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ネコは異世界で闊歩する。  作者:


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第74話 まさかの対面である?

「ネコ様、お付き合いいただきありがとうございます。」

「気にするな。吾輩もお前の主として挨拶せねばなと思っていたであるからな。」


 早朝、日が昇って間もない頃吾輩とコーリィは昨日ライアット王に聞いた通り、コーリィの両親の墓に向かっていた。

 ちなみにロッテ達は誘わず、ゆっくりと眠ってもらっているである。

 一応扉越しに声をかけてみたが、2人とも返事は無かった上、リンピオの部屋からは大きないびきが帰ってきたである。

 ――いや、吾輩等だけではないか。


「お前もいたであるなぁ。」

「ゥワン!」


 そう、ポチだけは起きていたようで主人であるロッテが寝てる中、自分で扉を開けて吾輩たちについてくるという意思を見せたので連れてきたのである。

 まぁポチからしたら朝の散歩ぐらいの感覚なのであろうが。


「ネコ様、見えてきましたよ。」

「ほう?……て、ありゃ誰であるか?」


 確かにコーリィの指差す先にはいくつもの墓が並べられているであるが、そこに1人何者かがいる。

 その手には……箒、であるか?まごうことなき箒であるな。掃除でもしているのであろう。

 しかし、その掃除をしている者は何というべきか、白い……えっと、法衣であったか?神官の、それも上位の人間がが来ているような服を着ているのだが?


「あぁ、あの方はですね――」

「おやおや?こんな朝早くから人が来るなんて珍しいですね。」


 コーリィが言い終わるが先に神官の方が吾輩たちに気付き近づいてきた。

 優しそうな笑みを浮かべたその男は、ハイドマフラーを身に着けたはずのコーリィをまじまじと見つめた。


「貴女、貴女……もしかしてコーリィ様ですか?」

「!?」


 こやつ、ハイドマフラーで顔を隠したコーリィを見抜いた!?

 ちょっと待て、昨日のレイネのことといい、ハイドマフラー形無しではなかろうか。

 正体を見抜かれたコーリィは「もう脱いでもいいかなぁ……」とボヤキながらも顔のマフラーに手を掛け、シュルリと脱いだ。

 それを確認した神父は、笑みを浮かべたまま、その瞳から一筋の涙が伝った。


「おぉ、まさかまさかかと思いましたが、やはりコーリィ様……生きておいででしたのですね。嗚呼、良かった。本当に……!!」

「ご心配をおかけしました、パラドゥケド神父。」

「本当に、本当に。グラァード様とビレルレ様のご遺体は見つかりつつも貴女のものは見つからず……どこかで生きていると信じつつも、もうどこかでと思うと胸が張り裂けそうでした。」


 ぽろぽろと涙を流しながらもそれを一切拭おうとはせずパラドゥケド――言いにくい名前であるな――神父は言葉を紡ぐ。

 いや、泣き過ぎではなかろうかこの神父?


(こいつ、昔からこんな感じなのであるか?)

(えぇまぁ……感情表現が豊かな方ですね。)


「嗚呼、嗚呼、貴女の生存をもっと噛みしめたいですが、貴女の用がありますよね?グラァード様達のお墓参りですよね?そこの魔物の方たちもご一緒に。」

「魔物の方とは……神父にしては魔物に丁寧であるな?」


 何となくであるが、聖職者は魔物に対して排他的な者らが一般的だと思っていたであるが……?

 このパラドゥケド神父の笑みからは昨日の貴族とは違い敵意は一切感じられない。

 寧ろ、親愛的なそれである。


「そうですねそうですね。確かに教会の中には過剰に魔物を毛嫌いしている者もいますが、私としましては従魔として冒険者と共に民の平和のために働いている魔物もいますからね。全ての魔物が悪とは思っていません。」

「それはありがたい。おっと、吾輩はネコである。」

「これはこれは、ご丁寧に。私はパラドゥケド・ステーノ。コーリィ様からも言った通り、神父を務めています。」


 パラドゥケド神父が先導して、コーリィの両親の墓へと案内してくれて、コーリィはその間にこれまでの経緯を神父に説明した。

 やはりその説明の途中でも神父は泣きに泣き、吾輩とポチは困惑しきっていた。コーリィはもう慣れっこなのであろう、動揺せずに話していたである。

 やがて、1つの大きな白い石で出来た墓に行きついた。

 ……んん?この墓、どうみても日本風?であるよな?過去の異世界人の影響がまさか墓にまで来てるとは……


「これが、お父様お母様の……」

「えぇえぇ、ライアット王が2人の功績からしてこのくらいの墓を用意せよと命じられましてね、このような立派なものが。」

「ライアット王が……今度お会いした時にはお礼をしなければなりませんね。」


 えぇ?こんなでかい墓を王が立てるように命じたって……どれほどの功績を残したのだ、コーリィの両親は……?

 コーリィは片膝をつき手を合わせ祈り始め――


「お父様、お母様お久しぶりでございます。コーリィです。聞いていただけますか?私は今――」


 と墓に向かって自分の事、吾輩の事、パーティの事を話し始めた。

 にしても、ライアット王やパラドゥケド神父に対して話したものよりもずっと詳しい説明をしているであるなぁ……こりゃ相当時間がかかりそうであるな。

 だが、お祈りは大事であるな。吾輩も祈っておくであるかなー

 尻尾でバランスを取ってっと、立って前脚を重ねてお祈りっと。

 特に語り掛けることも無いのでとりあえず、ご冥福云々と頭の中で語り掛けてみると――それに応えたのはまさかの者だった。


『霊的存在からの干渉を確認。それに応じるため、未開放ユニークスキル、"バ✖✖ト"を強制起動します。』


 へ?

 いつものアナウンスが頭の中で鳴り響いたが……未開放ユニークスキル?強制起動?

 突然のことに吾輩、目を閉じたまま混乱していると、再び声が聞こえた。


『もし、聞こえるか。魔物殿よ。』


 え?アナウンスの機械的な声ではない。さりとて、コーリィの声でもない初めての聞いたことのない声。

 誰だ?目を開き周りにいるやも知れぬ、その正体を確認しようとすると、すぐにそれは見つかった。

 それは2人いて、人の形をしていて、服を着ていて、その1人は男で赤い髪の毛をしていて、もう1人は女でどこか見たことのあるような顔立ち……?

 そしてその2人は透けていて……浮いていたのである。それも、コーリィの両親の墓の上で。


『お初にお目にかかる、魔物殿。我が名は、グラァード・ディアント。』

『私はその妻、ビレルレ・ディアントです♪』


 ん、んん?あれ?ついさっきそんな名前聞いたような気がするのであるが?

 あれ?この2人ってもしかしなくても……?コーリィの両親である!?

今回出ました、未開放ユニークスキルですが……まぁはい。もしかしてこれじゃね?って思われた方。多分それ、大正解です。

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