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アイドルバスター2 覇道戦線  作者: おでん信用金庫
7/20

#7 ドメスティックバイオレンサー

前回までのあらすじ


バツイチが来た



ルナ「俺のことを知ってんのか、お前?」


片桐「あぁ。ルナとは違う、もう1つの凶暴な人格だろう」


ルナ「・・・いつからだ?」


片桐「お前に気づいたのは・・・たしか、母さんと離婚する少し前だったか」


ルナ「・・・」


片桐「安心しろ。お前の存在は誰にも言っていない。別れた娘が多重人格だなんて、口が裂けても言えやしないからな。なにより、()()()()に迷惑がかかる」


ルナ「そうかい、そいつは助かるよ。で、何の用だ?」


片桐「何度も言わせるな。お前に用はない」


ルナ「へぇ。あいにく、今この身体の所有権は俺にあるんでね・・・ルナに用があんなら、まずはマネージャーの俺に話を通してもらおうか?」


片桐「そうか。まったく、肉体を我が物とし随分といい気になっているようだな・・・『偽者』」


ルナ「・・・いま、なんて言った?」


片桐「『偽物』と、言っただけだが?」


ルナ「そうか・・・死んで詫びろクソジジイ!!![殴りかかる]」


片桐「はぁ・・・[回避]」


ルナ「っ!?」


片桐「・・・許せ、ルナ[腰を蹴り上げる]」


ルナ「ぐはぁっ!!!?」


片桐「言っておくが、暴力で俺を屈服させようとしても無駄だ。俺はお前より強い。黒帯を締めて合気道をやっているからな」


ルナ「っ・・・ほざけクソ野郎!!![顔面を殴る]」


片桐「うん[無傷]」


ルナ「!?」


片桐「弱い拳だな・・・分かったか、これ以上の攻撃は無意味だ。いいからさっさとルナを出せ」


ルナ「だまれ・・・だまれだまれ!![殴る]」


片桐「まったく・・・[カウンター]」


ルナ「ぐぅふっっっ!!?」


片桐「・・・まだ、やるか?」


ルナ「はぁっ、はぁっ・・・!!」


片桐「まだやるっていうんなら、俺はお前を警察に突き出す」


ルナ「あァ・・・なんでそうなるんだよ。俺がなにしたってんだよ」


片桐「とぼけるな『通り魔』」


ルナ「っ!?」


片桐「・・・青ざめたな。やはりお前が犯人だったか」


ルナ「ふん、知らねぇよ。一体何の話だ?」


片桐「今日の夜中、中野が通り魔に足を刺された。その犯人がお前だろ、って言っているんだよ」


ルナ「証拠は?」


片桐「そんなものはない」


ルナ「は?」


片桐「強いていうなら、()()()()だ」


ルナ「あァ、なんだそりゃ。証拠もなく人を疑うとか、てめぇそれでも刑事かよ?」


片桐「残念だがこれでも刑事だ。まいったか?」


ルナ「・・・仮にだ。俺がその通り魔事件の犯人だとしよう。だが、現状その証拠はないんだろ。証拠もナシに、警察に突き出して何になる?」


片桐「簡単だ、お前を犯人に仕立てあげる。いわゆる捏造(ねつぞう)だ。『私がやりました』と言うまで殴り続けるのもアリだな」


ルナ「・・・てめぇ、マジで刑事なのか?」


片桐「残念だがマジで刑事なんだ。だが、それが間違っているということは重々承知している。あくまで最終手段だが、捏造したなんてバレれば然るべき報いを受けるだろう。なにより、実の娘を傷つけることになる」


