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ネコは異世界で闊歩する。  作者:


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第13話 商人と対面である!

「申し訳ありません。勘違いさせてしまったようで。」

「まぁ吾輩も勝手に勘違いしたであるから……」


 無表情のため、あまり誠意は感じられないのであるが、ここでギャーギャー騒いでも大人げないというもの。黙っておくである。

 さて、吾輩たちはマキリーの雇い主の商人の元に向かっている。聞けば商人はギィガと商売の話をしているのだとか。

 おっ見えてきた見えてきた。周りに数人ワーウルフがいるであるが、中央にいるあのもふもふ白毛後頭部はギィガのものであるな。誰かと話しているように見えるであるがあれが商人であるか?ギィガに隠れてよく分からんである。


「お父さーん!」

「おぉ、ティナにネコ。それに……マキリーも一緒だったか。」

「どうも、ギィガさん。お久しぶりです。」


 当然だが、何回も取引しているだけあって2人は顔見知りであるか。

 ん?ギィガの体に隠れていた何者かが顔を覗かせ――おや意外、女であるか?


「やぁティナちゃん、お久しぶりだねぇ。それにその足元の魔物くん。君がギィガの言っていたネコくんかな?」


 何ともまぁ人のよさそうな笑顔を浮かべる女である。美人であるから大抵の男はコロッといってしまいそうであるな。吾輩はこれっぽっちも興味ないであるが。


「貴様が商人であるか?」

「うん、そうだよ。私が君が探していた商人。ローレイ商会のニアニ・クーテンだよ。気軽にニアさんと呼んでね。――にしても本当に喋るんだね。初めて見たよ、喋る魔物なんて。」


 ジロジロと観察するような、はたまた値踏みをするかのような視線。この視線は結構苦手である。

 しかし、そうも言ってられないである。こやつは大切な取引相手であるから気に入らないからすぐに無碍にしてはイカンである。


「そろそろ取引してもいいであるか?」

「ん?あぁ、ごめんよ。魔物使い程じゃないけど、やっぱり商売人としては初めて見る魔物に目が無くてね。ほら、君のその滑らかな毛並みとか剥ぎ取ったら売れそうじゃない?」


 あ゛ぁ?こいつ中々に失礼なことを言うであるな。ちょいとガツンと言おうか……と思ったであるが、それよりも先にギィガ、ティナを含めた周りのワーウルフ達が一斉に殺気を放った。


「ニアよぉ……お前の事は信用しているがそのシャレになんねぇ冗談はどうにかなんねぇのか?ネコは俺の大事な恩人なんだぜ……?」

「そうだよ、ニアさん。ネコの毛、剥ぎとっちゃ駄目だよ?」


 え、ちょっと待って。怖い。

 狼頭の者は牙をむき出し、人の頭を持つものも敵意むき出しの目をニアに向ける。

 ギィガは奴隷商に向けたものよりも明らかな怒気を放っている。眼力だけで本当に弱い魔物なら殺せそうな勢いである。

 さて、ニアはというと


「ふぇえぁあ……」


 涙目で凄いビビっていたである。まぁ気持ちは分からないでもないであるが……先ほどまでのやり手の営業ウーマン張りの顔が見る影もないである。

 む、マキリーがニアの横に歩み寄り――彼女の頭を掴んで……?地面にたたきつけたァ!?


「ネコさん、ギィガさん。うちのニアが本当に申し訳ございません。ほら、ニアも謝って。ほら、ほら、ほら。ここはあなたにとって大事な取引先の1つなんでよ?分かってますか?」

「い゛だっいだいっぢょっマキ゛ッいだいっごべっごべんなざい」


 何度も何度も地面に顔を叩きつけられるニア。これ女性にやっちゃダメな奴じゃないであるか……?あぁほら、土と涙と鼻血で美人な顔がぐっちゃぐちゃに。

 ギィガもギィガでまさかの事態にさっきの怒気がどこに行ったのやら、マキリーの仕打ちに引いている。これ、吾輩が止めなきゃいけないであるな……


「あ、あーマキリー。そのへんでストップである。もう十分誠意は伝わったであるから。」

「そうですか……?ありがとうございます、ネコさん。この馬鹿ニアは一言多い癖が無ければ……"キュア"」


 聞いたことのある魔法名。これはもしかしなくても――やはりであるな。マキリーが魔法名を唱えると光の魔法陣が浮かび上がり、ニアの顔の傷を修復していく。回復魔法であるな。


「うぅう……酷い目に遭ったぁ」

「自業自得です。ほら、もう一回ちゃんと謝ってください。」


 ギィガたちの怒った顔も怖かったであるが、無表情で淡々と言葉を進めるマキリ―も恐ろしいであるな。今もそっとニアの後頭部に手を添えようとして謝ることを渋ればもう一回叩きこもうとしているのであろう。

 流石にそこまで察せないニアではないようで、彼女は深々とというより、土下座に近い形となり


「すみませんでしたぁ……」


 と謝ったので吾輩もワーウルフ達もニアの失言を水に流すことにした。

 マキリーも大変であるな。こやつがやらかす度に謝罪しているかと思うと……ん?やらかす度に地面に頭打ち付けて謝らせているであるか?

 …………もうニアいい加減学習するである。


 というか吾輩、さっさとワイバーンの話したいのであるが?

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