悪役令嬢は私の恋敵(ライバル)で最推し
悪役令嬢ものが好きで、じゃあ自分が描くとしたら?と思った結果の暴走です。
何でもいける人限定です。ちょっとでも不安を感じたらバックですよ!
続くかどうか微妙なので取り敢えずこれだけで終わりです。
あととんでもなく頭ゆる~いお話です。ヒロインは滅茶苦茶口悪いです。
今日は特別で大切な日。未来のお婿さんとの顔合わせの日。お父様の手を繋ぎながら、真っ白な扉の先へ私達は進む。その部屋の奥には金髪の少年と、そして女の子の姿。それぞれの傍らにはきっと父親であろう人達が立っている。
私は女の子の隣に立った。そしてちらりと女の子を見る。綺麗な髪色の可愛い女の子。
(しんどい)
女の子を見た瞬間、頭の中に自分の声じゃない声が響いた。
「挨拶を」
女の子の父親がその子を促した。
「くらうでぃあ・すとれりつぃあです。王子さま、はじめまして・・・!」
目の前の少女はもじもじしながらも頬を桃色に染めながらたどたどしく名乗る。
「……たっとい」
気付けば私はその言葉を口にしていた。
「……え?」
目の前の少女が私の方を振り向いた。
白銀のサラサラな髪、クリっとしたガーネット色の瞳、艶の良い薄めの唇。
(あああああ天使がここにおるううううううううううう!!!!!)
背中に羽が見えた。
唐突に私は日本の女子高生だった事を思い出した。そしてこの世界は、私が女子高生だった頃に大好きだった乙女ゲーム『恋するマジカルアカデミー☆~太陽の姫~』だった。え、何故分かったかって?だって私の目の前には、大好きな大好きな大好きな悪役令嬢で恋敵のクラウディア様が降臨なさってますから!!あ、あと右斜め前にいる金髪碧眼の王子もいたからかな。
「リリアーナ、挨拶しなさい」
は!愛しのクラウディア様に見惚れてしまってうっかり忘れてた!お父様は私の肩を掴むと、王子の方へ向けさせられた。ううぅ、もう少しクラウディア様を拝みたかった……!王子を見ると、緊張しているのか顔が赤い。
「りりあーな・じゅでぃす。5さいです。よろしくおうじ」
クラウディア様にしか関心が行かず、つい適当に挨拶しちゃった。あと、はい。私今5歳です。幼女のクラウディア様を生で拝められて幸せ絶頂中です☆
その時の王子の顔は今後忘れられないだろうなって思うほどに阿保面だった。
*
「はああぁぁぁぁ…………尊い……しんどい……」
物陰から私はある人物を拝む。勿論愛しのクラウディア様である。
「もう美しすぎるでしょ……神……マジ無理…………」
あれから10年と幾つか時は過ぎ。クラウディア様と私とあと王子は、ゲームのタイトルでもあるマジカルアカデミーに入学した。日に日に美しくなるクラウディア様に私は心のシャッターと魔法のシャッターを押しつつ、専属の絵師にクラウディア様成長記録を付けさせていた。ちなみに魔法のシャッターとは私オリジナルの魔法で、目に映ったものを紙に転写する事ができる高等魔術である。ただしクラウディア様にしか発動しない。
「キモッ」
この声を発するのは。
「あほ王子」
「あほではない!!アフィリオだ!!」
「略してアフォーッ!!」
「略すな!!というか悪化させるな!!」
「まぁそんな王子は置いといて。ああぁ……クラウディア様美しい……」
「置いとくな!まぁ、うん。俺のディアは美しい」
王子も私と同じようにこっそりクラウディア様を眺める。
「クラウディア様は皆のものですー!王子一人のものじゃありませーん」
クラウディア様の美しさは一人が独占していいものではない。
「というか愛称で呼ぶとか……!」
「羨ましいだろ」
「クソ羨ましい」
私だって、私だってクラウディア様を愛称で呼びたいわ!!
「フィー?何をしてらっしゃるの?」
王子とぎゃーぎゃーしてたら愛しのクラウディア様が来た。美しすぎて語彙力消える。しんどい。うっかり拝みそうになる手を気合と根性で我慢する。
「ごきげんよう、クラウディア様。今日もとても素敵です」
「ごきげんよう、リリアーナ様。お褒めの言葉有難く頂くわ。それで、お二人はこちらで何を?」
あ、あああ……。クラウディア様が怒ってらっしゃる……。私と王子が二人っきりで騒いでたから、嫉妬してらっしゃる……。クラウディア様の背後に吹雪が見える。無意識に魔法を発動なさってる?というか嫉妬で怒ってるクラウディア様…………え、かわいい。
「クラウディア様がご心配なさる事ではございませんよ?」
とフォローするも、益々吹雪が強くなる。うん。こりゃマチガエター。
「ええ、ええ、そうでしょうね。私には関係のない事でしょうからね」
「ち、違うんだディア、こいつとは……!」
「リリアーナ様をこいつ呼びですか。そんなに仲良くなされて、そうですか。お邪魔なようですから失礼いたしますわ」
阿保王子墓穴掘ったな。そして私はまたクラウディア様にまた嫌われたようだ。しょぼんぬ。
「お前のせいでまたディアに勘違いされただろ……!」
「いやいやいやいや、今のは王子でしょ!!」
私はどちらかと言えばとばっちりを受けた方だ。
「ほらほら、こういう時は追っかけてやるのが男ってもんでしょ」
「う、うむ」
そして王子はクラウディア様の後を追った。
私は別にクラウディア様の恋を邪魔したい訳ではない。寧ろクラウディア様の応援は全力でしたい。クラウディア様の幸せは私の幸せである。ちなみにクラウディア様と王子は相思相愛だ。王子が羨ましくて仕方がない。
「いつか私もクラウディア様と愛称で呼び合う仲に……」
…………。
「なったら尊死♡」
つづ……けばいいな!