第72話 何故コーリィは奴隷に?である
「そんなことよりもだ。コーリィよ、3年前から失踪したお前は何故奴隷へと堕ちたのだ?グラァード達は……死体で見つかった。」
吾輩最大級の驚きをそんなこと扱いであるか……
まぁ王としても気になるところなのであろうな。グラァードと言ったか……?それがコーリィの親でライアット王の友の娘と言っていたからな。
吾輩としてはどうでも良いことなのであるが、友人の娘が奴隷堕ちなど気が気じゃないであろう。
コーリィは一瞬悩むそぶりを見せるが、覚悟を決めたように王に視線を向け口を開く。
「私は……いえ、私達家族はこの王都から遠征している途中、闇ギルド……お父様はそう言っていました。それに襲われました。」
「闇ギルドだと……!?」
コーリィの口から紡がれた闇ギルドと言う単語が出た途端、ライアット王の顔が驚愕に染まった。ふむ、しかしやっぱりいるのであるな。
そういう裏の仕事専門のギルド……闇ギルドと呼ばれる存在が。
「はい。顔を仮面で覆っていたため顔は確認できませんでした。お父様もお母様も果敢に闘われましたが……」
「そう、か。2人の死体は、この城の一角の墓に埋めてある。明日にでも会いに行ってやれ。」
「はい。ありがとうございます。」
悲し気にコーリィ、ライアット王、そしてレイネまでも悲し気に目を伏せた。
コーリィの親は恐らくであるが、相当闘える人間だったのであろうな。娘が優秀な魔術師であるからな。
仮に両親の実力がコーリィの2倍強いとして――そんな2人を殺したのであるか。
「その後、私は両親の死を間近で見てしまったことで気絶……気づいたときにはバーサクの指輪を付けられ、体が意思とは関係なく動いてました。」
「あの状態であるか。……誰か死んでいたりしてな?」
「死んでました。焼きただれた状態でしたので私が焼き殺してしまったのでしょう。」
おっと、冗談のつもりで言ったであるがな。
だが、あの状態の……見境なく攻撃していたあの吾輩以上に獣のような状態のコーリィならば抵抗なく人殺しはやってのけるであろうな。
「バーサクの指輪は闇ギルドによってつけられたのでしょう。私が焼き殺した人間は仮面をつけており……それ以外にも仮面をつけたものが私を取り囲んでいましたからね。確かそのうちの1人が……御しきれないと」
「まさか、コーリィを操ろうと?」
「かもしれません。私にそんな価値があるのか分かりませんが。」
コーリィの闘いっぷりを体験したことある吾輩からしたら十分に価値はあるのと思うのであるが。
貴族の時のコーリィはよく知らんであるが、その秘めたる才能を、闇ギルドの人間は知っていて、それを利用しようと目論んだのであろう。
結果として失敗。バーサクの呪いで、コーリィを操ることが出来る確信はあったのであろうが手痛い反撃を食らったと。
「私は起きては暴れて、闇ギルドの人間を千切っては投げ、攻撃を避けては燃やし……我ながらなかなかの暴れ者っぷりでした。それが何日も繰り返され、とある日、暴れるだけかと思っていたましたが、檻の中でした。闇ギルドから奴隷商に売られたんでしょうね。」
ふむ?吾輩にコーリィを売った奴隷商……えーっとそう!ラダン!ラダンは覆面の男からコーリィを買ったと言っていた。
もしかして、その覆面の男はコーリィを攫った闇ギルドの者……と考えるのが妥当であろうな。
それを吾輩が買って?冒険者にして?そこそこ知れ渡る様になって?王都に呼ばれて?親の友である王と再開した?まーなんとも数奇な運命であるなー
「そうか……大変であったな。だが、どうする、コーリィ?」
「どうするとは?」
「貴族としての立場だ。残念ながらグラァード達はもう亡き者だ。だが、お前は生きている。お前が望むのであれば、ディアント家を再興出来るぞ?」
ほう、確かに両親はいなくとも、その血を継いでいるコーリィがいるのであれば、家を再興も出来るであろうな。
吾輩はよく分からんが、人間ならばこの話は普通受ける物であろう。もちろん、コーリィだって……
「あ、いいです。」
「何!?」
「は?」
予想だにしなかったのであろう、困惑する表情のライアット王。
吾輩も驚いてしまったであるぞ……?
当の本人であるコーリィはというと笑顔で告げた。
「だって私は、ネコ様の奴隷なんですから!それに、お父様たちとの絆が消えるわけではありませんから。」




