#10 sparkle moon②-月光詩-
前回までのあらすじ
親父は娘を守りたい
片桐「刑事として胸を張って死ぬだァ・・・冗談じゃねぇ!!胸張ってきた結果が今なんだ・・・その結果、お前たちを苦しめてきたんだ。だから、最後の最後だけでいい・・・最後だけでも父親らしく生きたいんだ・・・!!!」
ルナ「・・・」
片桐「ルナ、わかってく
ルナ「うるせぇ!!!(胸ぐらを掴む)」
片桐「っ!?」
ルナ「さっきからゴチャゴチャと、結局は自分の都合を押しつけてるだけじゃん・・・なにが私を守るよ。それは私のためじゃない、ただのお父さんのわがままよ・・・!」
片桐「そうだな、結局は俺の傲慢だ。間違っているのは分かってる、でも・・・」
ルナ「ううん、お父さんの考えが間違っているとは思わない。ただ、『ゴール』が間違ってるだけ」
片桐「ゴール?」
ルナ「お父さんは私を守りたいんだよね。私の罪を隠蔽する・・・それで終わりなんだよね?」
片桐「・・・何が言いたいんだ?」
ルナ「私を守りたいのなら、最後まで面倒見てよ。まだ終わってないんだから」
片桐「は?」
ルナ「は、じゃないよ。私とお母さんを苦しめた奴らに報いを受けさせるまで、私を守ってよね・・・お父さん」
片桐「報いだと、それってまさか・・・?」
ルナ「私は343プロを潰す・・・!」
片桐「なっ、なにをバカなことを・・・!!あいつらの正体を知ってて言ってるのか!?」
ルナ「知ってるよ。反社会的勢力すら駒として使う、卑劣な会社でしょ?」
片桐「そうだ。だったら分かるだろう!?お前にそんなこと出来るわけない!!奴らに手を出そうとすれば、女子供だろうと容赦なく返り討ちにされるんだぞ!?」
ルナ「そうかもしれない・・・でもね、ここで逃げるわけにはいかないの。逃げたら一生後悔すると思うから・・・」
片桐「逃げなかったら、お前は後悔することすら出来なくなるかもしれない!」
ルナ「それでもいい。逃げるよりマシだよ」
片桐「・・・ルナっ!!!」
ルナ「いつまでも守られるのは嫌なの!!!」
片桐「っ!!」
ルナ「誰かの言葉に従って、誰かの判断に委ねて、今までそうやって自分の身を守ってきた・・・でもそんなのうんざり!!私の判断に従って、私自身の意志に委ねる!!私はそうなりたい・・・!」
片桐「・・・」
ルナ「だから、守ってもらうのはこれが最後。これが終わったら、私は自分の力で自分を守る。もちろん、お母さんのことも・・・」
片桐「・・・1つ聞く。それはお前の意志か?ソエルに唆されてるわけではない、お前自身の意志なのか?」
ルナ「うん、そうだよ」
片桐(・・・。)
片桐「そうか・・・だが残念ながら、そろそろ時間だ。今日はこれで失礼する」
ルナ「待って、はぐらかさないでよ!!」
片桐「机の上に連絡先の紙を置いておいた。用があったらかけてくれ」
ルナ「お父さんっ!!!」
片桐「・・・動く日が決まったら連絡しろ」
ルナ「っ!それって・・・」
片桐「じゃあな」
ルナ「・・・」
ソエル<フフ。よく言ったぜ、ルナ>
ルナ「うん。これでもう後には戻れない」
ソエル<あァ。派手にやってやろうぜ、相棒>
ルナ「・・・改めてよろしくね、ソエル」
真理奈「た、ただいま~・・・」
ルナ「っ、おかえりお母さん・・・遅かったね」
真理奈「う~ん、なんか玄関で寝ちゃってたみたい。余程疲れてたのかしら?」
ルナ「寝てた・・・お母さん、買い物行ってたんじゃなかったっけ?」
真理奈「・・・ああああっっっ!!お肉買ってきたの忘れてた!!!冷蔵しないと冷蔵!!!!」
ルナ「・・・」
ルナ(ごめんね、お母さん・・・)
東雲大学病院
片桐「よっ」
柊「警部・・・どこ行ってたんです?」
片桐「あァ。娘に会ってきたんだ」
柊「娘って、さっき犯人だって疑ってた『西覇王 ルナ』ですか?」
片桐「そうだ」
柊「どうでした。娘さんは犯人っぽかったですか?」
片桐「全~然。犯人の『は』の字もねぇ。普通の娘だったよ」
柊「でしょうね。女子高生にあんな犯行できるわけないですから」
片桐「・・・しっかし、不思議なもんだな。娘ってのは父親がいなくても、立派に育ちやがる」
柊「逆でしょ。父親がいないからこそ、強く立派になるんですよ」
片桐(・・・。)
柊「・・・えっ、警部。もしかして、泣いてます?」
片桐「っ、バカ。んなわけねーだろ」
柊「だって、涙が出てるじゃないですか」
片桐「これは、お前アレだよ・・・イソジンだよ。さっき目を洗ったからな」
柊「うがい薬で目を!?」
片桐「あぁ、最近ハマってんだ。『イソジン目洗い』・・・」
※イソジンは用法用量を守って正しく飲みましょう




