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ネコは異世界で闊歩する。  作者:


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第76話 王からの贈り物である?

「全く……驚いたわよ、起きたらポチがいないんだもの。」

「すまんであるな、着いてきたものであるから、つい。」


 あれから1時間後、ようやくコーリィの話が終わったので、吾輩たちはロッテ達と合流し、城下街に降りていた。

 ロッテはちょうど起きて、ポチを探していたようなのでコーリィがノックするや否や焦りの表情で部屋から出てきて、吾輩の下のポチを視認すると一目散に抱き着いた。

 当のポチはやれやれとでも言いたげな顔であるが、お前吾輩たちに着いて来ねばこうはなっておらんからな?

 あ、リンピオはまだ寝てたので100分の1ほどの猫パンチで叩き起こしたであるから奴は今腹を抑えているである。


「で?ネコは食べ歩きしたいのよね?」

「うむ、コーリィが事前に調べたり城のメイドに穴場を聞いたそうであるからな。準備は万端である。もちろん金もな!」


 この時をどれ程待ち望んだか。

 本当であれば手早く墓参りを済ませて城下町に繰り出したかったのであるが、コーリィの話は予想以上に長引いてしまったからな……かと言ってあれを止めるのも憚れたのである。

 まぁそれも過ぎた話。今を楽しめばよいのである!


「あーネコ?出鼻を挫くようで悪いんだけど、一度冒険者ギルドに行った方がいいわよ?」

「え?何故であるか?」


 ロッテが言うには、冒険者が他の冒険者ギルドのある町に移動した時、一番に冒険者ギルドに行って自身が冒険者である証明をしなければならないらしい。

 強制ではないのだが、証明してから1日、依頼を受けることは出来ないため、ほとんどの冒険者は到着してからすぐにギルドに向かうのだとか。


「覚えているうちに行った方がいいのよ。日を跨いだ後に思い出して証明しても、また1日無駄になるだけなのよ。」

「ちっ、しょうがないであるなぁ……ではギルドに行くとするであるか?」

「ではネコ殿、これをどうぞ。」

「おーありがとうであ……る?」


 聞き覚えの無い――いや、ある声が聞こえたが、その声は吾輩たちパーティの誰のものでもない。

 聞き覚えがあるというのはまぁ……昨日聞いたばかりであるからな!


「おいおい、ネコこの子、どこの嬢ちゃんだ?」

「何でここにいるであるか、レイネ?であるよな?」


 疑問符が付いたのは、吾輩たちの目の前に現れたレイネの声を発する女は、昨日見たレイネと全然違うのである。

 服装とかそういう次元ではなく、あの時は顔もよく見えなかったであるが、背丈も違うし……どう見ても目の前の吾輩の目線に合わせるように屈んでいる《《少女》》は昨日のレイネとは思えない。


「えぇ、レイネでございますよ。」

「あら?ネコ、その女の子と知り合いなの?」

「う、うむ。そうであるな。」


 いや、知り合いと言うか……お前らも昨日会ったと思うのであるが?

 まぁあれとこの少女が同一人物とは思わないであるよなぁ。


(なぁコーリィ、この姿……)

(子供の頃、レイネさん言ってたんですよ。自分は色んな人間になれるって……当時は信じて最近は冗談だと思ってたんですけど……本当だったんですね。)


 昔からの付き合いがあったコーリィでも知らなかったのであるか。

 見た目忍者みたいな女であったから子供に化けることも容易いのであろうか。


「で、これをどうぞってそれは何であるか?」


 差し出されたレイネの両の手のひらを見ると、小さなバッジがあった。

 細かい装飾が施されており、ただのバッジとは思えないようなものなのであるが。


「これはライアット王がネコ殿をこの王都で活動してもいいと認めた証で御座います。これがあれば、冒険者証明も速やかに終わるだろうと、王がお渡しするようにと預かってきました。」

「それはいいタイミングであるし、ありがたいのであるが……昨日または今日城から出る前に渡せばよかったのではないか?」

「………………………」


 あれ?レイネが黙ったであるぞ?

 もっというと、徐々に吾輩から目を逸らし始めたであるぞ?あれ?

 もしかしてこいつ、ギリギリまで忘れていたとかないでよな?もしくは王が忘れていたであるかな?


「そ、そんなことはいいではありませんか。間に合ったのですから。」

「間に合った?」

「何でもありません。では、その首輪につけさせてもらいますね?他に刺せそうなところもありませんし。」


 吾輩真っ裸であるからなぁー。

 服は苦手であるからな。一回我が友の親戚が猫用の服を買ってきて吾輩に着せたことがあるのだ。

 邪険にはしてはならぬと思い、着てみたものの、あまりにも窮屈過ぎたのである。

 さて、付けてもらったが重さを感じるようなことがあれば、マジックボックスに入れとけばいいと思ったが、そんなことは無いしこのままでも大丈夫そうであるな。


「すまんであるな、あやつにも礼を言っておいて欲しいである。」

「承りました。」


 そう言うと、レイネは子供の様に可愛らしい笑みでコーリィ達にぺこりと一礼すると、隙間を縫ってとててててーと走り去っていった。

 かと思ったら少し離れたところで一瞬にして消えおったわ。


「ね、ねぇネコ。あの女の子ネコの首輪に何を付けてったの?」

「うん?あー何か……騎士にお忍びで頼まれたらしいであるな。王からの贈り物兼今回の迷惑料だと。」

「何よそれ……アンタ本当に凄いことしてのけたわね。」


 それほどでもないである。

 ま、あの女の子の正体はレイネの名誉のためにも言わないでおこうか。

 コーリィは気づいておるがな。

 さぁてと、さっさとその冒険者証明とやらをしにいくであるかな。



「むっ!コーリィあの屋台の魚を買ってくるである!」

「合点です!」

「ちょっとネコ!後で買えばいいんだからいちいち寄らないでよ!!!」

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