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アイドルバスター2 覇道戦線  作者: おでん信用金庫
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#4 distant moon①-死体蹴り-

前回までのあらすじ


もう一つの人格を『ソエル』と命名



一過性自己防衛本能『ソエル』


ルナの中に眠るもう1つの人格。ルナの身が危険にさらされた時や、ルナ自身が必要とした時に発現する。一時的にルナの身体に乗り移り危機回避反応を取るが、凶暴な人格のため、大抵の場合は過剰防衛になる。ソエルの意識が強ければ強いほどルナ本人の意識は弱まり、ソエル発現中の記憶が本人に残りにくくなる。





ルナ「・・・じゃあ、昨日の記憶が私にないのは、あなたの意識が強すぎたからってことなの?」


ソエル<そういうことだ。昨日はこの身体の意識の8割を、俺が占めてた>


ルナ「そんなに・・・でも、それが私の本能なんだ・・・」


ソエル<あぁ。あくまでお前の意志に(のっと)った反応なんだぜ>


ルナ「・・・たとえば。たとえばだよ?もしもあなたの意識が100%になったら、どうなるの?」


ソエル<簡単なことだ。今の俺とお前の関係が、逆になる>


ルナ「・・・!」


ソエル<俺が西覇王(にしはおう)ルナになり、お前は俺の中にいるもう1つの人格ってことになる>


ルナ「私は、身体を動かすことができなくなるってこと?」


ソエル<あぁそうだ、お前の神経も肉体も俺のものになる>


ルナ「・・・」


ソエル<だから気をつけろ。もし俺の意識が100%になったら西覇王ルナという女は、()()()()()()()()()()()()になっちまうからなァ>


ルナ「自分がおっかないサイコパスっていう自覚はあるんだ」


ソエル<いいや、俺からしたら普通だぜ。でもお前からしたら俺は、そういう認識なんだろ?>


ルナ「・・・うん」


ソエル<ま、逆に言えば俺の意識が100%にならない限りは、この身体の所有権はお前にある。だから俺は、一時的にしかお前の身体に乗り移ることができねぇ。せいぜい気をつけろ>


ルナ「じゃあさ、あなたの意識が100%になるのって一体どんな時なの?」


ソエル<それは・・・>


TV「速報です。先ほどお伝えしました、『東雲駅通り魔事件』で足を刺され重傷を負った男性の意識が回復しました」


ルナ「・・・!!!」


TV「会話ができる程度まで回復したとのことで、近いうちに警察からの聴取を受けることになると思われます」


ルナ「・・・・・・・・・」


ソエル<フッ。『噂をすれば』ってやつか。残念だな、ルナ。どうやらお前の意識はここまでだ・・・>


ルナ「」


ルナ「・・・」


ルナ「・・・ふぅ。これが俺の意識100%か。前よりもフィット感が増してるような、してないような。そっちの気分はどうだ、ルナァ?」


<・・・>


ルナ「っといけねぇ、今は俺がルナなんだった。ま、()()()()()()はせいぜい、俺ン中でゆっくりとおねんねしてな」


ルナ「さァて、さっさと行くか。どうやら時間は、雀の涙くらい・・・いや、それすらもなさそうだからなァ・・・!!」




[10:30 『東雲駅通り魔事件』における被害者男性の意識回復、および西覇王ルナ(ソエル)行動開始]







11:30

東雲大学病院 受付



片桐「すみません。東雲署警部の片桐(かたぎり)と申します」


柊「部下の(ひいらぎ)です」


受付「・・・あ、えっ。私なにか悪いことしましたか?」


片桐「いや、用があるのはあなたではなく、深夜に足を刺される被害に()われた男性です」


受付「・・・ち、ちがいます!私はなにもやっていません!」


片桐「いやだから、あなたを疑ってるとかじゃなくて、その被害者の部屋を教えてほしいから、あなたに話しかけているんですよ」


受付「やっぱり疑ってるんじゃないですか!!!」


片桐「あ~んまるで話通じねぇなこの受付嬢ぁぁっ!!!?」


柊「落ち着いてください警部。病院で大声出さないで」


片桐「・・・ぇ、ゴホン。え~とね受付嬢さん。私は被害者男性から事情を聞きたいから、彼の病室を教えてほしいってだけなんですよ」


受付「だから、その男性の病室はさっき教えたじゃないですか!!それなのにまた私に病室を聞くことを装って話しかけてくるってことは、警察が私を疑ってるってことでしょ!?違いますか、えぇ!?」