ルナ「んだよ、分かってんじゃねぇか・・・」


片桐「あぁ。俺はこれ以上間違えたくはない。ルナを苦しめることも、刑事としての道を外れることも・・・だからもう一度言う。ルナを出せ」


ルナ「・・・抵抗しても無駄か。刑事としてはクズ野郎だが、交渉人としてはなかなかのモンだな、てめぇは」


片桐「いやあ照れるなぁ」


ルナ「けっ、本当にナメた野郎だぜ。まぁいい。今は大人しく従ってやるよ、クソジジイ・・・」


ルナ「」


ルナ「・・・うぅ」


片桐「目が覚めたか、ルナ・・・」


ルナ「いっっっだぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」


片桐「!?」


ルナ「痛あああっっ!?なにこれ腰めっちゃ痛い!ぐあぁぁっなんでなんっ!!?なんで痛いんこれぇぇぇぇぇっっ!??」


片桐「あぁっ、すまんルナぁっ!!手加減したつもりなんだがまだ足りなかった!!なにせ合気道 with(ウィズ) 黒帯だから、手加減も一苦労なんだ!!」


ルナ「・・・って、え。お父さん?」


片桐「おぉ、やはり()()()()ようだなルナ」


ルナ「え、なに・・・なんでお父さんがここにいるの?」


片桐「お前と話をしに来たんだ」


ルナ「わ、私と?」


片桐「あぁ。単刀直入に聞こう。今日の夜中、中野という男を襲ったのはルナか?」


ルナ「!!」


片桐「どうなんだい。イエスかノーかで答えてくれ」


ルナ「・・・」


ソエル<否定だ。ヤツの手の内が見えない以上、いまは否定しとけ>


ルナ「・・・その前に1つだけ聞いていい?」


片桐「なんだ?」


ルナ「お母さんは、どうしたの?」


片桐「俺の車で寝てるよ。大丈夫、乱暴なことはしていない」


ルナ「そう・・・」


片桐「どうしたんだ急に?」


ルナ「ううん。お母さんに聞かれてたら、傷つけることになっちゃうから・・・」


片桐「・・・!」


ソエル<お、おいお前・・・まさか!?>


ルナ「私がやったよ、お父さん」


片桐「!」


ルナ「私がやったの。自分の意志で」


片桐「・・・」


ソエル<・・・はァ。否定しておけばいいものを、正直者のバカルナが>


ルナ「ごめんねお父さん。私、悪い子なんだ・・・」


片桐「違うな」


ルナ「っ!」


片桐「お前は悪い子なんかじゃない。むしろ逆。思いやりのある良い子だ」


ルナ「そうだよね、そう見えるよね。私もそう思い込んでた・・・でも、違ったの。本当の私は悪い子なんだよ」


片桐「なぜそう言い切れる?」


ルナ「・・・笑わないで聞いてね。私にはもう一つの人格があるの。ソエルっていうんだけど、彼女は私の意志に則って行動するんだ。そうやって私の身を守ってきた。私を傷つける者を傷つけながら」


ルナ「今回の件もそう。『私を嵌めた男(中野)』を見つけたから、ソエルは彼を傷つけた。私を傷つけた報いを受けさせるために・・・」


片桐「それで?」


ルナ「それで、って・・・驚かないの?」


片桐「なんで?」


ルナ「だって、『もう一つの人格』とか言ってるんだよ。頭がおかしいとか思わないの?」


片桐「思わない。だってルナが多重人格だってこと、とっくに知ってるからな」


ルナ「えっ、そうなの?」


片桐「あぁ。さっきそいつとも話したし」


ルナ「・・・そう。でも、それは言い訳にはできない。ソエルのやったことは、私がやったことだから。中野を刺したのは私・・・」


片桐「うん。確かに、お前のやっていることは悪いことだ。でもなルナ、お前は悪い子なんかじゃない」


ルナ「・・・どういうこと?」


片桐「なんでお前は、そんなことをしたんだろう?」


ルナ「それは、私が復讐を願ったから・・・」


片桐「復讐ねぇ。じゃあその復讐心は、何のためのものだったんだろう?」


ルナ「・・・え、禅問答?」


片桐「禅問答じゃない。復讐心の中にある本来の目的を思い出してみるんだ」


ルナ「本来の目的・・・」


片桐「じゃあ最後のヒントだ。お前は、誰のために復讐をしようとしているんだ?」


ソエル<・・・!!>


ルナ「私は・・・」



真理奈<ルナ・・・!>



ルナ「っ!」


片桐「・・・」


ルナ「お母・・・さん・・・」


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