、洋服はアイテール様が用意してくれたんだよ」
ディザに言われてビックリした。いつの間に用意したんだろう。ずっと一緒に居たのに。
「アイテール様もありがとう」
疑問は残るけど満面の笑みでお礼は言います。
「気に入ってもらえたみたいだね。洋服は、たまに入れ換えておくからね」
神様は、何でもありなんですね。