脱線
魂が、消えかかっている。
美人はそう言った。
「魂が…?」
「そ。ま、理由は後で話す。大事なのは、魂が消えると存在そのものが消え失せるってことと、前世で近くにいた人間の魂の近くにいると消える速度が抑えられるってこと」
つまり、こういうことらしい。
美人はかつて恋人であったルカという男の魂の消失を防ぎたく、そのために前世で最も近くにいたと思われる自分がひたすら魂の持ち主である私に付き纏う選択をした、ということだ。
「聞きたいことは山ほどあるが……」
「何だ?答えられることなら何でも答えてやる」
「まず、キミはその情報をどこから得た?」
「うーん……アレはなんて言えばいんだろな、ルカの…親父?」
かつての私の父親だから、美人は信用した、ということか。私から見れば、真実かどうか怪しいものだ。
「次に、何故キミのような前世で近くにいた人間と共にいると消失が防げるんだ?」
「それは、お前が消えかかってる原因と関係がある」
美人は目を逸らして、ボソリと、それでも聞こえるように呟いた。
「ルカは、人造人間だった」
「……は?」
人造人間。あのキカイダーやら16号やらの、人造人間。
私が?
「おかしいと思ってただろ?自分の喋り方」
「……そんなに変だったか?」
「気づいてなかったのかよ!?」
自分ではきちんと喋っているつもりだったし、周囲に注意されたこともないのだが。
「変だろどう考えても!JCの口調じゃないぞ明らかに!!」
「それを言うならキミこそじゃないか?」
「アタシはいーの!男だった記憶あるんだから!!」
「ほう………え?」
男?
待て、私の前世は男ではなかったか?
そして美人の前世と私は恋人で。
美人の前世は男。
む?
「おい、何驚いてんだ?」
「いや、待て、まさか私とキミはかつて……ゲイだったのか?」
「ゲイ……とは違うな」
良かった。いや、偏見は持っていないつもりだが、今の私が異性愛者である以上、かつて自分が同性愛者であったことは受け入れ難い。
と、思っていたのだが、当然そこで終わるはずもなかった。
「アタシの前世での名前はテオ。ゲイでもバイでもなかったけどルカのことを好きになって、ルカもテオを好きでいた……はずだ」
「……衝撃の事実だな」
話が進まねえ……