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アイドルバスター2 覇道戦線  作者: おでん信用金庫
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#1 廃人と夏-2019-



2019年7月


東雲(しののめ)女子少年院・門前



教官「もう二度と帰ってくるんじゃないぞ、(たちばな)


嘉雅梨(かがり)「春になったらまた来る」


教官「シャケ感覚で来ようとするな」


嘉雅梨「へっ、冗談だよ。誰が二度と来るかよ、こんなビックリハウス」


教官「お前には少年院(ここ)がビックリハウスに見えるのか」


嘉雅梨「ビックリハウスにしか見えない」


教官「家帰る前に眼科いけ」


嘉雅梨「眼・・・科?」


教官「いや、なんぼなんでも眼科は分かるやろ。スマホ知らない服役者じゃあるまいし」


嘉雅梨「スマ・・・ホ・・・?」


教官「え、スマホも知らないのか?ほら、これだ[スマホを見せる]」


嘉雅梨「あ~、隣の部屋の連中が夜中にコソコソ使ってたやつか」


教官「なに、みんなここを林間学校だと思ってるの?」


嘉雅梨「っていうかなに、これで電話できるんか!?すげぇ!!!」


教官(なんか火を初めて見た人類みたいな反応で面白いなこれ・・・って遊んでる場合じゃない!)


教官「・・・というわけで、さっさと行け。繰り返しになるが、二度と戻ってくるんじゃないぞ。橘 嘉雅梨」


嘉雅梨「・・・」


教官「おい、聞いてるのか?」


嘉雅梨「・・・なぁ、1つ聞いていいか?」


教官「ん、なんだ?」


嘉雅梨「アタシよりちょっと先にここを出た、『西覇王(にしはおう) ルナ』って憶えてるか?」


教官「・・・」


教官「あぁ、憶えているが。どうした」


嘉雅梨「アイツってさ、どこの高校行ったんだ?」


教官「ん。たしか・・・緑一色(リューイーソー)女学院だったか」


嘉雅梨「ちっ、アタシと違う高校か」


教官「なんだ。一緒がよかったのか?」


嘉雅梨「へっ、別にそんなんじゃねぇよ。ただ、アイツは面白いやつだったからな。娑婆(シャバ)でどんな生活してるか気になるだけだ」


教官「・・・そうか」


嘉雅梨「んだよ、浮かない顔して。なにかあったか?」


教官「っ、いいやなんでもない」


嘉雅梨「ふ~ん、あっそ」


教官「・・・」


嘉雅梨「アイツ今頃、なにしてんのかな―――」






同刻


西覇王邸




真理奈(ルナの母)「ルナ~、お昼ご飯できたけど」


ルナ「ゆうて いみや おうきむ」


真理奈「・・・ルナ、聞いてる?」


ルナ「こうほ りいゆ うじとり」


真理奈「・・・部屋の前、置いておくわね」


ルナ「やまあ きらぺ ぺぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ ぺぺ・・・」





形無(かたなし)ゆとりによって不祥事を仕立てられアイドル生命を絶たれた西覇王ルナ。その精神的ショックはあまりにも甚大で、1ヶ月経ってもなお未だに立ち直れず、部屋で復活の呪文を復唱する毎日を過ごしていた・・・


しかしこれは、なんの面白みもないただの廃人生活の記録ではない。彼女の再起を懸けた抗いの軌跡である。








アイドルバスター2 -覇道戦線-








ルナ「わさし びきそ つたごや めもぜ ひみね いはねみ」


ルナ「ぐあれ とりろ りぱのく ひぐも・・・あれ、この次なんだっけ」


???<うぶえ かおぐに らろれ ぺすも みはぱぷ>


ルナ「っ、それだ!・・・って、まただ。また幻聴とお話してるよ、私。はぁ・・・」


ルナ(もう深夜1時か・・・散歩いこ)






深夜1時

コンビニ[セブソイレブソ]



店員「まぁどありあしたー(毎度ありがとうございました)」


ルナ「ふぅ・・・」


ルナ(世間体を気にして夜中にしか出歩けない・・・なんて惨めな生活してるんだろ)


不良A「でよー、そしたらさァ」


不良B「ふへへマジかよww」


ルナ「あうっ[不良と肩がぶつかる]」


不良A「いだっ、気をつけろや!!!」


ルナ「す、すみません・・・」


不良A「ったくクソが」


ルナ「・・・」


ルナ(前の私なら、ついカッとなって殴りかかったりしちゃうんだろうけど、なんでだろ。今では微塵もそんな気分にならないよ・・・もう、どうでもいい)


幻聴<つまんねぇなァ、ルナ>


ルナ「また幻聴・・・誰なのあなた?」


幻聴<・・・>


ルナ(幻聴に問いかけてもなにも答えてはくれない。たまに現れて、たまに私に囁く。なんとも一方通行な存在だ)


ルナ(まぁいいや。コーヒー飲んでさっさと帰ろ)


女A「・・・いや~久々に神合コンだったわ」


女B「ほんとほんと。とくに中野くんマジイケメンだったし」


女A「それな。顔だけじゃなくて性格もイケメンとかマジ神じゃね中野くん」


ルナ(そりゃ女の人の前で本性なんか出さないでしょうに・・・)


女A「ていうか、彼ってなんの仕事してるって言ってた?」


女B「えーなんだっけ、たしか新聞社の営業とかじゃなかったっけ?」


女A「あ~なんか言ってたかも!聞きなれない新聞社だった気がする~」


ルナ「・・・」


ルナ「・・・あ?」


女A「え?」


女B「なに、どうしたの?」


ルナ「聞きなれない新聞社の・・・営業の・・・イケメンの・・・中野・・・」


幻聴<・・・思い出したかァ、ルナ>


ルナ・幻聴「私に酒を飲ませ既成事実を作った・・・私を陥れた男だ・・・!!!」


女A「ちょ、何言ってるのこの子・・・」


ルナ「おい、その中野ってやつ、どこ行った・・・?」


女B「へっ、なによあんた?」


ルナ「質問してるのは俺だ!!!どこ行ったかって聞いてんだよボケが!!!(女の胸倉をつかむ)」


女A「ひぃっ!」


女B「うぐぅっ・・・駅ぃ、最寄りの駅に向かったはずだよ・・・っ」


ルナ「よ~しさっさと追え、ルナァ!!!!」


ルナ「・・・」


ルナ「あぁそうか、今は俺がルナだったな。クク」


ルナ「久々の肉体だ、テンション上がるなァ・・・俺ェ!!!」



女B「ゲホ、ゲホッ・・・」


女A「大丈夫!?」


女B「う、うん。ったく、なんなのよあいつ・・・」


女A「わからない。急にすごく怖い顔になった。まるで何かが憑りついたみたいに・・・」


主人公は金木真織に代わり、西覇王ルナとなります。

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