片桐「・・・え、ちょっと待って。誰に病室を教えたって?」


受付「誰って・・・あなたたち警察ですよ。まぁあなたみたいなオッサンじゃなくて、若い女性刑事みたいな人でしたけど」


片桐「彼女の所属と名前は!?」


受付「え~忘れましたよ。あ、名前なら思い出せるかも。なんだっけ、ん~」


柊「・・・変ですね。我々より先に事情聴取に来てる刑事がいるなんて」


片桐「あぁ。手柄を立てようと、独断で行動してるバカがいるのかもしれんな。いや、それとも・・・」


受付「あ、思い出した。『佐藤 真水(まみ)』だ」


柊「!」


片桐「『佐藤 真水』・・・知ってるか、柊?」


柊「・・・えぇ、知ってます。俺の後輩です」


片桐「ほぉ。お前の後輩とやらは随分と熱心なんだな。所轄より先に事件を追おうとするなんて。で、そいつの所属は?」


柊「七対(ちいとい)派出所の巡査です」


片桐「・・・あ?ただの駐在が、東雲署(俺たち)の管轄に割り込んできたってのか?」


柊「そうなりますね・・・しかしおかしい、真水はそんなことするようなヤツじゃない。とても大人しくて、言ってしまえば警察に向いてないような性格なのに・・・」


片桐「被害者男性が、彼女の知り合いだったとか?」


柊「いいえ。真水の男友達は俺くらいしかいません。そこまで熱心になる要素は何一つないはずです」


片桐(・・・。)


片桐「柊、そいつに連絡取れるか?」


柊「はい、ちょっとかけてきます」


片桐「・・・受付嬢さん。ちなみにその女性刑事、いつ頃ここに来られましたか?」


受付「ん~、たしか30分前くらいだったかな。血相変えてやって来たのを憶えてます」


片桐(30分前・・・被害者男性の意識が回復したのが1時間前だから、それを見越して行動したといったところか)


片桐(血相を変えて、ということは余程急いでいたんだろう。そこまでして被害者男性と接触したい理由・・・まさか!)


柊「警部っ!!!」


片桐「っ、うるさい。病院でそんな大声出すな」


柊「さっき警部も出してたくせに・・・ってそうじゃなくて!佐藤真水のことですが」


柊「先ほど何者かに背後から襲われ、身ぐるみを剥がされたそうです」


片桐「!」


柊「それから彼女は気絶させられ、今までずっと派出所内にいたそうで・・・要するに、彼女がここに来たという事実に矛盾するんです!!」


片桐「・・・受付嬢さん、被害者男性の病室はどこです!?」


受付「っ、やっぱり疑ってるんじゃないですか!!」


片桐「疑ってない!!!早く教えろ!!!」


受付「ひぇ~~この警察怖ぃ~~訴えますよぉ~~~?」


片桐「あぁ、好きなだけ訴えな。ただし、病室を教えてからだ・・・!!」






505号室(被害者・中野の病室)



片桐「中野さん!!![ドアを開く]」


中野「・・・」


柊「よかった、無事そうですね」


片桐「・・・バカかお前。どこが無事そうだ」


柊「え、だって穏やかに寝てるじゃないですか」


片桐「よく見ろ。彼の首と両手を」


柊「え・・・はっ、そんな!?」


中野「・・・」


片桐「喉と両手を潰されている。恐らく、犯人の仕業だ。彼が証言するのを防ぐために」


柊「え、犯人って・・・?」


片桐「被害者を刺し、そして何も証言できなくするために派出所の巡査のふりをしてここに潜入した野郎・・・いや、女か」


柊「っ!」


片桐「そしてどうやらそいつは、狂気性という点においてなかなかの手練れらしい・・・くそっ、取られたぞ・・・先手を!」




[11:40 喉と両手を何者かに潰され意識不明の被害者男性を発見]


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