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ネコは異世界で闊歩する。  作者:


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37/133

第37話 オークの報告である。

 幹に血が滴った木にもたれ掛かっている所々破損したオーク……ちょっとグロイがまぁ回収し、コーリィと合流する。

 ……あれ?冒険者、いつの間にか倒れてるであるか?ヒクヒク動いているし、気絶しているのであるか?


「お疲れ様ですネコ様!お怪我はございませんか!」

「うむ、無傷であるぞ。しかしてコーリィよ……その、後ろの奴は何故気絶しているのであるか?」

「あぁ、あいつですか。喧しいですし、ネコ様を囮にしようなどとふざけたこと言っていましたので背後から杖で殴って無理矢理気絶させておきました。」


 道理で途中からうるさい声が聞こえなかった筈である。そう言えば失念していたが、吾輩こいつの目の前で喋っていたし、気絶していた方が、起きた時夢を見ていたとか幻聴を聞いていたんだとか言い訳が利くであるな。

 

 ただ、コイツに原因があるとはいえ、吾輩の奴隷が傷をつけてそのままというのは少し申し訳なさも感じる。

 冒険者の後頭部に見事にたんこぶが出来ているので癒しの肉球でそこだけでも治療しておこう。他にも切り傷があったようだが、そこはスルー。


 当初の予定通り、街に戻るのだが、気絶したコイツを放置しておくのは、流石に良心が痛むので連れ帰ることに。

 連れて帰り方としては、コーリィに背負わせるにはこの冒険者、冒険者だけあってがっちりした体格をしているので、無理がある。

 なので、吾輩の尻尾で巻き掴んで引っ張ることにした。引きずって更に傷を増やしてもダメなので浮かせて運ぶである。まぁ尻尾の筋力トレーニングだと思えばいいであるな。





 アステルニの門に差し掛かった時、流石に小さな従魔に冒険者が1人軽々と運ばれているという奇妙な光景に門番に声をかけられた。


「ん?お、おい嬢ちゃん。何だその状況は?」

「薬草採取していましたら、オークと遭遇しまして。この人はオークから逃げてきた人なんです。」

「オーク!?この辺じゃ見かけねぇ筈だが……で、逃げ切ったのか?」

「いえ、討伐しました。私たち以外に襲ってしまう恐れもありましたからね。」

「な、なるほどなぁ。嬢ちゃん、結構な実力者だったんだな……しかし、オークか。警戒しなければな。」


 本当のところは吾輩が倒したのだが、そこまで言う必要はないだろう。

 問題なく街に入れたので、タオラの店に――という訳にもいかず、オークとこの冒険者の事もあるので一度ギルドに寄ることにするであるか。


 冒険者を持ち上げた吾輩を連れたコーリィの登場に、ギルド内は騒然とした。

 依頼達成受付にでも向かおうかとしたところに


「コーリィ様!?どうされたんですかその状況は!って、その方リンピオ様ですか?」


 登録の時の受付嬢だったペルラが小走りでやってきた。

 門番に話した時と同じことを話すと、とにかくリンピオとか言う冒険者を休ませましょうと、ギルド内にあるという治療室に案内された。

 治療室にいる職員にリンピオを任せ、吾輩たちは別室で話をすることにした。


「しかし、オークですか……ここら辺で、群れは確認されていなかった筈なんですけど。」


 門番も似たようなことを言っていたであるな。この辺では見かけないって


「この件はギルド長に報告しておきましょう。えーっと、コーリィ様、そのオークは捨て置いたんですか?」

「いえ、マジックボックスに丸々収納していますが?」

「マジックボックス!?オークが軽々入るマジックボックスを持っているって……コ、コーリィ様って貴族様なんですか!?」


 マジックボックスの存在がそんなに珍しいのか、ペルラは大声を上げるが、この部屋には吾輩たち以外誰もいなかったので、ビックリする吾輩とコーリィ以外に反応するものはいなかった。


「いえいえ、違いますよ。私はただの小市民ですよ。それにマジックボックスは私のというより、このネコのものと言った方が正しいです。」

「え?ネコちゃんのですか?」

「はい。この子との出会いは話しましたよね?その時、この子についているこの首輪、これがマジックボックスだったんですよ。」

「や、野生の魔物がマジックボックスを持っているものなんでしょうか……?」


 確かにおかしな話であるよな……無理があるかと思ったが、吾輩が見たことない種のため、そう言うものだと無理矢理納得したようである。希少種万歳であるな。


「あ、そうだ。コーリィ様、確か元々採取依頼をしていたんですよね?ついでですので私が処理しましょう。」


 おぉ、これは助かるである。吾輩が、採取した薬草をマジックボックスから取り出すと、半信半疑だったのか、ペルラは驚いた様子で薬草の束を受け取った。

 

「では、少々お待ちくださいね!書類を書いてきますので!」


 そう言って彼女は駆け足でこの部屋から出て行った。

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